注文住宅・家づくりの最中の方の中には、「内と外」を一体的に魅せるデザインに魅力を感じ、惹かれる方も多いのではないでしょうか?
「内部空間と外部空間」を一体的に魅せる設計は、住まい手にとってだけでなく、住宅をデザインする建築家・デザイナーとしても大切に扱いたいテーマの一つです。

そこで今回は、「内と外」を一体的に魅せるためのデザインについて、整理していきましょう。
・一体的な「内と外」?その魅力とは?
・一体的な「内と外」を実現する3つのポイント。
・一体的な「内と外」を実現する4つのデザイン手法。
・中間領域・バッファーについて。
上記について、詳しく解説します。
ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。

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一体的な「内と外」?その魅力とは?
まずは、一体的な「内と外」とは、どのような空間のことを指すのか?その概要と魅力を解説します。
建築の中の内部空間は、壁や屋根で覆われた範囲内だけであり、有限の空間です。
それに対して、外・外部空間は、周囲が田園や森、大地、街、魅せられるものが空しかなかったとしても、場所によることなく、全ての土地で同じく無限に広がっています。
この外部と内部の連続感が強い空間を「内と外が一体的な空間」といいます。

内部空間と外部空間の連続性を高め、一体的につなげると、住まい手の意識は外へ向き、広がりを無限に感じるようになります。
つまり、外部空間を内部空間へ取り込むこと、あるいは、内部空間を外部空間へつなげることは、開放感を演出するための方法として、非常に有効なのです。

逆に、内と外を一体的に設計できなければ、広い土地であったとしても有効に利用できなかったり、魅力的な周辺環境の土地を選んだとしても、その意味が薄まってしまいます。
庭を設けたり、手入れしたとしても無駄になってしまうかもしれません。

だからこそ、内部空間と外部空間を一体化することは、建物の魅力や価値を高めることになり、設計デザイン上、非常に重要だといえます。
開放感をつくる方法については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【開放感のある家をつくる7つのポイント。間取りやインテリアの設計手法・デザイン。】

内と外を一体的につなげるための3つのポイント。
一体的な「内と外」とは、どのような空間か?その魅力や重要性を理解したところで、実際にどうしたら実現できるのか、その手法やポイントを整理していきましょう。
内と外を一体化する上で、重要になるのは「連続性」を高めることです。

連続性を高めるためのポイントは、次の3つです。
連続性を高める方法:「開く」・「統一」・「緩和」
開く
内部空間を外部空間へ向かって、大きな開口部を設けてるなどして、開くこと。
統一
内部のデザインと外部のデザインを統一すること。
緩和
仕掛けや工夫を用いて、内部と外部の差を和らげること。
この3つのポイントをおさえておくと、自分たちだけの新しいデザイン手法を生み出すのにも役立ちます。
ぜひ、覚えておきましょう。

内と外を一体的につなげるための4つのデザイン手法
連続性を高めるための3つのポイントをおさえた上で、具体的なデザイン手法を紹介します。
「内と外を一体的につなげるためのデザイン手法」は、次の4つです。
1.開く:大きな窓を効果的に設ける。
2.統一:構造、素材などを統一する。
3.緩和:内部に「外部的な空間」を設ける。
4.緩和:外部に「内部的な空間」を設ける。
4つのデザイン手法について、詳しく解説します。

1.開く:大きな窓を効果的に設ける。
1つ目の手法「開く:大きな窓を効果的に設ける。」について解説します。
内と外を一体的につなげるための最も代表的な手法は「大きな窓」を取り入れることです。
しかしながら、大きな窓には次のような大きなデメリットがあることに注意が必要です。
・コストがかかる。
・構造的な負荷が大きくなる。
・断熱性が大きく落ちる。
・プライバシーを守れない。

このような大きなデメリットがあるため、快適で心地よく外に開いていくためには、いかに数か所の大きな窓を効果的に配置するかが重要になります。
大きな窓を効果的に配置するためには、例えば、次のようなことに注意しましょう。
・「天井から床まで」あるいは「壁の端から壁の端まで」の寸法の窓を配置する。
・周辺からの視線、プライバシーに配慮しながら、眺望の良い方に配置する。

窓の設計デザインについては、こちら↓の記事でも詳しく解説しています。
【最高の開口部・窓のつくり方。4つのポイントと手順。住宅の設計デザインが決まる。】
窓については、こちら↓も合わせて、参考にして下さい。
【「窓」で断熱・気密性能が決まる!サッシやガラスの種類、メリット・デメリット。】
【失敗しない窓の選び方。開閉方法・形状・位置・各種類の特徴・メリット・デメリット】
2.統一:構造、素材などを統一する。
2つ目の手法「統一:構造、素材などを統一する。」について解説します。
こちらは、内部と外部の「天井」「壁」「床」に採用する「構造」「素材」「形状」「色」などの要素・デザインを内部空間・外部空間で統一する手法です。
統一の手法の例として、次の事例をご覧ください。↓



事例のように内部と外部の要素・デザイン・コンセプトを統一することは、調和・一体感を生み出します。
多くの構造や素材は、内部でも外部でも使用することが出来ます。
しかし、この手法を採用する際は、次の2つの点に注意しましょう。
1.メンテナンス性に配慮する。
2.主張の強い素材を多用しない。
それぞれ詳しく解説します。

1.メンテナンス性
白色の外壁は汚れが目立ちやすいことに注意しましょう。
天然の木の外壁は、雨や直射日光の影響を受けにくい軒下の空間にとどめておいた方が無難です。
素材も対候性・耐久性の強いものを採用するように心がけましょう。

2.主張の強い素材の多用しない。
主張の強い素材を多用すると、内部空間がどうしてもガチャガチャして、うるさくなってしまいます。
この先の生涯ずっと長くいることになる内部空間のデザインでは、主張の強い素材はピンポイントでの採用にして、全体はスッキリとしたシンプルなデザインの方が無難です。魅力的なデザインを飽きずにいつまでも楽しめることでしょう。

3.緩和:内部に「外部的な空間」を設ける。
続いて、3つ目の手法「緩和:内部に「外部的な空間」を設ける。」について解説します。
外部的な空間の代表的なものとしては、「土間リビング」「土間スペース」「サンルーム」などが挙げられます。
外部的な空間・緩和の手法の例として、次の事例をご覧ください。↓


事例のように内部に「外部的な空間」を設けることは、内と外との差を緩和させ、外部空間へ意識が自然と向かうことにつながります。
この手法で、特に内外を一体化する際にオススメなのは「土間リビング」「土間スペース」です。

土間とは、床にタイル・コンクリートなどが採用された内部と外部をつなぐ空間のことです。
土間に、ドアや全開できる大きな窓を設置したり、出入りしやすくするような緩やかな段差を設けることで、庭・外部への心理的距離をグッと縮めることができます。

また、土間は採光を取り込みやすく、光に満たされた、風通しの良い空間を実現できるため、内部にいても外で安らいでいるような心地よい気持ちで過ごすことができます。
土間の設計デザインについては、こちら↓の記事でも詳しく解説しています。
【土間のある家。その魅力や活用方法、メリット・デメリット。設計のポイントや注意点。】

4.緩和:外部に「内部的な空間」を設ける。
4つ目の手法「緩和:外部に「内部的な空間」を設ける。」について解説します。
内部的な空間の代表的なものとしては、軒下空間である「バルコニー・ベランダ」「テラス」「デッキスペース」「アウトドアリビング」、その他にも「中庭」などが挙げられます。
内部的な空間・緩和の手法の例として、次の事例をご覧ください。↓


事例のように外部に内部のような空間「内部的な空間」を設けることは、内と外との差を緩和させ、一体化させることにつながります。
内部的な空間の中でも、特に内外を一体化する際にオススメなのは、「アウトドアリビング」です。
アウトドアリビングとは、リビングのようにくつろげる屋外空間のこと。

アウトドアリビングは、内部空間のリビングなどの延長上に大きな庇を備えたデッキ・テラスなどを設け、家族が集まる憩いの空間として機能します。
アウトドアリビングに面してドアや全開できる大きな窓を設置すれば、内部空間と一体化して使うことも可能です。さらに、屋外であるため開放感が抜群であると同時に、庇で守られているため、外にいても内部空間で安らいでいるような心地よい気持ちで過ごすことができます。
アウトドアリビングの設計デザインについては、こちら↓の記事でも詳しく解説しています。
【アウトドアリビングとは?メリット・デメリット、デザインのポイントや施工事例を紹介。】

中間領域・バッファーについて。
「内と外」を一体化する手法として、次の4つを紹介しました。
1.開く:大きな窓を効果的に設ける。
2.統一:構造、素材などを統一する。
3.緩和:内部に「外部的な空間」を設ける。
4.緩和:外部に「内部的な空間」を設ける。
これらの手法は1つだけではなく、同時にいくつも採用することで、より効果的なものとなります。
ここでクイズをしましょう。
この中で、最も効果的かつ魅力的に心地よい空間をつくるのは、さて、どれでしょうか?

答えは、「緩和」です。
「緩和」の手法があることで、「開く」と「統一」の手法の効果がより効果的なものとなります。
逆に「緩和」がなくては、「開く」と「統一」の手法をとっても、内外の差が際立ち、逆効果になってしまうことさえあるのです。

そこで、「緩和」の手法に焦点を当て、もう少し踏み込んで、より詳しく解説します。
「緩和」の手法は、建築家・デザイナーの中では「中間領域」や「バッファー(緩衝材)」のデザインとも呼ばれています。
「中間領域」「バッファー(緩衝材)」とは、内と外の心理的な距離感を緩和して近づけるように、内部空間から外部空間へ至るまでの「緩衝材」としての空間をデザインする手法です。

例えば、代表的な中間領域・バッファーには、次のようなものがあります。
・庇の下/軒下空間。
・段差を解消する空間。
・内部的な外部空間。縁側・テラスなど。
・外部的な内部空間。土間リビング・土間スペースなど。

この中の一つだけを選ぶだけではなく、内部空間から外部空間へ至るまでに、幾重にも緩衝材を設けることがポイントです。これを多層化といいます。多層の空間によって、内外の差をより柔らかく緩和し、より心理的な距離感を近づけることができます。その結果、内と外を一体的に感じるようになり、開放感を演出することにつながるのです。

まとめ
今回は、「内と外」を一体的に魅せるためのデザインについて解説しました。
・一体的な「内と外」?その魅力とは?
・一体的な「内と外」を実現する3つのポイント。
・一体的な「内と外」を実現する4つのデザイン手法。
・中間領域・バッファーについて。
上記について、詳しく把握できたのではないでしょうか?

内部空間と外部空間を一体化することは、建物の魅力や価値を高めることになり、設計デザイン上、非常に重要です。
そのためには設計力が必要ですが、建築家・設計事務所であれば間違いありません。
しかしながら、設計事務所に依頼すると、どうしても「費用」も高くなると考える方も多いと思います。けれども、建築家・設計事務所によっては、そのようなことはありません。
実は、「設計力」も「コストパフォーマンス」もどちらも優先し、高いクオリティを実現出来るのが「建築家のいる設計事務所」との家づくりです。ぜひ、一度は相談に行ってみましょう。
こちら↓の記事で詳しく解説していますので、ぜひ、参考にしてみて下さい。
【建築家・設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れる!?設計料など費用面を徹底解説!】

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
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