日本では昔から住宅に取り入れられて「土間」と呼ばれる空間について、詳しくご存知でしょうか?
住まいの中で、ほっと一息つけるような非日常を楽しむための空間としても、近年、再び人気が高まっています。

そこで今回は、土間のある家の施工事例や設計デザインのポイントを紹介。
メリット・デメリット、注意点を詳しく解説します。
ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。

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土間のある家とは?
まずは、土間のある家とは、どのような家なのか?を解説していきますね。
土間とは、屋内と屋外との間に設ける空間です。
床がコンクリートやタイルの他、土のままの三和土(たたき)仕上げであるなど、土足でも歩けることが特徴です。
半屋外の空間ですが、住宅の一部・内部に設けられているので、当然ながら雨風をしのぐこともできます。

日本では昔から土間が住宅に多く取り入れられてきました。
戦後、土間を設ける習慣は無くなりつつありましたが、空間の利便性の高さなど、土間ならではの魅力が再注目されています。

土間のメリット・魅力、活用方法
続いて、土間の魅力を紹介します。
家の中に土足でも歩ける床材を用いた土間は、様々な活用が出来ます。
その中でも、次の5つの代表的な活用法を紹介します。
1.屋外と屋内をつなぐバッファー。
2.屋外用途アイテムの収納。
3.コミュニケーションのための憩いの場。
4.趣味を楽しむ空間。
5.子供の遊び場。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

屋外と屋内をつなぐバッファー。
1つ目のメリット・魅力、活用方法は、「屋内と屋外をつなぐバッファー」としての機能です。
バッファーとは、内部と外部をつなぐ中間領域・緩衝材となる空間のことです。
例えば、縁側、テラス、軒下空間などが挙げられます。

バッファーとなる空間に、ドアや全開できる大きな窓を設置したり、小さな段差を設けて、出入りしやすくすることは、庭・外部への心理的距離をグッと縮めることにつながります。
心理的な距離が近いと、屋外に出るストレスを減り、庭などの住宅の外部スペースを有効利用した暮らしをアシストしてくれることでしょう。

このような内部と外部をつなぐ中間領域・緩衝材となる空間がなければ、せっかく庭のあるような広い土地であっても、内と外の心理的な距離感が大きく、土地全体を有効活用できないかもしれません。
中間領域・バッファーについては、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【一体的な「内と外」を実現する3つのポイントと4つのデザイン手法。中間領域とバッファー。】

屋外用途アイテムの収納
2つ目のメリット・魅力、活用方法は、「屋外用途アイテムの収納」としての利用です。
農機具、自転車、キャンプ用品など屋外で使うアイテムやギアは室内に持ち込んで収納すると、室内が汚れてしまいますよね。
いざ利用する際にも、外から遠い場所に収納してしまうと持ち出すのに手間がかかってしまうことでしょう。
けれども、外と内をつなぐ土間に屋外用途アイテムを収納すれば、一気に問題は解決します。

外の物置に収納すれば良いと考える方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、物置よりも家の中に設ける土間の方がセキュリティ面も万全であるとともに、アイテムなどのメンテナンスをする際にも便利です。
さらに、お気に入りのギアを好きなように飾り、インテリアとしても楽しむことも出来ます。
収納については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【注文住宅の収納計画。失敗・後悔しない7つのポイント。適切な収納量・割合などを解説。】

コミュニケーションのための憩いの場。
3つ目のメリット・魅力、活用方法は、「コミュニケーションのための憩いの場」としての利用です。
土間をある程度広く設け、チェアやちょっとしたテーブルを置けば、コミュニケーションを楽しむための憩いの空間として利用できます。
住まい手の家族だけでなく、特に友人や親族を招く際には、土足のままで良いので、非常に便利です。

さらに、土間に大きな窓を設ければ、非常に開放感のある空間となります。採光を取り込みやすく、光に満たされた、風通しの良い空間を実現できます。
そのような空間では内部にいても外で安らいでいるような心地よい気持ちで過ごすことができることでしょう。
そのような心安らげる空間でコミュニケーションを楽しめるのは、とても魅力的ではないでしょうか?
開放感のある空間のつくり方については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【開放感のある家をつくる7つのポイント。間取りやインテリアの設計手法・デザイン。】

趣味を楽しむ空間。
4つ目のメリット・魅力、活用方法は、「趣味を楽しむための空間」としての利用です。
例えば、室内を汚しやすく床などを傷つけやすいDIYなどの趣味は、なかなか室内で楽しむことは出来ませんよね。
けれども、土間空間であれば、床は傷つきにくく汚れても掃除が楽なので、気軽に出来ます。
外でしか楽しむことができなかった趣味を土間・室内で楽しむことができるのは、大きな魅力でしょう。
さらに、土間空間は犬などペットの室内飼いのための空間や薪ストーブなどを楽しむための空間にも適しています。

子供の遊び場。
5つ目メリット・魅力、活用方法は、「子供の遊び場」としての利用です。
例えば、粘土遊びや工作など、室内では汚れや傷が気になる子供の遊びでも、土間であれば思う存分に楽しむことができ、室内空間であれば雨で外に出られない日でも楽しむことができます。
天気に左右されない土間空間は、子育てをサポートしてくれる空間でもあるのです。

土間のデメリットと対策
続いて、土間のデメリットと対策を解説します。
土間のデメリットは2つ、「寒さ」と「湿気」です。
それぞれ解説します。

寒さ
デメリットの1つ目「寒さ」について解説します。
土間は、床にタイルやコンクリートなどを採用することが多いですが、このような素材は熱を溜めるのが特徴です。
土間の場合は、地面からの冷気が伝わりやすく、自然と床は冷たくなります。
夏であれば、涼しくなりやすく気持ちいいのですが、冬は寒さを感じる原因になることもあるでしょう。

「土間の寒さ」への対策は、次のようなものがあります。
・断熱対策を施しておく。
断熱材を土間の床下に敷き詰めるなどの断熱対策が有効です。
・暖房器具を設置する。
ヒーターなどの暖房器具で土間を温めると、熱を蓄え、比較的長時間温かいままで、冬でも快適に有効活用できます。特に、土間は薪ストーブとの相性が抜群です。薪ストーブは灰や木くずが出て汚れやすいデメリットもありますが、土間であれば掃除や手入れなどのメンテナンスもも楽に行えます。

湿気
デメリットの2つ目「湿気」について解説します。
土間は、屋内と屋外の間の空間です。
そのような空間は冷気と暖気が接触することで、結露が生じやすく、湿気が溜まることがあります。
また、雨や雪の日の雨合羽や傘など濡れた物を置くこともあるのであれば、それも湿気が溜まる原因となってしまうかもしれません。

「土間の湿気」への対策は、次のようなものがあります。
・壁や天井に調湿効果のある自然素材などを採用する。
・換気扇や除湿器を設置する。
・窓には、複層ガラスや断熱性能の高い樹脂製のサッシを採用する。

土間・設計デザインのポイントや注意点
最後に、土間を設計デザインする際のポイントや注意点を解説します。
次の3つのポイントに注意しましょう。
1.バランス
2.設備
3.メンテナンス
それぞれ詳しく解説します。

1.バランス
まずは、バランスに注意しましょう。
家全体の大きさ・面積を考慮し、土間はバランスのよい大きさにするのがポイントです。
限られた予算や面積の中で、土間空間を広く取り過ぎると他のスペースが狭くなってしまい、住まい全体の快適性に影響します。
逆に、広すぎる土間を設けると、空間を持て余して無駄になりますし、置く物が増えすぎてガチャガチャした暮らしになってしまうかもしれません。

バランスを最適にするには、実際に家づくりをする前に、自分達の理想の暮らしをイメージすることから始めると良いでしょう。
現在~遠い将来までをイメージして、自分だけでなく家族全員にとって、最適な土間空間の広さを考えましょう。
憩いの場として、遊びの場として、収納の場として、土間空間を自分達のライフスタイルに合わせた大きさにしておくことが重要です。

2.設備
次に、設備に注意しましょう。
土間をどうやって使うか、その用途や利用方法によって、必要な設備の内容が変わってきます。
例えば、照明、コンセントの場所、必要な数が変わってくるでしょう。

土間でDIYなどを楽しむのであれば、手元がよく見える作業しやすい明るさや電源を確保する必要がありますよね。
憩いの場として利用するのであれば、リラックスできるような温かみのある照明や間接照明を採用した照明計画や音楽を楽しむための設備を設けるのも良いでしょう。

3.メンテナンス
続いて、メンテナンスにも注意しましょう。
土間に限らず、住まいにはメンテナンスが欠かせません。
その中でも、特に土間は土足で利用するなどタフに使う他、温度・湿度の変化が激しく、ひび割れ・汚れ・シミなどの経年劣化が進みやすい場所です。
程度によっては自分で補修できることもあるかもしれませんが、基本的には、施工会社に定期的に点検してもらいましょう。適切にメンテナンスしないと逆効果で状況が悪化してしまうかもしれません。

まとめ
今回は、今土間のある家の施工事例や設計デザインのポイントを紹介。
メリット・デメリット、注意点を詳しく解説しました。
魅力的な土間を設けることは、住まいの可能性を増やし、豊かな暮らしを実現するために、とても有効な空間であることを理解して頂けたのではないでしょうか?

魅力的な土間空間をデザインすることは、住まい手だけでは難しく、設計士・建築家ならではのものでしょう。
しかしながら、設計事務所に依頼すると、どうしても「費用」も高くなると考える方も多いと思います。けれども、建築家・設計事務所によっては、そのようなことはありません。
実は、「設計力」も「コストパフォーマンス」もどちらも優先し、高いクオリティを実現出来るのが「建築家のいる設計事務所」との家づくりです。ぜひ、一度は相談に行ってみましょう。
こちら↓の記事で詳しく解説していますので、ぜひ、参考にしてみて下さい。
【建築家・設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れる!?設計料など費用面を徹底解説!】

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
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