【外観デザイン×注文住宅】“美しい佇まい”のつくり方|建築家が実践する-5つの外観設計手法

はじめに|「外観の印象」は、暮らしの質にまで影響する

家づくりを考えたとき、多くの人が最初に思い描くのは“外観”ではないでしょうか。
住宅のファサード(正面の表情)は、日々の帰宅のたびに目に入り、通りすがりの人の記憶にも残ります。
しかし、外観デザインとは単なる「見た目」の問題ではありません。

 

 

本当に美しい外観には、整った構成力時間に耐える普遍性が宿っています。
それは、建築が「暮らしと環境」に調和しながら佇む姿・内部の心地よさを表すもの
この記事では、注文住宅において「美しい佇まい」をつくるための建築家が実践する5つの外観設計手法を、思想と技術の両面から解説します。

 

 

Table of Contents

 

建築外観における「美しさ」には、さまざまなかたちがあります。
しかし、住宅は、これからの長い年月を共にする“人生の器”
だからこそ、奇抜さや派手さではなく、過剰な主張のない、静かな存在感を大切にしたいところです。

作為的な強調がなくても、建物が自然や周囲の環境にすっと馴染み、
それでいて、見る人の記憶に静かに残っていく──
そうしたあり方を、私たちは「佇まいがある」と表現しています。

 

 

この“佇まい”は、装飾や流行といった表層的なデザインでは決して生まれません
建築の美しさが自然と立ち上がるとき、そこには必ず、空間の構成や設計思想が深く関与しています

その中でも、外観設計において大切にしたいのが、次の3つの“設計軸”です。

・美しさが自然と立ち上がる「素直さ」
・空間を論理的に秩序立てる「整い」
・時間に耐える「普遍性」

 

 

この3つが静かに交差するとき、建築は語らずとも美しさをまとい、
“佇まい”というかたちで、その存在感を静かににじませていくのです。

ここからは、「素直さ」「整い」「普遍性」それぞれの設計思想と設計技術について解説します。

 

 

美しさが自然と立ち上がる「素直さ」

外観デザインで大切にしたい1つ目の“設計軸”が「素直さ」です。

建築における“素直さ”とは、素材・構造・敷地環境・機能に対して、次のように、無理せず正しく応答する姿勢のことです。

・風や光の通り道をつくり、風景を取り込むように窓を設ける。
・構造に逆らわず、梁や柱の役割をそのままデザインに昇華する。
・自然素材の質感や色味の魅力を活かす。

 

 

素直な設計には、派手さやインパクトはないかもしれません。

けれども、建築が人の暮らしや風景にすっと溶け込み、
穏やかに寄り添いながら、静かに記憶に残っていく──。

“素直さ”という設計姿勢こそが、建築に本質的な美しさをもたらす源なのです。

こちら↓の記事もオススメです。
【機能美とは?|暮らしを整えることで生まれる“本当の美しさ”-建築家が語る住宅デザインの核心】

 

 

空間を論理的に秩序立てる「整い」

次に、外観デザインにおいて大切にしたい“設計軸”が「整い」です。

どれだけ優れた素材や形状を用いても、他の要素との文脈が整っていなければ、建築は美しくなりません。

建築における“整い”とは、寸法や比率、線の流れや高さの構成など空間全体に宿る論理と秩序の精度を指します。

 

 

とくに外観設計では──
屋根の厚み、軒の出、壁のライン、開口部の配置といった、すべてのディテールがひとつの設計思想のもとで秩序立てられているときに美しさを感じるもの。

たとえシンプルな構成でも、ラインが濁らず、プロポーションが整っていれば、建築は驚くほど美しい。

“整い”とは、単なる視覚的バランスではありません。
空間に触れたときの五感や身体感覚にまで及ぶ、感覚の調律でもあります。

だからこそ、感覚に寄り添う設計こそが、建築に本物の美しさをもたらすのだと私たちは考えています。

こちら↓の記事もオススメです。
【【注文住宅×インテリア】“統一感”で整える家づくりのルール5選|モデルハウスのように仕上げる内装設計】

 

 

 

時間に耐える「普遍性」

最後に、外観デザインで大切にしたい“設計軸”が「普遍性」です。

住宅において、時代性や流行を取り入れることも一つのアイデアでしょう。
しかし、10年、20年と時を重ねても“長く愛される”建築とするためには、より本質的な美意識が求められます。

“普遍性”とは、時間に耐える設計の骨格。
景観が変わっても、暮らしが変わっても、建築そのものの価値が揺らがないことです。

 

 

とくに外観では、次のような要素が普遍性を支えます。

・流行に左右されない形と素材
・時間に耐える色彩のバランス
・モダンにもクラシックにも通じる寸法やプロポーションの整理
・古びるのではなく“味わい”として深まる経年変化

素材や寸法、構成を丁寧に積み上げることで、静かな力をもつ美しさが立ち上がってきます。

派手ではなくても、時間とともに色褪せない外観。
それこそが「普遍性」と呼ぶにふさわしい、深く静かな美しさです。

こちら↓の記事もオススメです。
【“Less is More.”|本当に魅力的なシンプルデザインとは?-注文住宅・家づくりの美学と本質】

 

 

 

前述した「素直さ」「整い」「普遍性」
この3つの設計軸は、建築に静かな佇まいを宿すための思想的な土台です。

そしてその思想を、現実の建築として具体的に立ち上げていくためには、実践的な設計手法が欠かせません。
つまり、佇まいの美しさは「思想」と「技術」の両輪によって実現するものなのです。

ここからは、建築家が実践する、外観設計における5つの具体的な設計手法をご紹介します。
いずれも装飾や演出ではなく、「本質的な美しさ」をかたちづくるための実務的なアプローチです。

 

 

① 比率とラインを整える|建築に「秩序」を与える設計手法

まず初めに紹介するのは、外観に「秩序」と「安定感」をもたらす設計手法、「比率とラインを整える」です。

住宅の外観は、色や装飾だけで印象が決まるわけではありません。
本質的な美しさは、形と寸法の“整い”に宿るものです。

この「整い」は、単なるプロポーション(比率)だけではなく、要素同士の高さ・位置関係・線の通し方に深く関わっています。

 

 

例えば、次のような設計手法です。

・軒のラインと窓の上端を揃える
→ 水平ラインが通り、建物全体に統一感と安定感が生まれる

・玄関ドアと隣接する窓の高さを合わせる
→ 要素が秩序立ち、雑然とした印象が消える

・開口部の高さや幅を“リズムよく繰り返す”
→ 視線の流れが整い、建築全体に心地よいテンポが生まれる

こうした整え方は、一つひとつの要素をバラバラに設計するのではなく、建物全体を一貫した設計コンセプトに沿ってまとめることがポイントです。

 

 

美しさは、細部の“接点”にも宿ります。

・軒天と外壁の取り合いで、段差をなくし、影のラインを美しく揃える
・外壁材の納まりを調整し、出隅がピタッと直角に通るよう整える

これらは一見、細かい違いに見えるかもしれません。
ですが、この“微差の積み重ね”こそが、空気感を整え、美しい佇まいをつくる源になるのです。

 

 

②窓で表情をつくる| “抜け”と“閉じ”の構成設計

次に紹介する外観デザインの設計手法は、「窓で表情をつくる」──“抜け”と“閉じ”の構成設計です。

前述の「比率とラインを整える」設計手法では、外観の基本的な秩序を形づくるための寸法や配置の整え方を見てきました。そこにもう一つの美しさを加えるのが、「窓」という存在です。

 

 

建築において窓は、採光や通風といった機能的な役割を超えて、外観にリズムと抑揚といった“表情”をかたちづくるものでもあります。

しかしながら、ただ窓を多く設ければよいというものではありません。
どこを“開け”、どこを“閉じる”のか──その設計判断こそが、建築全体の印象を大きく左右します。

 

 

以下のような構成を意識することで、建築の外観には視覚的な抑揚と奥行きが生まれ、静かな存在感が育まれます。

・大きな開口は「見せ場」に絞る
→ 庭や空への抜けを活かし、メリハリをつける

・スリットや小窓を活用する
→ 開きすぎず、圧迫感を抑えながら表情を与える

・窓に奥行きを持たせる
→ 外壁と窓の間に“深さ”を設けることで、陰影と立体感が生まれる

・配置のリズムを整える
→ 連窓・並びの高さを揃えることで、視線が自然と誘導され、落ち着いた印象に

 

 

このように、窓はひとつひとつの“形”だけでなく、全体の配置やバランスによって建築の表情を整える役割を果たします。

窓については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【「最高の窓・開口部」をつくる4つのポイントと設計手順|注文住宅の魅力を最大化する考え方とは?】


次に考えるべきは、「どこに窓を開け、どこを閉じるか」という構成の判断軸です。

 

 

以下の観点が、外観と空間における“窓の抜き方”を決める重要な設計指針になります。

・プライバシーの保護
→ 道路や隣家に面する面は控えめに、内向きに開く

・借景・眺望の活用
→ 山・空・庭など“抜け”のある方向に大きく開く

・光の導線と陰影の設計
→ 朝・昼・夕で光の入り方を意識し、窓の高さ・角度を調整

・室内の視線・動線との連携
→ 窓の位置が、室内の居心地や視線の流れに調和するように構成する

 

 

このように、窓の「形」「配置」「開き方」のすべてが連動して設計されることで、建築には奥行きある表情と、静けさをたたえた佇まいが生まれます。

外観における“美しさ”とは、ただ整っているだけではなく、見る人の視線と感情を、意図的に導き、そっと受け止める構成力のなかに宿るのです。

こちら↓の記事もオススメです。
【【注文住宅の設計手法】一体的な“内と外”を実現するデザイン|中間領域とバッファーゾーンを解説】

 

 

③素材で魅せる|“色”より“質感”で外観をデザインする

次に紹介するのは、色ではなく素材の質感で外観を魅せるという設計手法です。

建築の美しさは、「何色を塗るか」ではなく、どんな素材をどのように見せるかによって決まります。
無垢材の年輪、左官の陰影、金属の反射など。
素材には、それぞれ固有の厚み・手触り・光の吸収率といった特性があるもの。
その個性を隠すのではなく、“素直に活かす”ことが、建築の肌合いと奥行きを生むのです。

 

 

たとえば、次のように素材が持つ「時間」と「空気」をそのまま受け入れることで、建築はより深みを帯びていきます。

・無垢材の素朴な色むらや、経年変化による艶が、建物に独自の風合いとあたたかさを添える

・左官壁のわずかな凹凸が、光と影を柔らかく受け止め、陰影のある静かな表情を生み出す

・ガルバリウムや銅板などの金属が持つ質感が、引き締まった輪郭と静かな緊張感を与える

 

 

こうした“素材そのものが持つ表情”をそのまま活かすこと。
それが、時間とともに味わいを深め、長く愛される外観をつくるための基本です。

色や装飾で目を引くのではなく、素材の質感と、そこに刻まれる経年の変化によって建築の魅力を引き出す。
そのためには、素材の特性を理解し、丁寧に設計へ落とし込む姿勢が欠かせません。

素材や色については、こちら↓の記事もオススメです。

【自然素材のインテリアで叶える、五感にやさしい注文住宅|健康的な暮らしを包む“心地よさ”の設計術】

【【内装インテリアの色選び】床・壁・天井で後悔しないための基本ルール|注文住宅の家づくりとデザインの注意点ガイド】

 

 

④ 余白を仕込む|詰め込まない設計が「静かな存在感」を生む

次に紹介するのは、「余白を仕込む」という設計手法です。

外観デザインにおいて、つい装飾や機能を“足すこと”に意識が向きがちですが、本当に美しい佇まいをつくるには、「何をデザインしないか」を見極めることが重要です。
つまり、詰め込みすぎず、空間に“余白”を意図的につくること
この設計判断が、建築の持つ“静けさ”や“品格”を大きく左右します。

 

 

たとえば、余白の設計には、次のようなものがあります。

・外壁一面に、あえて開口や装飾を全く設けず、面としての“余白”を確保する
→素材そのものの美しさや輪郭が際立つ

・窓、装飾などのエレメントはまとめることで密度を下げる
→視線が散らからず、落ち着いて、建築の全体像を感じ取れる構成になる

・敷地と建物のあいだに“引き”をつくり、奥行を設ける
→街並みに対して圧迫感のない、穏やかな距離感を生む

 

 

このように、ただ「空けておく」のではなく、意図をもって余白を配置することで、建築とその周囲に穏やかな空気が流れはじめます。
すると、光と影、風の動きがその空間にゆるやかな表情を与え、そこに凛とした落ち着きと、静けさを伴った存在感が宿る。

 

 

一方で、要素を詰め込みすぎた建築は、情報量が多く、どこか「見せようとする必死さ」がにじみ出てしまうものです。

余白を備えた建築は、自らを語りすぎることなく、静かに在る。
その控えめな佇まいこそが、設計の深みと、本質的な美しさを映し出すのです。

こちら↓の記事もオススメです。
【“Less is More.”|本当に魅力的なシンプルデザインとは?-注文住宅・家づくりの美学と本質】

 

 

⑤ 多視点からの美しさ|動線・角度・距離で変化する“奥行”

最後に紹介するのは、「見る方向や距離によって建築の印象をどう設計するか」に着目した手法です。

家の外観は、真正面から一瞬見るだけのものではありません。
たとえば、敷地に近づくとき、道路を斜めから通るとき、アプローチを歩くとき、
視線の高さ・角度・距離が変わるたびに、外観の印象も変化していきます。

そこで大切なのが、「視点の動き」ごとに、見え方を設計するという考え方です。

 

 

たとえば、正面以外にも、次のような構成に配慮しましょう。

・斜め方向から見たときにも線と面が整っているよう設計する
→ “正面だけ”ではない秩序感が生まれ、どこから見ても美しい建築になる

・近づくにつれて、奥行きや素材感が少しずつ見えてくる構成にする
→ 視線の移動に呼応するような情報の変化が、印象の深みを生む

・アプローチの動線に合わせて、見える角度をコントロールする
→ 一歩ごとに構成のリズムや光の見え方が変わるような演出ができる

・視線が自然と流れるように、壁の面・開口部・植栽などを配置する
→ 散らからない印象と空間の流れが両立する設計になる

 

 

このように、「多視点」と「動きの中での見え方」を前提に外観を構成することで、建築は“ただのモノ”ではなく、人の動きや視線に呼応する“体験”そのものになります。

角度が変われば、光の入り方も、素材の表情も、建物の輪郭も変わる。
その変化を感じる一歩一歩が、「この家に近づく体験」そのものを特別なものにしていきます。

 

 

外観デザインとは、“見た目を整える”ことではありません。
そこに佇むことそのものが、静かで豊かな体験になる──
そんな建築を目指して、すべての寸法と構成を選び抜いていくことが大切です。

 

 

 

 

ここまで紹介してきたように、外観を整えるには「比率」「窓の配置」「素材」「余白」「視点の構成」など、多角的な設計視点が必要です。
しかし実際の住宅では、その外観が“なぜか整って見えない”という違和感が少なくありません。

「美しく整った外観を目指したはずなのに、完成したら何かが違う」
住宅設計の現場では、こうした“見た目の違和感”がしばしば起こります。
その原因の多くは、以下の3つに集約されるので、覚えておきましょう。

 

 

装飾過多・情報過多
外壁・窓・玄関・素材がそれぞれ主張しすぎて、建築全体が散らかって見える。
統一感がなく、視線が定まらないことで「なんとなく落ち着かない外観」になる。

プロポーションの崩れ
軒の出、開口部の高さ、建物のボリュームバランスなどが整っておらず、全体が不安定に見える。
寸法やラインの揃いがないことで、「粗さ」や「素人っぽさ」が滲み出てしまう。

性能やコスト優先で、デザインが後回しにされる
断熱性やコスト重視のプランに、あとから外観を“足そう”とすると、設計に一貫性がなくなる。
「なんとなく整っていない」印象は、ここから生まれる。

 

 

こうした失敗の本質は、「センスの有無」ではありません。
本来設計されるべき全体構成や空間の論理が整理されないまま、表面的に“見た目”だけを整えようとする
その設計プロセスの順序の誤りこそが、違和感の正体です。

つまり、外観デザインとは最後に“足す”ものではなく、構造・寸法・配置・思想の積み重ねから自然ににじみ出るもの。
順序を間違えずに設計を積み上げていくことが、整った佇まいへの第一歩となるのです。

 

 

 

前述のように、「思ったように整わない」と外観デザインで失敗するケースは少なくありません。
その根本の原因には、「外から飾り立てて整える」という設計の順序の逆転があることも多いものです。

外観デザインを、装飾や意匠をあとから足して仕上げる“外側の演出”だと考えている方も多いのではないでしょうか?

 

 

しかし、本来の外観デザインの本質は、
「内側の設計の積み重ねが、かたちになって現れた姿」にほかならない。

構造・寸法・性能・空間構成といった建築の内側が丁寧に設計されているからこそ、その整いが自然と外ににじみ出るのです。

外観の美しさとは、“内側の設計の帰結”であり、決して外から付け足してつくるものではないのです。

 

 

例えば、次のようにいえるでしょう。

・屋根の形状は、架構(構造の骨組み)の合理性によって自然と導かれる
→ 無理な形状を押し通せば、その“歪み”は構造にも外観にも必ず現れる

・窓のサイズや配置は、断熱性・通風・採光・視線の抜けといった性能設計と直結している
→ 意味のない開口は、室内環境を損ねるだけでなく、外観としてもノイズになる

・建物の高さや奥行きは、天井高や空間寸法の積み重ねと密接に連動している
→ 空間の設計密度が、そのまま建築の「佇まい」として現れてくる

 

 

このように、「内部」と「外部」、「構造」と「かたち」が同じ思想で貫かれている建築だけが、装飾に頼らずとも、自然と整った外観と、深みのある印象をまといます

反対に、内部が未整理のまま、外観だけをデザインで取り繕おうとすれば、空間の論理と断絶した、どこか“意図の読み取れない建築”になってしまう

佇まいの美しさとは、建築の内側にある思想が、静かに外へにじみ出た姿です。
飾って整えるのではなく、丁寧に積み上げた結果として、自然と整っていくこと。
その設計の積層こそが、10年後・20年後にも揺らがない、外観の説得力を生むのです。

 

 

 

ここまで、外観の美しさは“内側の設計の積み重ね”から生まれるという視点でお話してきました。

一方で、「装飾で整えてはいけないの?」「窓の配置は自由にしてはいけないの?」といった疑問を持たれる方も少なくありません。

ここでは、外観設計にまつわるよくある質問にお答えしながら、本当に整った佇まいをつくるための考え方をもう一度整理していきましょう。

 

 

Q1. 色や装飾でおしゃれに見せるのは、間違いなのですか?

A. 色や装飾がすべて悪いわけではありません。ただし、建築全体の構成や寸法が整っていないまま、色や装飾だけで「おしゃれに見せよう」とするのは本質的な解決ではありません。あくまで設計の積み重ねが整っていることが前提であり、そのうえでの色使いや素材の選定が、外観の完成度を高めるのです。

 

 

Q2. 外観の印象を良くするには、どこから設計を見直せばいいですか?

A. 最初に見直すべきは、「構造」「寸法」「間取り」の整合性です。屋根の形・窓の位置・壁のバランス、こうした要素は内部の空間構成と密接に結びついています。外からの見た目よりも、内側のロジックを整理することが、外観を整える第一歩です。

構造設計については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【構造設計と構造計算でつくる“本当に地震に強い家”|耐震性能を“数値で証明”する設計の力とは?】

 

 

Q3. 住宅展示場では派手な外観が多いですが、それも正解なのでは?

A. 住宅展示場の建物は“目を引くため”にデザインされています。一方で、暮らしに長く寄り添う建築には、「飽きのこない整い」が重要です。奇抜さや装飾ではなく寸法や素材、空間構成が生む“静かな説得力”こそが、長く美しいと感じられる佇まいをつくります。

 

 

Q4. 窓の大きさや位置は自由に決められないのですか?

A. 窓は外観だけでなく、「断熱性能」「通風計画」「視線の抜け」などの室内環境にも深く関係しています。意味のない窓は、室内にも外観にもノイズを生みます。自由度はありますが、建築全体のバランスや性能設計と連動させて決める設計軸を大切にしましょう。

 

 

Q5. 美しい外観に必要な“余白”とは具体的に何ですか?

A. 「余白」とは、ただ何もない空間ではなく、密度を抑えて空気感を整える設計上の“間”です。
たとえば「開口を設けない壁面」「奥行を持たせたアプローチ」「装飾をまとめた構成」などが該当します。情報が詰め込まれた外観ではなく、見る人に“整っている”と感じさせる落ち着きは、余白から生みだされるものです。

 

 

 

外観デザインを整えるとは、装飾を足して仕上げることではありません。
構造、寸法、性能、空間構成──建築の内側を丁寧に設計すること。
その積み重ねが、自然と外ににじみ出て、「佇まい」として現れる。

それが、美しい外観を生む本質的なアプローチです。

 

 

本記事では、外観を整えるために必要な“設計の順序”と、“建築思想”のあり方を解説してきました。

・外観デザインが失敗しやすい理由とは?
・窓・屋根・プロポーション・素材──5つの設計手法
・凛とした空気感を宿すための余白と密度の設計
・なぜ、外観は「内側」から考えるべきなのか
・時を超える普遍的に美しい建築

 

 

表面的なデザインではなく、空間や構造の整合性が貫かれた設計だけが、10年後・20年後、時を超えて“美しく佇む外観”を成立させます。

「なぜか落ち着く」「どこか美しい」
そんな建築に共通するのは、表面の装いではなく、思想のにじみ出た設計です。
あなたの住まいづくりにとっても、この視点が一つのヒントとなれば幸いです。

 

 

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