家づくりをはじめる際、土地探し・土地選びからはじめる方も多いことでしょう。
土地探しでは、その土地自体の状況や条件はもちろんですが、周辺環境もチェックしておきたいところです。
しかしながら、どこを・どうやってチェックすればいいのか、分からない方は多いのではないでしょうか?知識不足・調査不足のままでは、購入した後で、大きなトラブルが発生し、後悔することになるかもしれません。

そこで本記事では、土地探しのチェックポイント・注意点を解説します!加えて、後悔や失敗しない土地選びのためのチェックリストも紹介します!土地探しをしている方や土地の購入を検討している方はぜひ最後までご覧下さい。

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【土地探し情報 まとめ】は、こちら↓

土地選びの基準を決めよう。
後悔や失敗しない土地選びのために、まずは、土地選びの基準を決めましょう。
具体的な土地の情報を集めながらでも構いませんが、まずは、自分の理想の土地とは、どのような土地でしょうか?
そこを整理しておきましょう。

要望を整理するために、まずは、次の3つの大枠に沿って考えてみるのが、おすすめです。
1.ロケーション
田舎/都会・眺望・利便性・安全性・日当たり・学区・交通網・周辺施設など。
2.予算
土地単体で考えるのではなく、建物の費用も考慮して、予算を決めるのが大切です。
少なくとも、一度は住宅メーカー・工務店・設計事務所などに相談して、費用感を探っておくと良いでしょう。
3.面積・形状
どのくらいの面積で、どのような形状がいいか。
面積が小さかったり、形状が異質であれば、土地の費用は抑えられます。

ロケーション・予算・面積と形状、この3つの大枠を意識して土地を考えることは、「これからの暮らし」を考えていくことに繋がります。できるだけ、具体的なご家族の暮らしをイメージしながら、土地の要望を整理していきましょう。

土地の条件の優先順位をつけよう。
続いて、希望の条件に優先順位をつけて、選択肢が絞りましょう。
立地・予算・面積・形状など、どの条件を最も重視するか明確にします。全ての条件を満たす土地を見つけるのは難しく、多くの場合、土地価格が相場よりも高くなることでしょう。そこで、優先順位をつけることで、妥協点を見つけ、選択肢を絞り込むと同時に選択肢を広げていきます。

ここで見落としがちなことは、建築計画・設計で解決出来ることもある、ということです。
例えば、「明るさを確保したい」「十分に広い家に住みたい」「開放的な暮らしがしたい」「変な形の土地は嫌」といった要望は、実は、建築の内容に関する要望です。極端に暗い土地・狭い土地でなければ、吹抜を設ける、階数を増やす、土地の形に合わせた魅力的な建築を設計する、などの建築計画・設計次第で、意外とアッサリ解決できる可能性は十分にあり得ます。消費者目線でデメリットと考えていたポイントは、専門家の多角的な知見からすれば、逆にストロングポイントであることは大いにあり得ます。

逆に、田舎か都会か?利便性の良さ、学区、交通網、周辺施設といった希望は、基本的には建築内容に関わらず「土地」で決まります。
この点も考慮して、希望の条件に優先順位をつけることで、自分達にとっての賢い選択肢が見つけていきましょう。

正しい方法で土地を探そう。
要望、チェック項目、確認方法を整理出来たら、いよいよ、土地探しです!
土地探しの方法には、インターネットで探したり、不動産会社や銀行に相談する、といった方法がありますが、まず、最初にとるべき、正しい方法がこちら↓です。
「建築会社(ハウスメーカー/工務店/設計事務所)に相談する。」

土地探しの際、まずは、不動産会社ではなく、建築会社に相談しましょう。
土地は土地、建物は建物、と別々に考えることが普通のことのように思えますよね。そして、土地探しは不動産会社に相談して、土地が決まった後に、建物のことを建築会社に相談します。実は、これが危険なパターンです。

当然ですが、土地と建築は深く関係しています。土地次第で、計画できる建築の内容が変わってきます。ですから、土地と建築は、同時に計画するのがセオリーです。
まずは建築会社に相談しましょう。
このことは土地探しにおいて、最重要のポイントです。こちら↓の記事で詳しく説明していますので、ぜひ、ご参照ください。
「土地と建築会社、どちらを先に決めるのが正解?失敗しない注文住宅・土地探しの秘訣を解説!」

土地購入のチェックポイント・注意点
ここからは、土地購入の際のチェックポイント・注意点を解説します。
基本的に、土地に法律上の問題がなければ、不動産会社から注意点を事前に知らされることもありません。建築会社であっても、技術力や対応力に問題があるケース、担当者が特に親切でなければ、事前に調査し、教えてくれることはないでしょう。

土地のチェックポイント・注意点を見落とした、調査不足だったことにより、想定外の費用がかかったり、希望が実現できない、などのケースは実際に多くあります。
不要なトラブルや後悔を未然に防ぐためにも、ここで、土地購入時のチェックポイント・注意点をしっかりと整理しましょう。

1.希望の条件を満たすか?
土地購入のチェックポイント1.希望の条件を満たすか?
まずは、自分たちの希望の条件を満たすか、チェックをしましょう。
前の項で前述したように、希望の条件に優先順位をつけた上で、希望の条件を満たすかのチェックしていきます。
・日当たりなどが極端に劣悪ではないか?
・交通の利便性は問題無いか?
・保育や学区、教育環境は充実しているか?
・商業施設や病院などは近くにあるか?
上記のことなどをチェックしましょう。

2.法規制の確認
土地購入のチェックポイント2.法規制の確認
法規制や条例を確認しましょう。特に事前に調べておきたい法規制・条例には次のようなものがあります。
〈建築基準法〉
・「容積率」や「建蔽率」といった面積に関する規制
・「用途地域」といった建物の用途などに関する規制
・「道路斜線制限」「隣地斜線制限」「北側斜線制限」といった高さに関する規制
・「防火地域」「準防火地域」「法22条区域」といった構造・仕様などに関する規制
・「市街化調整区域」などの都市計画に関する規制
〈条例〉
・「宅地造成規制法」による宅地造成に関する規制
・「がけ条例」による建築計画の規制
どれも建築計画の内容を大きく左右する規制である可能性があります。必ず、事前にチェックしましょう。

法規制や条例についての詳しい内容は下記のリンクから詳しく確認できます。
「建蔽率/建ぺい率」「容積率」とは?建築基準法や土地購入の際の基礎知識!
用途地域とは?調べ方と全13種類の特徴や制限、チェックポイントを解説します!
防火地域・準防火地域・法22条区域とは?耐火建築物などの建築制限について。
北側斜線制限とは?規制内容と土地を購入する際の注意点を解説します!
土地探し、崖土地・崖のある土地はやめた方が良い?がけ条例などの注意点も詳しく解説!

3.土地価格の相場を調べる
土地購入のチェックポイント3.土地価格の相場を調べる
土地の購入を決める前に、そのエリアの土地価格の相場を調べてみましょう。
土地価格の相場を知る方法として、最も代表的なものは、「実勢価格」を調べる方法です。実勢価格とは、実際に土地の売買が成立した価格のこと。国土交通省がインターネットで公開している「土地総合情報システム」内の「不動産取引価格情報検索 」で、過去の不動産取引データを一般公開しています。ただし、情報のボリュームが少なく、情報が古い場合もあります。
実勢価格を調べる以外にも、公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価額、などを調べる方法があります。

路線価については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
「旗竿地とは?やめた方がいい?特徴・メリット・デメリット、購入時の注意点を解説!」
また、土地を購入する際には、値引き交渉ができます。仮に希望する土地の価格が相場よりも高い場合には、交渉が成立しやすいです。
土地を購入する際の値引き交渉については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
「土地を購入する際の値引き交渉!上手な交渉方法、相場、注意事項などを解説!」

4.前面道路を調べる。
土地購入のチェックポイント4.前面道路を調べる。
希望する土地の前面道路を調べることは、非常に重要です。
・前面道路の幅員は4m以上あるのか?
・接道義務は満たせているのか?
・実は、前面道路は道路ではない道ではないか?
どれも見落としてしまうと、大きなトラブルとなる可能性があります。
必ず、事前にチェックしておきたいポイントです。
前面道路と土地の関係については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
「前面道路の幅員・方位で建築計画は変わる?状況ごとのメリット・デメリット!」

5.インフラは整っているか?
土地購入のチェックポイント5.インフラは整っているか?
インフラが整備されていない土地では、高額な追加費用が余計にかかるかもしれません。
上下水道は引き込み済みか?電気・ガスなどは引き込めるのか?
事前に確認しておきましょう。

6.地盤補強が必要か?
土地購入のチェックポイント6.地盤補強が必要か?
地盤が軟弱な場合は、建築前に地盤補強・地盤改良工事をおこなう必要があります。
地盤改良費は、工事の種類や施工範囲にもよりますが、数百万円かかるケースもあります。
地盤補強の必要かどうかは、対応力がある建築会社であれば、事前にある程度の試算をしてくれます。

7.災害リスクは高くないか?
土地購入のチェックポイント7.災害リスクは高くないか?
洪水や地震などの災害リスクの高さは、自治体のハザードマップを確認することで事前に調査できます。
ハザードマップは、土砂災害や洪水といった災害の危険区域や危険度合いなどを示したマップです。

8.土地の高低差や傾斜の有無
土地購入のチェックポイント8.土地の高低差や傾斜の有無
土地に高低差があったり、傾斜があると、将来的には売却が難しかったり、擁壁や切土・盛土といった大規模な造成工事が必要で、高額な費用が余計にかかったりします。
既設の擁壁がある場合には、その擁壁の劣化状況なども調べておきましょう。
また、周辺より低い土地は、豪雨や洪水による浸水リスクが高く、また、日当たりなどの居住性も悪いです。
傾斜地や高低差のある土地については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
「傾斜地や高低差のある土地のメリット・デメリット、注意点や建築設計のポイントを解説!」

9.境界線が明確か?
土地購入のチェックポイント9.境界線が明確か?
土地を購入する際は、土地の面積を測量するのが一般的です。
けれども、隣地との境界が境界杭などで不明瞭な場合があります。土地を購入する際、境界の認識が隣地の方と違っているとトラブルが起きることも。
隣地との境界線上に塀がある場合もあり、その場合、塀を共有していれば、購入者の都合だけでは撤去や補修を出来ないことがあります。

10.周辺環境
土地購入のチェックポイント10.周辺環境
周辺環境の基本の確認ポイントは、下記の通りです。
・日当たり
・水はけの良さ、側溝の有無
・歩道、街路灯、車の交通量
・騒音、異臭の有無
・ゴミ置き場、お墓などの嫌悪施設の有無
・周りにはどのような建物が建っているか?高さや色彩など。

11.重要事項説明書に不明瞭な点は無いか?
土地購入のチェックポイント11.重要事項説明書に不明瞭な点は無いか?
不動産会社を通して土地を購入する場合には、そこまで大きな不安を感じる必要はありません。不動産会社から「重要事項説明書」の提示され、説明を受けます。
けれども、重要事項説明書の内容をしっかりと把握しておかなければ、大きな失敗を招くことになりかねません。重要事項説明書に不明瞭な点があれば、必ず、クリアにしておきましょう。

12.建築会社に可能な建築計画と費用を確認しておく。
土地購入のチェックポイント12.建築会社に可能な建築計画と費用を確認しておく。
土地を購入する前に、必ず、建築会社に相談し、具体的に可能な建築計画と費用を提示してもらいましょう。

13.土地代以外にかかるお金を把握しておく。
土地購入のチェックポイント13.土地代以外にかかるお金を把握しておく。
土地購入時には、土地代以外にも仲介手数料・手付金・不動産取得税・登録免許税など、多くの諸費用がかかります。総費用がいくらかかるかは、土地ごとに大きく変わってきます。事前に総費用をシミュレーションしてもらいましょう。

後悔しないための調査方法
ここからは、できるだけ後悔しないための土地購入の仕方をご紹介します。
建築会社に事前に相談しておけば、ある程度のトラブルなどは未然に防ぐことができます。
けれども、できるだけのことをしておきたい方には、下記の調査方法がおすすめです。

1.時間帯を変えて、土地を見る。
後悔しないための調査方法1.時間帯を変えて、土地を見る。
気に入った土地が見つかれば、一度は現地に見に行くと思います。
けれども、朝・昼・夜など、土地を見る時間帯を変えて、土地を複数回、見に行きましょう。時間帯によって、交通量、人通りの多さ、騒音などの状況が変わりますし、夜は街灯がなく暗くて危ない、など昼までは気付けないこともあるかもしれません。また、平日と休日、どちらも行ってみて、その違いも確認しておきましょう。

2.周辺も歩いてみる。
後悔しないための調査方法2.周辺も歩いてみる。
その土地だけでなく、周辺ものんびり散歩してみましょう。
周囲に、長すぎる坂道があったり、墓地などがあったり、一方通行がやたらと多かったり、といった見落としがちな問題が見つかるかもしれません。その土地が、何となく肌身に合うか、気に入るかどうかどうかも、歩いてみないと分からないことです。
ぜひ、敷地周辺をのんびり歩いてみて、周辺環境をしっかり確かめてみてください。

3.近隣の方の話を聞く。
後悔しないための調査方法3.近隣の方の話を聞く。
住まいが完成し、新しい暮らしを始めれば、近隣の方とのご近所付き合いは少なからず出てきます。
実は、近隣に変な人が住んでいたり、近隣住民とのトラブルがあったりして、後悔するケースは、非常に多いです。
対策として、隣・近所の方々から話を聞いて事前に情報収集をする事は極めて大切です。愛想よく挨拶をして気軽に話を聞いてみれば、実際に住んでいないと分からない有益な情報を教えてくれることはよくありますよ。

土地購入時のチェックリスト
それでは、ここまでの話を総括して、土地購入時のチェックリストを紹介します。
・建築会社に事前に相談したか?
・希望の条件を満たすか?
・日当たりなどが極端に劣悪ではないか?
・交通の利便性は問題無いか?
・保育や学区、教育環境は充実しているか?
・商業施設や病院などは近くにあるか?
・建築基準法はチェックしたか?
・宅地造成規制区域ではないか?
・がけ条例がかかる崖が近辺にないか?
・土地価格の相場を調べたか?
・前面道路を調べたか?
・前面道路の幅員は4m以上あるのか?
・接道義務は満たせているのか?
・実は、前面道路は道路ではない道ではないか?
・インフラは整っているか?
・上下水道は引き込み済みか?
・電気・ガスなどは引き込めるのか?
・地盤補強が必要か?
・災害リスクは高くないか?
・土地の高低差や傾斜はないか?
・境界線が明確か?
・水はけの良さ、側溝の有無
・歩道、街路灯、車の交通量
・騒音、異臭の有無
・ゴミ置き場、お墓などの嫌悪施設の有無
・周りにはどのような建物が建っているか?高さや色彩など。
・重要事項説明書に不明瞭な点は無いか?
・建築会社に具体的に可能な建築計画と費用を提示してもらったか?
・土地代以外にかかるお金、総費用をシミュレーションしてもらったか?
・時間帯を変えて、土地を見に行ったか?
・その土地だけでなく、周辺も歩いてみたか?
・近隣の方の話を聞いたか?

まとめ
本記事では、土地探しのチェックポイント・注意点を解説しました。
後悔や失敗しない土地選びのためのチェックポイントは多くあり、専門家でないと網羅するのは厳しいと感じるのではないでしょうか?
だからこそ、建築会社にも事前に相談しておき、協力して、土地購入での失敗を防ぎましょう。

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
ぜひ、参考にしてみて下さい!
土地に関する絶対に把握しておいて頂きたい内容はこちら↓のリンク・記事にまとめています。ぜひ、こちらの記事も合わせて、参考にしてみてくださいね!