家づくりを計画するにあたって、まずは、土地を探している方もいらっしゃると思います。
土地の購入は、非常に大きな買い物です。購入金額は出来るだけ安く抑えたくなりますよね。
では、これだけは知っておきましょう。
実は、土地の購入の際は、値引き交渉が出来ます。

そこで今回は、土地を購入する際の値引き交渉について、上手な交渉の方法や注意事項について解説します。
どのような土地であれば、値引き交渉が成功しやすいのか、値引額の相場なども解説していきます。
ぜひ参考にして下さい。

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値引き交渉成功のため、まずは交渉できる理由を知ろう!
冒頭でお伝えした通り、土地の値引き交渉は可能です。
まずは、交渉を成功させるために、なぜ交渉できるのか、その理由を整理しましょう。
交渉可能なのには3つの理由があります。それぞれ詳しく解説します。

交渉可能な理由① 土地には決まった価格がない。
交渉可能な理由の1つ目。土地には決まった価格がないから。
土地には決まった金額はありません。
国土交通省が公表している「公示地価」「路線価」「土地総合情報システム」などの販売価格を決めるための参考となるものもありますが、ただの目安・参考指標です。決まりはありません。
土地の金額は、原則、「売主」と「購入希望者」が自由に個別に設定するものなのです。

では、土地情報に掲載されている土地の販売金額は、一体、何なのか?
実は、その金額は、売主の希望販売価格です。
それゆえに、値引き交渉をしてはいけない、というのは間違いです。正しい手順、態度で臨めば、交渉してよいものだと考えましょう。
ただし、売主が希望販売価格を値下げしない、交渉に応じないケースもあります。

交渉可能な理由② 販売金額は相場より高く設定されている。
交渉可能な理由の2つ目。販売金額は相場より高く設定されていることがあるから。
前述した通り、土地情報などに掲載されている販売金額は、売主の希望販売価格です。当然ながら、相場より少し高く販売価格を設定しているケースもあります。そのような場合には、相場と同等の金額までは値引き交渉に応じる可能性が高いです。
しかしながら、相場から大幅に高値で売りに出されることは、ほぼありません。
この理由では、大幅な値引きは出来ないものと考えましょう。

交渉可能な理由③ 売れないと売主と仲介業者は困る。
交渉可能な理由の3つ目。売れないと売主と仲介業者が困るから。
長期間、売りに出した土地が売れずに残ると、売れ残り感が出て、ますます売れなくなります。売主は、その間も固定資産税等の費用を払い続けなければいけませんので、当然ながら、困ります。
売れ残る間の広告宣伝費は、多くの場合、売主ではなく仲介業者が負担します。仲介業者は、売れるまで広告宣伝を続けなければならず、売れない期間が長引くほど広告宣伝費や人件費は増え続けます。

このように、売主も仲介業者も、売れないことが最も困ることです。
値引き交渉をするタイミングによっては、売却期間を短縮するために、少額の値引きであれば交渉が成功する可能性は十分考えられます。

値引き交渉が失敗しやすいケース
必ず土地の値引き交渉が成功するわけではありません。
ここからは、売主が値引き交渉に応じないのは、どのような場合か説明します。
値引き交渉が失敗しやすいケースは、4つのパターンがあります。それぞれ詳しく解説します。

相場と販売価格が合っている
値引き交渉が失敗しやすいケース① 相場と販売価格が合っている場合。
売主が相場に合わせて販売価格を設定している場合、値引き交渉をしても、売主は大幅な値引きには応じないでしょう。交渉が成立したとしても、少額の値引きにとどまることが多いです。

他に購入希望者がいる
値引き交渉が失敗しやすいケース② 他に購入希望者がいる場合。
売主が、何組かの購入希望者と同時に交渉していることもあります。
その中で、販売金額通り、交渉なしでやりとり出来る購入希望者がいれば、売主にとっては手間が省けます。
実際の購入者は、申込順ではなく、売主の一存で決まりますので、一般的にはそのような手間が省ける方が優先されます。

ロケーション、その他の条件が良い
値引き交渉が失敗しやすいケース③ ロケーション、その他の条件が良い場合。
ロケーション、その他の条件が良い土地は人気が高く、購入希望者が多く集まります。値引き交渉を応じなくとも、売れるような土地では、売れ残るリスクが低いため、売主は値引き交渉に応じないでしょう。
条件の良い土地というのは、整形地(正方形や長方形の土地)であったり、駅や商業施設の近い利便性が高い立地、南向きで日照環境に優れていたり、面積が必要十分な大きさであることなどが挙げられます。

利益が減るので、仲介業者が認めない
値引き交渉が失敗しやすいケース④ 利益が減るため、仲介業者が認めない場合。
仲介業者、多くの場合、不動産会社は、売主と購入希望者の仲介をすることで、土地の価格に応じた手数料を報酬として受け取ります。土地の価格が値引きされると、当然ながら、仲介業者の利益は減ります。
そのため、値引き交渉を積極的に交渉を認めない、というケースもあります。

値引き交渉が成功しやすい土地の特徴
ここからは、値引き交渉が成功しやすい土地の特徴を解説します。
値引きの可能性を検討する際の参考にしてみてください。
すでに気に入った土地を見つけた方も、その土地が値引きしやすい土地に該当しないか確認しましょう。
値引き交渉が施工しやすいケースは、6つのパターンがあります。それぞれ詳しく解説します。

販売開始から期間が経っている土地
値引き交渉が成功しやすいケース① 販売開始から期間が経っている土地の場合。
販売開始から半年以上経つと、値引き交渉が成功しやすくなります。
売主は、長期間の土地の維持管理や固定資産税の支払いなどの負担を懸念し、不動産仲介業者は、広告宣伝費や人件費の増大を懸念するからです。両者とも、値引き交渉に応じてでも、早く土地を売りたいと考えます。
ただし、売れないのには、何か理由があります。
購入を検討する際は、必ず現地確認やその他の調査を入念におこない、必要であれば、住宅会社などの専門家にも相談しましょう。

建築条件付きの土地
値引き交渉が成功しやすいケース② 建築条件付きの土地の場合。
「建築条件付きの土地」とは、売主が買主に対して、「決められた施工会社で一定期間内に請負契約を結び、住宅を建築すること」ということが購入条件である土地のことです。「一定期間」の示す具体的な期間は、3か月程度であることが多いです。
土地の売買契約後、3カ月の間に、住宅の間取り、仕様、設備などを全て決めて、指定された施工会社と請負契約を結ぶ必要があるため、自由な家づくりは難しくなってしまうことでしょう。

このように、建築条件付きの土地は、家づくりの自由度が制限される土地です。多くの場合、不人気で、土地の値下げ交渉は成功しやすくなります。
「土地の価格」は、値下げ出来たとしても、建築費と総合的に考える必要がありますので、注意が必要です。
建築条件については、こちら↓で詳しく説明しています。
【建築条件付き土地とは?やめたほうがいい?メリット・デメリットを解説!】

建築条件がついていたのに、条件が無くなった土地
値引き交渉が成功しやすいケース③ 建築条件がついていたのに、条件が無くなった土地の場合。
建築条件がついていたのに条件が無くなった土地は、売主や仲介業者に「一刻も早く現金を手に入れたいような、何らかの急な事情が生じた」可能性があります。そのため、値引き交渉が成功する可能性は十分あるでしょう。

売れ残った分譲地
値引き交渉が成功しやすいケース④ 売れ残った分譲地の場合。
分譲地とは、不動産会社が面積の大きな土地を購入し、区画整理を行うことで、住宅地として販売されている土地のことです。元々は、田畑や山林などの土地であったケースが多いです。
分譲地で売れ残った土地は、値引き交渉が成功する可能性が十分あります。
不動産会社にとっては、早くその分譲地を完売させて別の分譲地に注力したいからです。
ただし、その他の分譲地が全て定価で完売している実績などがある場合には、値引き交渉は難しいと考えましょう。

不動産会社が所有する土地
値引き交渉が成功しやすいケース⑤ 不動産会社が所有する土地の場合。
不動産会社が所有する土地が売りに出される場合、その土地は売主物件と呼ばれます。
個人の売主と買主との間で売買されるため、仲介業者は必要なく、本来であれば、仲介手数料も不要です。
そのため、値引き交渉に対し、柔軟に応じてくれるケースも多いです。
土地の売却価格の値引きは難しくとも、仲介手数料の値引きには応じてくれる可能性は十分あります。

告知事項がある土地
値引き交渉が成功しやすいケース⑥ 告知事項がある土地の場合。
「告知事項」とは、売主が買主へ事前に伝えるべき、物件の注意事項のことです。
言い換えれば、買主が事前に知っていれば購入しなかった可能性のある不動産上の瑕疵・欠陥のこと。
売買契約では、買主の権利を保護するため、売主は必ず告知事項を買主に説明しなければなりません。

告知事項には、大きく分けて、4つあります。
心理的瑕疵
心理的瑕疵とは、買主にとって心理的ストレスとなりうる問題や事件があることです。
過去に、自殺・殺人・孤独死、その他忌まわしい事件や事故があり、買い主によっては、知っておけば絶対に買わなかったという問題を心理的瑕疵といいます。
このような心理的瑕疵のある物件を「事故物件」と呼んだりしますね。
環境的瑕疵
環境的瑕疵とは、その物件の周辺環境に存在する問題のことです。
例えば、異臭・騒音・排気ガスがひどい、周辺に、風俗店や反社会勢力の拠点があるなどが挙げられます。
物理的瑕疵
物理的瑕疵とは、その物件の物理的な問題のことです。
例えば、土壌汚染、地盤沈下、雨漏り、シロアリ、ひび割れなどが挙げられます。
物理的瑕疵のある物件は、将来的に、トラブルや追加の費用負担が発生する可能性があります。
法的瑕疵
法的瑕疵とは、その物件の法的な問題・欠陥のことです。
例えば、都市計画法・建築基準法によって利用に制限がある、そもそも建築基準法に違反している、法律によって現実的には建物を建てられない、防災設備などの必要設備がない、などが挙げられます。

告知事項がある場合は、売主は買主に対して必ず報告する必要があります。
そして、告知事項がある土地の場合、相場より低く価格設定されていたとしても、なかなか売れません。
売主も、仲介業者も、早く手放したいと考えていることが多いので、値引き交渉は成功しやすくなります。

土地の値引き額
それでは、ここからは、実際に値引き交渉をした場合には、どの程度の金額が値引きできるのかを解説していきます。
値引きの相場・値引額の検討方法、それぞれ詳しく解説します。

値引きの相場
土地の売買は、一つとして同じものがなく、売主と買主の個別の取引です。
いろいろなケースがあり、条件によって変わりますが、一般的な住宅地の場合、値下げ幅は100~200万円程度までです。それ以上の数百万円単位の値引きは現実的には難しいでしょう。

値引き額の検討方法
まずは、購入したい土地で、値引きに応じてもらえる可能性はあるのか、整理しましょう。
整理する際には、前述の「値引き交渉が成功しやすい土地の特徴」に当てはまらないか?
近隣の土地の相場を確認し、比べてみて、その土地の価格が相場より高くないか?
それに加えて、売主の状況なども検討し、試算します。
また、仲介業者に予算を伝えて、相談するのもいいでしょう。

値引き交渉の手順・タイミング
実際に、値引き交渉は、どのようなタイミングが良いのでしょうか?
ここからは、土地の値引き交渉の手順を解説します。
1.購入したい土地を探す。
インターネットで自分で探したり、不動産会社・住宅会社に相談して、購入したい土地を探します。
2.仲介業者を通じて、「購入申込書」を提出します。
購入したい土地が見つかったら、仲介業者を通じて、「購入申込書」を提出します。
購入申込書には「購入の希望条件」を記入しますが、その際、値引き交渉を希望する場合は、「売買価格」に値引き後の希望購入価格を記載します。
あまりに極端な値引きを要求する金額を記載すると、売主が交渉に一切応じない、受け付けてもらえない場合もあります。
希望購入価格は、現実的な金額を記載しましょう。
3.売主の判断を待つ。
購入申込書を提出すると、仲介業者と売主との間で交渉が行われます。
売主の判断を待ちましょう。

土地の値引き交渉は、購入の意思を明確にし、購入出来る状況と合わせて、明示出来るタイミングで行うことが重要です。
希望の金額であれば確実に土地を買う購入希望者以外との交渉は、売主にとってはデメリットしかありません。
住宅ローンを利用するのであれば事前審査を通過し、書類を用意するなど、事前に状況を整えておきましょう。

値引き交渉のポイント・注意点
ここからは、値引き交渉の際、気をつけたい注意点やポイントを解説していきます。
まず、購入の意思を伝える
値引き交渉する前に、まず、購入の意思を明示しましょう。
売主は、相場を鑑みて、適正な価格で売却しようとしていることが多いです。当然ながら、出来ることであれば、値引きをしたくありません。
そこへ、いきなりの値引き交渉は、それだけで印象が悪く、一切の交渉を断られる恐れもあります。
購入の意思を明示し、値引きして欲しい事情を丁寧な説明と誠実な態度で伝えましょう。

極端な値引きを要求しない。
土地の価格が相場から大きく乖離していることは、ほとんどありません。極端な値引きは、非常識だと捉えられ、売主に悪いイメージを与え、交渉に一切応じない・受け付けてもらえなくなることもあります。
現実的、常識の範囲内で値引きできそうな額を打算し、要求しましょう。
前述の「値引き額の検討方法」を参考に考えてみてください。
事前に仲介業者に相談し、売主の事情も考慮して交渉しましょう。

丁寧・誠実な態度で交渉する
交渉時の態度も重要です。
買主に値引き交渉をする権利があるのと同様に、売主には、価格交渉に応じない権利があります。
あくまでも、値引きをお願いする立場だと考えましょう。
高圧的な態度をとると、その後、売主が値引き交渉に合意する可能性は低くなると思った方が賢明です。
まずは、売主や不動産会社に購入したいという強い思いを示し、値引きできないか相談・お願いする姿勢が必要です。売主と良好な関係を築くことで、円滑に売買を進めることができます。

値引き合意後に売主から覆されることがある
値引き交渉に成功し、合意した後、売主の都合で、一定期間の間、契約を待たされる場合は注意してください。
その間に、買主が住宅の間取りや計画を仕上げていると、後で売主が何か理由を付けて、値引き交渉を無かったことにすることがあります。これは、土地の売却に慣れた売主がよくやる手段です。買主は住宅の計画に労力やお金を費やしているので、結局「値引きされなくても買う」と泣き寝入りして買うしかなくなることもあります。
さらに、契約を待たされている間に、他に買主が現れるかもしれません。その場合、まだ契約していませんので、土地が買えなくなることも十分あり得ます。他の買主が現れる可能性があることも認識しておきましょう。

まとめ
今回は、土地を購入する際の値引き交渉について、上手な交渉の方法や注意事項について解説しました。
どのような土地であれば、値引き交渉が成功しやすいのか、値引額の相場なども整理できたのではないでしょうか。
買主に値引きを交渉する権利があるのと同様に、売主にも値引き交渉に応じない権利があります。また、仲介業者の立場もあります。三者の立場を理解し、丁寧・誠実な態度で交渉するのが成功のポイントです。
土地の売買に慣れていない方は、事前に専門家に相談するのもおすすめです。

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
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