注文住宅で理想の住まいを考える際には、部屋の幅・奥行・面積といった平面の要素を検討するだけでは魅力的な家にはなりません。
私たちが実際に暮らすのは、立体的な空間です。
高さ方向の要素も設計デザインすることで、魅力あふれる理想の住まいが実現出来ます。

しかしながら、どうやって立体的な空間をデザインすればいいのか、分からない方も多いのではないでしょうか?
まずは基本の「天井高」について考えてみましょう。

そこで今回は、理想の天井高とは、どのような天井高なのか?
天井高の設計デザインのポイントや、高い・低いのメリット・デメリットを解説します。
ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。

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一般的な天井高は2400mm。
まずは、一般的な天井高から、ご紹介しましょう。
一般的な天井高は「2400mm」です。
この2400mmの天井高は、注文住宅・建売に関わらず、多くの日本の住宅で採用されています。

一般的な天井高が2400mmとなったのには、次のような理由があります。
日本では古くから、「1尺・1間」をモデュール(単位)として、空間を構成してきました。
1尺=300mm、1間=1800mmです。つまり、6尺=1間。
この1尺・1間という単位は、日本人の身体スケールにマッチする寸法単位だと考えられています。
現代でも、日本建築の構造や建築材料の基準として採用され、最も効率的に扱える寸法単位となっています。
この1尺・1間は、日本の住宅・建築で扱われる基本であり基準の単位の寸法なのです。

例えば、合板や石膏ボードなどの建材の多くも、900mm×1800mm(半間×1間)あるいは、1200mm×2400mm(4尺×1間2尺)で作られています。
同様に、天井高の基準となる「2400mm」も、「1間(1800mm)+2尺(600mm)」であり、このモデュールが採用されているのです。
そのため、天井高は「2400mm」が最も施工性が良く、日本人の身体感覚にマッチする寸法だと考えられています。

高い天井のメリット・デメリット。
一般的な天井高、いわば、天井高の基準は「2400mm」だというのは、前述した通りです。
けれども、それよりも「高い天井」にもメリットはあり、逆に、デメリットもあります。
ここで、それぞれ整理しておきましょう。
吹き抜けについては、こちら↓で詳しく解説しています。
【吹き抜けとは?メリット・デメリットやその対策を解説!施工事例もご紹介します。】

高い天井のメリット
まずは、高い天井のメリットを紹介します。
高い天井のメリットは、次の3つです。
1.開放感が向上する。
2.自然光で満たされ、明るくなりやすい。
3.通風・換気の効率が向上する。
それぞれ詳しく解説します。

メリット1.開放感が向上する。
高い天井は、高さ方向の視界が広がり、開放感が向上します。
メリット2.自然光で満たされ、明るくなりやすい。
天井が高くなると、窓も高い位置まで配置できるようになります。
すると、空間の奥まで自然光が届きやすく、自然光で満たされた明るい空間を実現することが出来ます。

メリット3.通風・換気の効率が向上する。
温かい空気は上昇し、冷たい空気は下降しやすい性質があります。このメカニズムを利用して、窓を高い位置と低い位置に部屋の対角線上に設けると、空気の流れが生まれ、通風・換気の効率が向上します。

開放感のある家については、こちら↓の記事でも解説しています。
【開放感のある家のメリット・デメリット。開放的な間取りを設計する際の注意点や対策。】
【開放感のある家をつくる7つのポイント。間取りやインテリアの設計手法・デザイン。】
通風・換気については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【風通しのいい家。そのメリットと設計のポイント、間取りや窓の配置など。】

高い天井のデメリット
続いて、高い天井のデメリットを紹介します。
高い天井のデメリットは、次の3つです。
1.建築コストが増加する。
2.冷暖房効率が悪化する。
3.メンテナンスに手間がかかる。
それぞれ詳しく解説します。

デメリット1.建築コストが増加する。
天井を高くすると、必要な材料や施工の手間が増え、その分のコストが増加する可能性があります。
さらに、高い天井に合わせて、サッシや建具を大きく作れば、その分のコストも増加しますよね。
総じて、建築コストは高くなる傾向があります。しかしながら、その他の部分でコストを抑える工夫をすれば、特に問題はありませんので、最初から、そこまでナーバスになる必要はないでしょう。

デメリット2.冷暖房効率が悪化する。
天井を高くすると、冷暖房効率の悪化するリスクが高くなります。
暖気は上部に溜まりやすいため天井付近は温かくなりやすく、冷気は下部に溜まりやすいため床部分は冷えやすくなります。
天井が高くなると、空間の体積が増え、その分、冷暖房の熱が空間全体に行き渡りにくくなるのです。
対策としては、高気密・高断熱の仕様を採用したり、シーリングファンやサーキュレーターを使用して空気を循環させ温度ムラを解消することも有効です。

ここで注意して頂きたいのは、「決して快適に暮らせなくなるわけではない」ということです。
天井を高くすれば、多少の冷暖房効率への影響はあるでしょう。
しかしながら、現代の住まいでは、標準的な性能の基準が高いため、そこまでナーバスになる必要はありません。
吹き抜けなどの空間であっても、ルームエアコンのスペックが十分であれば、快適に過ごすことができます。
極端に大きな空間でなければ、極端に冷暖房費が増えることもありません。
断熱については、こちら↓で詳しく解説しています。
【住宅の断熱とは?最高の断熱材?メリットや各種類の特徴、注意点や重要ポイント。】

デメリット3.メンテナンスに手間がかかる。
天井を高くすると、メンテナンス性が悪化し、手間がかかることもあります。
特に、手の届かない位置に窓や照明器具などを設けると、高所での作業にケガや事故の恐れがあり、専門業者に依頼する必要も出てきます。
対策としては、照明器具などはメンテナンスしやすい位置に設置すること、メンテナンスのためのキャットウォークを設けるなどの工夫が有効です。

低い天井のメリット・デメリット
さて、高い天井のメリット・デメリットは、多くの方からフォーカスされやすいですが、実は、「低い天井」にも大きなメリット・デメリットがあることもご存知でしょうか?
ここで、それぞれ整理しておきましょう。

低い天井のメリット
まずは、低い天井のメリットを紹介します。
低い天井のメリットは、次の3つです。
1.建築コストを削減できる。
2.光熱費を削減できる。
3.落ち着きを感じる。
それぞれ詳しく解説します。

建築コストを削減できる。
天井が低いと、建築の高さを抑えられるため、内壁の石膏ボードや壁紙だけでなく、外壁に使用する外壁材や断熱材なども削減することができます。
そのため、建築コストを抑えることに貢献します。

光熱費を削減できる。
天井が低いと、空間の容積は小さくなり、冷暖房効率が向上するため、光熱費を削減することができます。
落ち着きを感じる。
天井が低い方が落ち着きを感じる人は多いです。
特に、座って勉強や読書をする際などは、天井高が低く籠れる空間の方が落ち着ける、集中できる、という方が多いでしょう。

低い天井のデメリット
続いて、低い天井のデメリットを紹介します。
低い天井のデメリットは、次の2つです。
圧迫感を感じる。
天井が低いことで、狭さを感じ、圧迫感や窮屈さを感じる方もいらっしゃいます。
頭をぶつける危険がある。
過度に天井が低いと、天井や照明器具などに頭をぶつけるリスクがあります。

低い天井の注意点
低い天井を設計する際、注意点があります。
実は、建築基準法で、居室の天井高は2.1m以上でなければならないと定められています。
居室であっても、2.1mよりも天井が低い部分をつくることは可能ですが、その場合でも、平均すると、2.1m以上になるように勾配をつけるなどの工夫が必要です。

理想の天井高・ベストな天井高とは? 設計デザインのポイント。
一般的な天井高「2400mm」、それよりも「高い天井」・「低い天井」、それぞれのメリット・デメリットを紹介しました。
以上を踏まえて、理想の天井高・ベストの天井高とは何か?天井高を設計デザインする際のポイントを解説します。

理想の天井高・ベストな天井高は、その空間で暮らす「人」であったり、「行動・状況」によっても変わります。
そのため、求められる条件に応じて、天井高をデザインする必要があります。

また、ある部屋の大きさや形などを決める際には、その前後の部屋や周辺環境との関係性を大切にしましょう。
間取り・空間に引き締める部分と、思いっきり抜く部分をそれぞれつくり、強弱・アクセントをつかって、それぞれの空間の個性を相乗効果で引き上げるように全体を構成するのがポイントです。

適材適所、多様な空間をつくることがより魅力的な間取り・住まいを実現することにつながります。
例えば、一人で集中したい・籠りたい場所は、それに適するように引き締めた空間をつくり、皆でくつろぐための空間は吹抜や余裕ある床面積でつくる。閉じる部分と開く部分を明快にする。
結果として、一人の空間は、より集中できる場所に、皆の空間は、より開放的になるのです。
天井高の他にも、最高の住まいを設計デザインしたい方は、こちら↓の記事がおすすめです。
【最高の間取りの7ルール。間取りの良い悪いは何が基準になるの?】

まとめ
今回は、理想の天井高・ベストな天井高とは、どのような天井高なのか?設計デザインのポイントを紹介。高い天井・低い天井のメリット・デメリットを詳しく解説しました。
天井高のデザインは、空間の心地よさにダイレクトに影響します。けれども、適切かつ魅力的な天井高をデザインするためには、設計力が必要です。

そのために最適なのは、建築家・設計事務所で間違いありません。
しかしながら、設計事務所に依頼すると、どうしても「費用」も高くなると考える方も多いと思います。けれども、建築家・設計事務所によっては、そのようなことはありません。
実は、「設計力」も「コストパフォーマンス」もどちらも優先し、高いクオリティを実現出来るのが「建築家のいる設計事務所」との家づくりです。ぜひ、一度は相談に行ってみましょう。
こちら↓の記事で詳しく解説していますので、ぜひ、参考にしてみて下さい。
【建築家・設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れる!?設計料など費用面を徹底解説!】

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
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