建築家のいる設計事務所が手掛けた住まいや建築は、デザイン性・機能性の高さ、設計の技術力の高さが優れていることが一目で分かって頂けるのではないでしょうか?
けれども、だからこそ、「かかる費用が高くなる!」と思っている方が多いと思います。
しかしながら、実は、最もコストパフォーマンスに優れるのは「建築家・設計事務所」である可能性が高いのです。

そこで今回は、建築家・設計事務所の費用面について総合的に解説します。
依頼する際の設計料などの費用面についての不安が解消されるように、
・建築家、設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れる理由。
・コスト面での建築家・設計事務所の優位性、メリット。
・コスト面での建築家・設計事務所に対する誤解。それに対する回答。
といったことを詳しく解説します。
ぜひ、最後まで読んで参考にしてみて下さい。

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結論
一概に高い・安いと比べることは非常に難しく、絶対とは言えないかもしれません。
今回は、コストパフォーマンスをメインテーマとし、個人的な見解を述べさせて頂きます。
本当に自由な設計で数多くの要望を叶え、機能性・デザイン性などの面で高いクオリティの住まい・建築を求めるならば・・・ハウスメーカー・工務店に家づくりを依頼した場合と比べ、
「建築家のいる設計事務所」に依頼するのが最もコストパフォーマンスに優れる。
この可能性が非常に高いです。

・予算オーバーで家が建てられなくなることはない。
・設計料がそのまま余分・無駄に総コストに影響を及ぼすようなことは無い。
この2つも私の設計事務所では御契約前にお約束しています。
コスト管理も得意とする設計事務所であれば、同様にお約束できるのではないでしょうか?
次の項からは、その理由を解説します。

理由
「建築家のいる設計事務所」に依頼した方がコストパフォーマンスが優れる理由をご説明します。
理由は2つあります。それぞれ詳しく解説します。

1.建築家が工夫するから。
まず、1つ目の理由は、「建築家が工夫するから」です。
初めの理由にしては拍子抜けしてしまうかもしれませんが、なぜ工夫するのかが重要なのです。
建築家は、自身の設計スキルやアイデア・人脈のネットワーク・自身の労力を伴って、総工費をお値打ちにするために徹底的に工夫します。

なぜなら、設計事務所の場合は、
「総工費がご予算を超えた場合、その分のデメリットが大きすぎる」
「総工費がお値打ちな方が、設計事務所にとってのメリットが大きい」
からです。
ここが決定的に工務店・ハウスメーカーと違います。

この違いは、「工務店・ハウスメーカー」と「建築家の設計事務所」では、総工費に対する利益率が違うことに起因します。
「工務店 + 利益率」でGoogle検索すれば、すぐに分かりますが、一般に、工務店やハウスメーカーが黒字経営になるための利益率は、総工費の25%以上と言われています。
それ対して、設計事務所の場合、売上は設計料であり総工費の10%程度、利益にいたっては、ほぼ例外なく、それ以下なのです。
つまり、工務店・ハウスメーカーに比べ、設計事務所の場合は、総工費が高くなることでのメリットなど「ほぼ無い」と言えるでしょう。

総工費が上がることにメリットがないのにも関わらず、建築家の設計事務所の場合、完全自由設計の場合には、大きな労力をかけ、大量の図面を作成した後に、総工費を見積します。見積の結果、総工費が予算を上回った場合、金額調整・図面修正・計画変更に、膨大な労力がかかります。つまり、総工費が予算を大きく上回れば上回るほど、デメリットが大きくなるのです。

設計事務所の場合は、利益率の違い、多大な労力がかかることから、総工費が上がることにメリットが無いのは前述したとおりです。
ここからは、総工費が下がることにメリットがある理由をご説明します。
設計事務所の場合は、総工費をお値打ちに出来れば、次のようなことが可能です。
・デザイン性をアップでき、ハイクオリティの作品として発表。次の仕事につなげることが出来る。
・細かな予算調整や大幅な設計変更に頭を悩ませる必要が無い。
それに対して、工務店・ハウスメーカーの場合は、何かメリットがあるのでしょうか?

建築家は、依頼主と同じかそれ以上に、予算内に出来るだけ素晴らしいものをつくりたいと本気で考えています。それは、建築家自身のためなのです。特に、数千万円程度の物件の設計依頼がメインの建築家の場合、ほぼ全ての建築家が「できることなら総工費はお値打ちにしたい」と本気で考えていることでしょう。
数百万円あれば、設計出来る内容やクオリティが決定的に変わってくるからです。

もちろん、実力差はあるでしょうが、「建築家」と呼ばれる建築のスペシャリストが、総工費をお値打ちにするために徹底的に工夫すれば、その効果は絶大なのものです。私たちのような設計事務所は、デザイン性以外の面、もちろん、コストパフォーマンスの面でも存在意義を証明できなければならないと考えています。
そして、ハウスメーカー・工務店との「スタンス・システム」の違いによって、このあたりが決定的に違うと思います。

2.設計施工の分離発注によって生まれるメリットを受けられるから。
「建築家のいる設計事務所」に依頼した方がコストパフォーマンスが優れる。
その2つ目の理由は、「設計施工の分離発注によって生まれるメリットを受けられるから」です。
設計事務所が窓口で家づくりを依頼した場合、「設計」は設計事務所、「施工」は施工会社に、別々の会社に依頼することになります。

一般的には、施工会社と設計事務所は一切の利害関係はありませんが、施工会社の候補は設計事務所が選定します。
そうすることで、依頼主様は次の2つのメリットを得ることが出来ます。
・競争入札・相見積できる。
・徹底的な見積チェックが可能。
それぞれ詳しく解説します。

分離発注のメリット1.競争入札・相見積できる。
分離発注1つ目のメリットは、競争入札・相見積が出来ることです。
施工会社を決める際は、設計事務所が独自のネットワークから、2~3社の候補を選定します。
要望を詰め込んだ建築の全ての図面が完成すると、この2~3社、全社に建築工事の見積をとってもらうのです。
選定基準は、技術力の高さ、コストパフォーマンスの高さ、融通が利く対応力の高さなどです。
そして、全社の見積の結果、その内、最もお値打ちなど、条件よく建てられる施工会社に施工を依頼します。
これを競争入札・相見積といいます。

つまり、そもそも建築家・専門家の知見・実績・実感から判断して、特別にコストパフォーマンスが高い数社を選ぶ。さらに、その全社の見積の中から最もコストパフォーマンスの高い会社を選ぶことが出来るのです。
結果的に、工務店・ハウスメーカーの初めから1社を選ぶよりもお値打ち・妥当性のある金額になるのは当然だとは思いませんか?

分離発注のメリット2.徹底的な見積チェックが可能。
2つ目のメリットは、専門家による徹底的な見積チェックができることです。
まずは、こちらをご覧ください。

これは、施工会社が設計事務所の図面を読み解き、作成した建築工事の見積書の一部抜粋です。
このように専門用語ばかりが記載されていますが、その全てがどのようなものを指し、どのような機能があるのかは、一般の方には分からないと思います。
加えて、単価、金額、面積、長さなどが妥当、合っているのかも分かりませんし、そもそも本当に必要なのかも分かりませんよね。
特に建築知識を持っていない一般の方にとっては、全てを把握することは難易度が高すぎて、無理でしょう。
「分からないから任せるしかない。きっと問題など無いだろう。」と思いますよね。
けれども、建築会社の見積には、問題があることの方が多いのです。

問題としては、面積・長さが不適合で過剰、単価があまりにも高い、そもそも不必要なものが含まれている、1つでいいのに2つ以上重複して見積されている、このようなことが挙げられます。もちろん、問題やミスの大・小、多い・少ないは見積をする会社によるでしょう。全く問題ない建築会社が無いとは言いません。
けれども、「建築家のいる設計事務所」に依頼すれば、このような専門家でしか発見することが出来ない見積上の問題をチェックし、徹底的に省くことが出来ます。

2つの誤解について。
設計事務所に対して、次の2つの誤解を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
1.予算オーバーで家が建てられなくなる。
2.設計料分の費用がそのまま家づくりの費用として余分にかかる。
ここからは、この2つが誤解であることを詳しく解説します。

誤解1への回答
「予算オーバーで家が建てられなくなることは無い」
設計事務所に家づくりを依頼しても、予算オーバーで家が建てられなくなることはありません。
少なくとも、私が設計事務所の業界に入ってから、このようなことは今まで経験したことも聞いたこともありません。
最初期の見積時点では予算オーバーしていることはありますが、その場合は、建築家・設計事務所の方から、見た目・クオリティ・機能性を著しく損なうことなく、低コストに変更するアイデアを提案するのが一般的です。

私の事務所でも、過去に、このようなことはありました。
コロナ前からあるプロジェクトが設計スタート。土地に関するお施主様側の諸事情により、計画に、どうしても3年以上かかり、ウッドショック・社会現象的な全てのものの値上がりの過渡期を経て、図面完成へ。
見積をすると、値上がりの影響を受け、3500万円が予算のプロジェクトにもかかわらず、見積金額は5000万円に!
1500万円のオーバー!どうやっても無理だろう!と、皆が絶望しました。
そんな中、私の設計事務所は、施工会社とアイデアを出し合い、地道な工夫を積み重ね、総工費は3500万円を通り越して、3200万円になりました。
もちろん、見た目も内容もそこまで変わることはなく、お施主様にはご満足頂きました。

このように、設計事務所が諦めないこと、設計事務所に実力があること、この2つの条件があれば、予算オーバーで家が建てられなくなることはありません。
そもそも、予算オーバーで家が建てられないようなケースでは設計事務所の方から「力不足で難しい」あるいは「予算オーバーしますよ」と事前に伝えてくれることでしょう。
そして、何があっても、お施主様・施工会社と協力すれば解決へ導くことができるのも建築家・設計事務所の特徴の一つであるべきだと思います。

誤解2への回答
「設計料がそのまま余分・無駄に総コストに影響を及ぼすようなことは無い」
設計事務所に依頼すれば「設計料・現場監理料」はかかりますが、そのまま余分・無駄に総コストに影響を及ぼすようなことはありません。
前述したとおり、設計事務所にとっては、総工費がお値打ち方がメリットが大きいですから、たくさんのアイデアや、自身の人脈のネットワーク・自身の労力を伴った多くの工夫により、総工費をお値打ちにしていきます。また、前述した分離発注のメリットの他にも依頼主の代わりに施工会社との交渉をすることもあります。
実力がある設計事務所であれば、家づくりを進めていく中で、設計料以上のメリットがコスト面でもあることは明らかなことだと実感できることでしょう。

まとめ
そこで今回は、建築家・設計事務所の費用面について総合的に解説しました。
依頼する際の設計料などの費用面についての不安が解消されるように、
・建築家、設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れる理由。
・コスト面での建築家・設計事務所の優位性、メリット。
・コスト面での建築家・設計事務所に対する誤解。それに対する回答。
といったことを詳しく理解して頂けたのではないでしょうか?

高い・安い、どちらと捉えるかは人それぞれですが、「建築家のいる設計事務所」に依頼するのが最もコストパフォーマンスに優れる可能性が高いと言えると私は考えています。
しかしながら、設計事務所にもいろいろあり、タイプや出来ること、得意なことも設計事務所ごとに変わってきます。詳しくは、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【建築家の設計事務所、タイプごとの特徴や選び方を徹底解説!】

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
ぜひ、参考にしてみて下さい!
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