ずばり、注文住宅・家づくりで、デザインに最もこだわるべきポイントは、窓・開口部です。
最も重要なのは「開口部をどう設けるか」だと考えている建築家や専門家は多く、それは住宅でも同じこと。
「開口部・窓をどう設けるかで、家づくり・注文住宅の設計デザインは決まる」と私も少なからず考えています。

どうして、それほど大切で、実際にベストな窓・開口部を設計デザインするためには、どうしたらいいのでしょう?
非常に重要なことにも関わらず、窓について、広く深い見識をもって家づくりを進められている方は少ないのではないでしょうか?

そこで今回は、最高の開口部・窓をつくり方。4つのポイントと手順を紹介。
なぜ「窓・開口部」が建築において最も大切なのか、その理由も解説します。
ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。

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窓・開口部で住宅の設計デザインが決まる。
まず、窓・開口部で家づくり・注文住宅の設計デザインが決まる理由を解説します。
2つの条件に対して明快に応えることが建築設計・デザインです。
1つ目が、内発的な条件。その建築の中で活動する人間が欲する欲求。
2つ目が、外発的な条件。その建築の周囲の制約や歴史などの文脈。
この2つを同時に総合的・明快に応えた時、快適で心地よく、長く愛される建築が生まれます。

では、この「内発的な条件」と「外発的な条件」が最もぶつかり合うところは、建築の要素の中のどこか?
それが「窓・開口部」です。
「窓・開口部」とは、内部と外部がぶつかり合うところ。
建築の内部の人間が外部の世界に対して、どう考え、どうアクションするのか?
それによって、どう快適で心地よい内部空間を展開するのか?どう暮らしていくのか?
このようなことを如実に表す建築のエレメントが「窓・開口部」なのです。
それゆえ、「開口部・窓をどう設けるかで、家づくり・注文住宅の設計デザインが決まる」という考え方は、一つの基本的な建築のセオリーとも言えます。

最高の開口部・窓のつくり方。4つのポイントと手順。
それでは、最高の開口部・窓のつくり方を解説します。
最高の窓のつくるには、次の4つのポイントを整理し、この手順で考える必要があります。
1.「ゴール」を考えることから出発する。
2.「窓・開口部」自体のデザインを決める。
3.「内部空間」のデザインを決める。
4.「窓辺」のデザインを決める。
それぞれ解説します。

1.「ゴール」を考えることから出発する。
最高の窓をつくるための一つ目のポイント・手順は、「「ゴール」を考えることから出発する。」です。
全てのデザインに共通する手順のセオリーは、「ゴール」を決めることから始まります。

「あれして、これして、そうして、出来上がったらこうなりました。」
ではなく、
「○○すると決める。そのために、△△して、☆☆する。そして、○○へと完成させる。」
という手順。
つまり、まずは全体・ゴールを決め、そのゴールをより良いものとするために、ディテール・詳細を決めていく。
これがデザインのセオリーとも言える手順です。

最高の窓を目指すことは、「外の世界に対して内部を最高のカタチで開くこと」を目指すことです。
「内部と外部の関係性を最高のものにデザインしよう」と導くこととも言えます。
そのためには、いきなり「窓・開口部」という小さな枠で考えるのは、やめましょう。
まずは、建築全体の方向性を考えることから始めること。
周囲に対して、建築全体はどうふるまうのか?という「デザインの方向性」を考え、ボリューム・配置・向きなどによって「フレーム・大枠」をどうするのかを決めましょう。
そして、「全体」のデザイン、「デザインの方向性」・「フレーム・大枠」を決めることは、ダイレクトに窓のデザインにもつながるのです。

2.「窓・開口部」自体のデザイン。
最高の窓をつくるための二つ目のポイント・手順は、「窓・開口部」自体のデザインを決めることです。
・外部からプライバシーを守りつつ、採光や換気のために、小さく開く。
・眺望を最大限に得るために、大きく開く。
このように目的を考慮しながら、「窓・開口部」自体の「位置・寸法・種類」といった要素を詳細に検討しましょう。

しかしながら、一般的に多くの設計士が「窓・開口部自体のデザイン」を細やかに配慮して検討することを放棄してしまいます。
例えば、
・何も配慮せずに、ごくありふれた位置に窓を配置する。
・既製品の寸法の窓しか選らばない。
・適材適所で窓の種類を選ぶのではなく、引き違い窓の一択。
といったようにですね。

おそらく、「費用が余計にかかる」「構造的に負荷が増える」といったもっともらしい理由や不安などを挙げることでしょう。たしかに、このような側面が無いとは言いません。
けれども、注文住宅を選ぶ予算があるならば、建築コストや構造の負荷は、それ以外の部分で調整できるケースがほとんどです。よって、それらは全て正当な理由ではないと考えられないでしょうか?

目的は、素晴らしい住まいをつくることです。
目的に対して、理由ではなく言い訳を積み重ねても、魅力ある住まいをつくることは出来ないのです。
「窓・開口部」の「位置・寸法・種類」、その一つ一つに意思や理由・想いを込め、明快な説得力があることが大切です。
少なくとも、LDKなど主たる空間には、位置・寸法・種類にデザインのアイデアが詰め込まれた魅力ある窓を設けたいものです。
「窓・開口部」自体のデザインについては、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【失敗しない窓の選び方。開閉方法・形状・位置。窓の種類ごとの特徴・メリット・デメリット。】

3.「内部空間」のデザイン。
最高の窓をつくるための三つ目のポイント・手順は、「内部空間」のデザインです。
2つ目のポイントで、どういった「位置・寸法・種類」の窓を設けるかは、外部に対して内部をどう開くのかを決めることだと説明しました。
外部に魅力的なものがあったり、あるいは、視界が開けている・十分な太陽光を得られる場合には、その方向に向け、大きな窓を設けたりしますよね。

けれども、どれだけ大きく魅力的な窓を設けたとしても、内部空間・実際に展開される暮らしに対して効果的でないならば、その意味は薄れてしまいます。
逆に、例えば、LDKの大きな窓と、ソファー・キッチン・ダイニングテーブルが抜群にいい関係性を築けていれば、その窓はより魅力的なものになることでしょう。
このように「窓」に対して「内部」をデザインすること、「それぞれの窓に対して、どのような内部空間を展開するのか」は非常に大切です。

窓に対して、内部をデザインする際には、次の2つのことを大切にしましょう。
1.最適なレイアウトを探す。
2.ノイズを減らす。
それぞれ詳しく解説します。

1.最適なレイアウトを探す。
1つ目が「最適なレイアウトを探す」です。
窓といい関係になるように配慮しながら、「ソファー・キッチン・ダイニングテーブルのレイアウト・配置」、そして、それに伴う「間取り」を検討しましょう。
間取りについては、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【最高の間取りの7ルール。間取りの良い悪いは何が基準になるの?】

2.ノイズを減らす。
2つ目が「ノイズを減らす」です。
大きく魅力的な窓を設けたとしても、その周りの空間やデザインがガチャガチャしていたり、モノであふれていては、その魅力が分かりにくくなってしまいます。
無駄なノイズを減らし、シンプルでスッキリした空間をデザインすることで、魅力的な窓のポテンシャルを最大限に引き出しましょう。
こちら↓も合わせて、参考にして下さい。
【“Less is More.” シンプルで魅力的な住宅。実現する設計デザイン。】

4.「窓辺」のデザイン。
最高の窓をつくるための四つ目のポイントは、「窓辺」のデザインです。
窓辺とは、窓の周りの空間を指します。
例えば、白い壁にある窓に「木の窓枠」を使えば、より窓が際立ったり、窓の「奥行」を深くすれば、その窓の光を溜めるための空間になります。
他にも、窓の上に「庇」を設けて軒下の空間をつくったり、「テラス」「アウトドアリビング」「デッキスペース」などを設ければ、屋外空間に窓辺が広がります。
あるいは、屋外へとつながるように「縁側」「土間リビング」などを設ければ、屋内空間に窓辺は広がりますよね。

こうした「窓辺」のデザインは、内外の連続感を生み、内と外を一体的にデザインするための手法として有効です。また、光の溜まる居心地のいい場所や魅力的な空間を演出することもできます。
内と外を一体的にデザインする手法については、こちら↓で詳しく解説しています。
【一体的な「内と外」を実現する3つのポイントと4つのデザイン手法。中間領域とバッファー。】

まとめ
今回は、最高の窓をつくり方。4つのポイントを紹介。
なぜ「窓・開口部」が建築において最も大切なのか、その理由も解説しました。
「窓・開口部」とは、内部と外部がぶつかり合うところであり、内部と外部の関係をデザインする最も大切なエレメントです。

その窓をよりよくデザインするためのポイント・手順は次の4つだと解説しました。
1.「ゴール」を考えることから出発する。
2.「窓・開口部」自体のデザインを決める。
3.「内部空間」のデザインを決める。
4.「窓辺」のデザインを決める。

では、「最高の窓」であるための条件とは何でしょうか?
「最高の窓」のための条件とは?
住まい全体が「最高の窓」を最高とするためにデザインされていること。
住まい全体が「最高の窓」の「窓辺」、外と一体的につながる空間であること。
このような「窓」と「建築」の有機的な関係性を実現できれば、「最高の窓」をデザインできるのではないでしょうか?そして、最高の窓を目指すことは、住宅設計の醍醐味の一つだと考えています。

窓の一つ一つに想いを巡らせ、丁寧にデザインするのが、建築家・設計事務所です。
しかしながら、設計事務所に依頼すると、どうしても「費用」も高くなると考える方も多いと思います。けれども、建築家・設計事務所によっては、そのようなことはありません。
実は、「設計力」も「コストパフォーマンス」もどちらも優先し、高いクオリティを実現出来るのが「建築家のいる設計事務所」との家づくりです。ぜひ、一度は相談に行ってみましょう。
こちら↓の記事で詳しく解説していますので、ぜひ、参考にしてみて下さい。
【建築家・設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れる!?設計料など費用面を徹底解説!】

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
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