「開放感のある家」をつくる7つのポイント|注文住宅で“面積以上の広がり”を生む設計デザイン

開放感のある住まいは、広さを感じて、余裕やゆとりがあるように見えて魅力的ですよね。
しかしながら、開放感のある家をつくるには、高額な建築コストが必要だと考えて諦めている方も多いのではないでしょうか?

 

 

ただ、実は「面積が大きく広いこと」と「開放感を感じられる空間であること」は、必ずしもイコールではありません。
実際の面積は同じであったとしても、空間をどのように構成するかで、その印象や広さの感じ方は全く異なるものになります。

言い換えれば、それほど大きな家でなくとも、面積を大きくしなくとも、開放感を感じられる家は可能なのです。

 

 

そこで今回は、開放感のある家をつくる7つのポイントを紹介。
開放感を生み出すための間取り、インテリア、設計手法、デザインなどについて、詳しく解説します。
ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。

 

 

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まずは、開放感のある家をつくるための7つのポイントを紹介します。

次の7点が開放感を演出するための設計のポイントです。

1.空間に強弱をつける。
2.視線の抜けをつくる。
3.スッキリとしたシンプルな空間をつくる。
4.大きな窓を効果的に設ける。
5.内と外を一体的に設計する。
6.その先の空間を想像させる。
7.アイストップをデザインする。

それぞれ、詳しく解説します。

開放的な空間のメリットや注意点については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【開放感のある家のメリット・デメリット。開放的な間取りを設計する際の注意点や対策。】

 

 

 

1つ目のポイントは、「空間に強弱をつける。」です。

開放感をつくるとき、面積を大きくするか、天井高を高くしようと考えるのではないでしょうか?
もちろん、効果はありますが、ただ空間を広くするだけでは不十分で非効率です。
住宅は体育館ではありませんので、全てが広いだけでは間が抜けた空間になってしまいます。

 

 

それぞれの部屋の大きさや形などを決める際には、その前後の部屋や周辺環境との関係性を大切にしましょう。
間取り・空間に引き締める部分と、思いっきり抜く部分をそれぞれつくり、強弱・アクセントをつかって、それぞれの空間の個性を相乗効果で引き上げるように全体を構成するのがポイントです。
すると、適材適所の多様な空間が出来上がり、より魅力的な間取り・住まいを実現することができます。

 

 
例えば、一人で集中したい・籠りたい場所は、それに適するように引き締めた空間をつくり、皆でくつろぐための空間は吹抜や余裕ある床面積でつくる。閉じる部分と開く部分を明快にする。
結果として、一人の空間はより集中できる場所に、皆の空間はより開放的になるのです。

 

 

天井高の高さについては、こちら↓の記事でも詳しく解説しています。
【理想の天井高?高い、低い、ベストは?各メリット・デメリットや設計デザインのポイント。】

 

吹き抜けについては、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【吹き抜けとは?メリット・デメリットやその対策を解説!施工事例もご紹介します。】

 

 

 

2つ目のポイントは、「視線の抜けをつくる。」です。

「その空間の中で、どれだけ視線が抜ける・通るか」は、人がその広さを感じる際のとても重要な要素になります。
開放感を演出するためには、視線の抜けをデザインすることが必要です。

 

 

視線の抜けをデザインする方法には、例えば、次のような工夫が挙げられます。

・空間を明確に分割するような間仕切り壁を設けずに、空間を緩やかに繋ぐ。
・高さの低い家具で空間を緩やかに仕切る。
・どこにいても、どこを見ても、視線が抜けるように効果的に窓を設ける。

このように視線の抜けを設計することは、開放感を演出するためのデザインとして非常に有効です。

 

 

 

3つ目のポイントは、「スッキリとしたシンプルな空間をつくる。」です。

全てのモノがピッタリと納まり、スッキリ・明快・シンプル。それでいて、味わい深い空間は、とても心地がよいものです。
無駄・ノイズがなく、澄み渡るようにデザインされていることは、開放感を演出するのにも効果的だと言えます。

 

 

そのために最も重要なことは、目に見えるモノの全てに意味があり、デザインされていることです。
具体的に言えば、窓・建具・家具、全てがオーダーでデザインされていて、その寸法・位置や高さに規則性・整列性・統一性があること。
これが「スッキリとしたシンプルな空間」の正体です。

 

 

窓・建具・家具、全てをオーダーでつくると、どの会社に依頼しても非常に高額になり、コストパフォーマンスが悪いと考えている方もきっと多いことでしょう。
しかし、実はコストの調整までも緻密にデザインする「建築家の設計事務所」であれば、最高のコストパフォーマンスを実現できます。

 

 

オーダー家具・建具のメリット・デメリットについては、こちら↓の記事でも詳しく解説しています。

【オーダー建具・造作建具とは?既製品との違い、メリット・デメリット、注意点、施工事例。】
 
【造作家具・オーダー家具とは?特注の費用は?メリット・デメリット、注意点、施工事例。】

 

 

 

4つ目のポイントは、「大きな窓を効果的に設ける」です。

開放感を演出する際に、「大きな窓」に注目する方は多いのではないでしょうか?

けれども、大きな窓が大量にあれば、大きなデメリットが出ることを忘れてはいけません。
大きなデメリットには、次のようなことが挙げられます。
・コストがかかる。
・構造的な負荷が大きくなる。
・断熱性が大きく落ちる。

 

 

このような大きなデメリットがあるからこそ、大きな窓を採用する場合には、次の2つのことに注意が必要です。

・どう効果的に配置するか。
・いかに、壁をデザインするか。

つまり、住まいに快適・心地よさを求めるならば、大きな窓をいかに効果的に配置し、それ以外の壁をいかにデザインするかが重要なのです。この2つを見落とすと、「心地よい開放感」は演出できません。

 

 

大きな窓を効果的に配置するためには、例えば、次のようなことに注意します。
・「天井から床まで」あるいは「壁の端から壁の端まで」の寸法の窓を配置する。
・周辺からの視線、プライバシーに配慮しながら、眺望の良い方に配置する。

 

 

「壁をデザインするか」も大切です。
窓の設計が視線の抜けのデザインであるならば、壁の設計は、いわば、視線の溜まりだと言えます。
視線の溜まりをデザインせず、開放性ばかりに注目していては、落ち着けない空間になってしまいます。
壁・溜まりを上手くデザインすると、相乗効果で、さらに窓による開放感を演出する効果は高まるのです。

窓の設計デザインについては、こちら↓の記事でも詳しく解説しています。
【最高の開口部・窓のつくり方。4つのポイントと手順。住宅の設計デザインが決まる。】

 

 

 

5つ目のポイントは、「内と外を一体的に設計する」です。

外部空間を内部空間へ取り込むことは、開放感を演出するための方法として、非常に有効です。
意識が外へ向き、広がりを無限に感じるようになります。

 

 

逆に言えば、内と外を一体的に設計できなければ、広い土地であったとしても有効に利用できなかったり、魅力的な周辺環境の土地を選んだとしても、その意味が薄まりますよね。
庭を設けたり、手入れしたとしても無駄になってしまうかもしれません。

 

 

そのため、内と外を一体的に設計することは、建築の最も大切な命題の一つとして取り上げられるテーマです。

内と外を一体的に設計する際、大切にしたいのは「連続性」です。

連続性を生み出す手法も多くありますが、代表的なものを1つだけ挙げるならば、「バッファーのデザイン」

 

 

バッファーとは「緩衝材」という意味です。
内と外の心理的な距離感を緩和して近づけるように、内部空間から外部空間へ至るまでの「緩衝材」をデザインします。

例えば、バッファーのデザインの代表的な手法には、次のようなものがあります。
・庇を設ける。
・段差を減らす。
・縁側やテラスを設ける。
・外部へつながる土間リビング・土間スペースを設ける。

 

 
バッファーの手法は、一つだけを選ぶだけではなく、内部空間から外部空間へ至るまでに幾重にも緩衝材を設けると良いでしょう。
すると、内と外の心理的な距離感は近づき、内と外を一体的に設計することができ、それは開放感を演出することにつながるのです。

内と外を一体的にデザインする設計手法については、こちら↓の記事でも詳しく解説しています。
【一体的な「内と外」を実現する3つのポイントと4つのデザイン手法。中間領域とバッファー。】

 

 

 

6つ目のポイントは、「その先の空間を想像させる。」です。

ある場所に立った時、その視線の先に次の空間を想像させるものがあると、そちらに意識が向きますよね。
意識が次の空間に向く、ということは空間に広がりを感じさせること、開放感を演出することにつながります。

例えば、視線の先に次の空間から導かれた光があると非常に効果的でしょう。

 

 

他にも、行き止まりをつくらない廊下や部屋の繋がりを「回遊動線」として設計することも、とても有効だと言えます。
行き止まりがない・回遊動線で、住宅を構成すると、その先・その先に次の空間・部屋があると認識していますので、住宅全体に広がりを感じるようになります。

このように、その先の空間を想像させることは、開放感を演出することにつながるのです。

 

 

 

7つ目のポイントは、「アイストップをデザインする」です。

言い換えれば、「視線の先にあるモノをデザインする」ということです。

視線の先にあるモノ・目を引くところを魅力的にデザインすると、視線の先に意識は向かいますので、空間を広く感じるようになります。

 

 

例えば、前述したような手法、
・どこにいても、どこを見ても、視線が抜けるように効果的に窓を設ける。
・視線の先に、次の空間から導かれた光がある。
といったことも、アイストップのデザインの一例です。

 

 

他にも、長い廊下の先に、
・魅せるニッチを設ける。
・アクセントとなる素材を採用した壁を設ける。
・絵画や写真を飾る。
といった手法もあります。

このように、アイストップを魅力的にデザインすることは、視線の先に意識は向かわせ、開放感を演出することにつながるのです。

 

 

まとめ

 

今回は、開放感のある家をつくる7つのポイントを紹介。間取りやインテリアの設計手法・デザインなどを解説しました。
「面積や空間が大きく広いこと」と「開放感を感じられる空間であること」は、必ずしもイコールではないことや、面積以上の広がりを感じさせる設計デザインの手法が少しだけ見えてきたのではないでしょうか?

 

 

それほど大きな家でなくとも、面積を大きくしなくとも、開放感を感じられる家をつくることは可能です。けれども、住まい手だけでは難しく、専門家や本当に設計力のある設計士・建築家ならではのものでしょう。

気に入った設計士や建築家が見つかったのであれば、ぜひ一度、相談してみてはいかがでしょうか?

 

 

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。

施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。

その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。

建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

 

 

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。

 

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