【庇・軒】良い家の条件は“深い庇”-建築家が解説|役割・設計ポイントとデザインの工夫

はじめに|良い家の条件は“深い庇”

「良い家に共通する条件を1つ挙げて下さい。」
と聞かれて、
「深い庇」と答える建築の専門家は多いのではないでしょうか?

私の設計事務所でも「深い庇」にこだわって、設計デザインしています。

けれども、庇・軒の重要性は、まだまだ一般の方には理解されていないようです。

また、大きく深い庇があっても、

・デザインに「意味」が抜け落ちている。
・有効活用できていない。
・デザイン性に優れていない。

このようなケースが多く、とても残念です。

 

 

そこで今回は、「庇・軒」を徹底解説。

・「庇・軒」の役割
・「庇・軒」のメリット・デメリット
・「深い庇」を設計デザインする際の実践的ポイント

上記のラインアップで、一級建築士の建築家が「庇・軒」を詳しく解説します。

ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。

 

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本記事の執筆者

愛知県名古屋市の設計事務所 Tabi タビ 代表
和田貴裕|一級建築士・建築家

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それでは、
『【庇・軒】良い家の条件は“深い庇”-建築家が解説|役割・設計ポイントとデザインの工夫』
ブログ本編スタートです。

 

 

 

それでは、まずは今回のテーマであるワードを整理していきましょう。

屋根(やね)・軒(のき)・庇(ひさし)の違いは、ご存知でしょうか?

どれも役割は同じで、雨や日差しから建物や室内を守る重要な役割をしています。

ここで、それぞれ整理しましょう。

 

 

屋根(屋根)
屋根は、建物の上部に設ける覆いのこと。

 

軒(のき)
軒は、屋根の一部で、外壁より突き出ている部分のこと。

 

庇(ひさし)
庇は、屋根の一部ではなく、独立して窓や扉の上部に取り付けられている部分のこと。 

 

このようにそれぞれ役割は同じですが、取り付けられる場所によって呼び方が異なります。

 

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【外観デザイン×注文住宅】“美しい佇まい”のつくり方|建築家が実践する-5つの外観設計手法

 

 

 

次に、軒・庇の役割・メリットについて解説します。

軒・庇には、主に次の4つの役割やメリットがあります。

1.雨から守る。
2.日差しを調整する。
3.耐久性を向上させる。
4.バッファーをつくる。

それぞれ詳しく解説します。

 

 

 

1つ目の庇・軒の役割・メリットは、
「雨から守る」ことです。

例えば、庇・軒があれば、雨天時に雨が部屋の中へ直接入ることをグッと防ぐことができます。

強い雨でないなら、雨が降っていても換気もできます。
室内がじめじめしていれば、窓を開けて換気や通風をとり湿気や熱気を逃がすことが出来ますよね。

庇・軒が雨から守ってくれることは、雨の多い日本では、住まいの快適性にダイレクトに影響します。

 

▼通風・換気については、こちらの記事で詳しく解説しています。

風通しのいい家のつくり方|自然通風を活かす快適な間取りと窓配置-後悔しない通風計画のポイント

 

 

 

2つ目の庇・軒の役割・メリットは、
「日差しを調整する」ことです。

庇・軒は、真夏の暑い日のように太陽高度が高い場合は、太陽の光をカットして、窓ガラスや外壁に直射日光が当たり室温が上昇するのを防ぎます。
けれども、冬の寒い日のように太陽高度が低い場合には、太陽の光・熱を家の中や外壁に取り込み、室温が上昇させることが出来るのです。

特に、窓・開口部の周りに十分な深さの庇・軒を設けることは、住まいの快適性にとても大きく影響します。

 

▼日差しの調整については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

【日本の注文住宅】“気候と風土”パッシブデザイン|断熱・通風・日射・気密 ─自然を活かす家づくり

 

 

 

2つ目の庇・軒の役割・メリットは、
「家の耐久性を向上させる」ことです。

住宅の外壁は、太陽の紫外線や雨風などで経年劣化してしまいます。
けれども、庇・軒があれば、その多くがカットされ、長持ちするようになるのです。
雨が降った際の雨だれなど、外壁の汚れ対策にもなります。

また、外壁だけでなく、扉やサッシなど、窓や開口部の汚れや劣化にも有効です。

 

▼私たちの設計事務所Tabiの耐久性についての考え方は、こちらのページで紹介しています。ぜひ、参考にして下さい。

住宅設計・建築デザイン|設計事務所 Tabi‐10のコンセプト

 

 

 

2つ目の庇・軒の役割・メリットは、
「バッファーをつくる」ことです。

バッファーは「緩衝材」という意味。
内と外の心理的な距離感を緩和して近づける空間のことを指します。

例えば、縁側、テラス・土間などの空間のことです。

 

 

庇・軒は、設計次第では、内部空間から外部空間へ至るまでの「緩衝材」としての役割を担います。

このような「緩衝材」となる空間があると、内と外がつながるような高い連続感を演出することができるのです。

庇・軒のような雨や日差しから守ってくれるような
「内部的な外部空間」「中間領域」をデザインする。
すると、内と外の心理的な距離感は近づき、内と外を一体的な空間を設計することができます。
結果として、開放感を演出することにもつながるのです。

 

▼中間領域・バッファーゾーンについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

【注文住宅の設計手法】一体的な“内と外”を実現するデザイン|中間領域とバッファーゾーンを解説

 

 

 

 

庇・軒の役割やメリットを理解して頂きましたね。

次は、庇・軒のデメリットを整理しましょう。

庇・軒のデメリットは次の2つです。

1.コストアップになる。
2.居住面積が狭くなる。

それぞれ詳しく解説します。

 

 

1.コストアップになる。
庇・軒を設けるのにも少なからずコストがかかります。
深ければ、それだけ材料費や工事費、人件費などがアップすることになります。

 

2.居住面積が狭くなる。
軒や庇を設置するにはスペースが必要です。
そのため、境界線から余裕を持って住宅を設計する必要があり、狭小地などでは室内の面積が狭くなる可能性もあります。

 

▼注文住宅の費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。

注文住宅の費用完全ガイド|資金計画・内訳・ローン・自己資金まで-家づくりの”お金の話”を一級建築士が徹底解説

 

 

 

庇・軒の役割・メリット・デメリットなどの特徴を整理しました。

ここで一度、そもそも本当に軒・庇が必要なのか?考えてみましょう。

実際、家には軒・庇が必要なのでしょうか?

 

 

昨今では、日々、外壁材が改良され続けています。
例えば、特殊なサイディングやガルバリウム鋼板といった耐久性の高い素材も登場しました。
このような外壁材は直射日光による紫外線、雨や風にさらされても、長い年数、メンテナンスが必要ありません。

また、紫外線をカットするガラスやペアガラス、雨風に強く、断熱性能の高いアルミサッシも主流となりました。

換気設備の機能性も向上しました。
その結果、窓を開ける習慣がない方も多く、軒や庇が必要ないと考えている家庭も多いかもしれません。

 

 

それでも、

深い庇・軒はあった方が断然良い。

それほどまでに、庇・軒は、心地よさ・快適性を向上してくれるものなのです。

住まいで豊かに暮らしたい方には、深い庇がある住宅が断然おすすめです。

できることであれば、庇・軒は家全体に欲しいところです。
そして、深い庇・軒を少なくとも一部には採用してみてはいかがでしょうか?

暮らしに、幅と奥行、ゆとりが生まれます。

 

▼こちらの記事もおすすめです。

“暮らしやすい家”のつくり方|建築家が語る-性能では測れない“注文住宅の本質”と“設計の考え方”

 

  

 

実は、庇・軒の設計デザインは、簡単ではありません。

設計力がなければ、見苦しくなってしまいます。

実際、庇・軒をうまくデザインできていない家の方が圧倒的に多いです。

そこで最後に、庇・軒の設計デザインのポイントを解説します。

 

 

庇・軒を設計デザインする際には、次の3つのポイントを大切にしましょう。

1.深さ
2.軽やかさ
3.連続性

この3点を意識して整えれば、デザイン性に優れた庇・軒を実現できます。

それぞれ詳しく解説します。

 

 

1.深さ
庇・軒を設計デザインする際には、奥行を意識しましょう。
適度に深い方が、魅力ある庇・軒になります。

 

 

2.軽やかさ
庇・軒を設計デザインする際には、軽やかさを意識しましょう。

奥行が深いと構造的な負荷が大きくなり、一般的には、厚みのある庇・軒になってしまいます。
厚みのある庇・軒は、重たい印象を受けたり、圧迫感を感じやすい。
上手く設計しなければ、見苦しくなってしまうことさえあります。

魅力ある庇・軒にするためには、軽やかさが重要です。
設計の工夫によって、庇・軒を薄く見せ、軽やかにデザインしましょう。

 

▼軽やかな庇・軒は構造設計が重要です。構造設計・構造計算については、こちらの記事で詳しく解説しています。

構造設計と構造計算でつくる“本当に地震に強い家”|耐震性能を“数値で証明”する設計の力とは?

 

 

3.連続性
庇・軒を設計デザインする際には、内と外の連続感を意識しましょう。

「深く軽やかな庇・軒」を「内部の天井」と連続するようにデザインする。
すると、魅力ある庇・軒になります。

そのためには、大きな窓でつなぐこと。
そして、構造や素材などの要素・デザインを内部空間・外部空間で統一させましょう。

建物のデザインコンセプトを内外で統一することで、調和・一体感を生み出し、連続性が生まれます。

 

▼こちらの記事もぜひ参考にして下さい。

「開放感のある家」をつくる7つのポイント|注文住宅で“面積以上の広がり”を生む設計デザイン

 

 

1.深さ
2.軽やかさ
3.連続性

この3つのポイントを大切に設計デザインをすることが大切です。

上手くデザインすれば、
・外観の見た目が向上する。
・内部と外部が一体的で開放感ある空間に。
・心地よく快適な内部空間へ。
以上を実現することができます。

 

▼こちらの記事も、ぜひ参考にして下さい。

“最高のインテリア”とは?|注文住宅の「内装設計」を成功させる7つのポイント-建築家が実践するインテリアデザインの設計術

 

 

 

今回は、
・「庇・軒」の役割
・「庇・軒」のメリット・デメリット
・「深い庇」を設計デザインする際の実践的ポイント
など

「庇・軒」について、体系的に解説しました。

庇・軒は心地よさ・快適性を向上させ、豊かな暮らしを実現するには必要不可欠です。

しかし、実際、魅力的にデザインすることは簡単ではありません。

住まい手だけでは難しく、設計士・建築家ならではのものでしょう。

 

 

しかしながら、
設計事務所に依頼すると、費用が高くなるのでは・・・
と考える方も多いのではないでしょうか?

結論を言います。

「建築家・設計事務所に依頼すると高くなる」
は、ただの大きな勘違いです。

実は、家づくりにこだわりたいなら、
「コストパフォーマンス」に最も優れるのは、
建築家・設計事務所。

 

▼ぜひ、こちらのお客様インタビュー動画も参考にして下さい。

【お客様インタビュー動画】設計事務所との家づくり体験談
「他社よりも圧倒的に理想を実現できました!」

 

 

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。
もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。

施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。

その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。

建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

 

▼私たちの設計事務所については、こちらのページで詳しくご紹介しています。

About Tabi|愛知県名古屋市の設計事務所Tabi タビについて―非常識な正論とは? 

 

 

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。

 

名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
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