近年、注文住宅・家づくりにおける「引き戸」の人気は高く、その需要が高まっています。
しかしながら、引き戸と開き戸、それぞれの特徴・メリット・デメリットをしっかりと理解していますか?

そこで今回は、こちらの5つのポイントを解説します。
1.引き戸とは?開き戸との違いは?
2.引き戸の種類
3.引き戸のメリット・デメリット
4.引き戸の注意点
5.引き戸と開き戸はどちらが良いのか?
ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。
オーダー建具については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【オーダー建具・造作建具とは?既製品との違い、メリット・デメリット、注意点、施工事例。】

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引き戸とは?開き戸との違いは?
引き戸とは?
まずは、引き戸の定義について整理しましょう。
引き戸とは、溝やレールの上をスライドさせて開閉する戸です。
襖や障子、雨戸などが引き戸に該当します。
実は、引き戸は日本発祥・独自の文化です。古くから「戸」をスライドさせて開け閉めする習慣があり、引き戸は日本文化の一つとして親しまれてきました。

開き戸との違いは?
「開き戸」とは、簡単に言うと、「扉」のこと。
「開き戸」と「引き戸」は、開閉方法に違いがあります。
開き戸は、蝶番(ちょうばん・ちょうつがい)を軸として回転して開閉しますが、引き戸はレール上を横にスライドして開閉します。
開き戸については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【開き戸とは?ドア?種類や特徴、メリット・デメリット。引き戸とは、どちらの方が良いのか?】

引き戸の種類
次に、引き戸の種類について解説します。
引き戸は、主に次の3種類に分類されます。
1.片引き戸
2.引き違い戸
3.引き込み戸
それぞれ詳しく解説します。

1.片引き戸
片引き戸は、戸を壁に沿ってスライドさせて開閉する引き戸のことです。
1枚の戸の場合もありますが、複数枚の引き戸をスライドするタイプもあり、さらに、連動する機構をつけることもできます。

2.引き違い戸
引き違い戸は、2枚以上の戸を2本以上のレールや溝の上で左右にスライドさせて開閉する引き戸のことです。
戸を開けたときに2枚の戸が重なるのが特徴で、一般的には右側の戸が手前に来るように設置されます。

3.引き込み戸
引き込み戸とは、壁面に沿って戸をスライドさせて、壁の中に引き込むタイプの引き戸のことです。
戸を開けたときに壁の中に戸が隠れるため、空間がすっきりして見える効果があります。
1枚の戸の場合もありますが、複数枚の引き戸を壁の中に引き込むものもあります。

引き戸のメリット・デメリット
続いて、引き戸のメリット・デメリットを解説します。
引き戸のメリット・デメリットは次の通りです。
引き戸のメリット
・操作性が良い。
・スペースの有効活用ができる。
・開閉の度合いを調整できる。
・静かで安全。
引き戸のデメリット
・隙間風の発生。
・防音性が低い。
・壁面を利用できるスペースが減る。
・引き込み戸は掃除の手間が増える。
次項から、それぞれ詳しく解説します。


引き戸のメリット
それでは、引き戸のメリットをそれぞれ詳しく解説します。
引き戸のメリットは、次の4つです。
・操作性が良い。
・スペースの有効活用ができる。
・開閉の度合いを調整できる。
・静かで安全。

・操作性が良い。
引き戸は、開け閉めの際の操作性がよく、開き戸などよりもストレスがありません。
開き戸はハンドルを回し、大きなドアを回転して動かすので、前後の体の動きも大きいです。
けれども、引き戸であれば、その場で左右に動かすだけで開け閉めできますよね。

また、開き戸の場合には、ドアクローザーなどの作用で、手を離すと自動でドアが閉まってしまう仕組みがあるものも多いです。
その場合には、両手が塞がっている買い物帰り、ベビーカー・車いすなどの搬入が、さらに大変ですよね。
しかし、引き戸は基本的に好きなポイントで戸が止まるものが多いです。
そのため、スムーズに出入りができ、 高齢者、身体が不自由な方、小さな子供、老若男女問わず、誰でも簡単に開け閉めできる、という大きなメリットが引き戸にはあります。

・スペースの有効活用ができる。
開き戸は、開閉時に扉が回転するため、扉の前後などの可動域がデッドスペースになります。
けれども、引き戸は、戸を真横にスライドさせて開閉するため、デッドスペースが少なくて済み、スペースを有効活用できます。
特に、キッチンから水回りまでの家事動線に引き戸を採用すると、開けたままでも戸が邪魔になることは少なく、非常に効率的な動線を構成できます。

・開閉の度合いを調整できる。
引き戸は、好きなポイントで戸をとめることができ、開閉の度合いを調整することが出来ます。
開き戸でも可能なものもありますが、引き戸であれば、強い風でバタンと強烈に閉まってしまうこともありませんし、ストッパーで固定する手間もありません。引き戸の方が開閉の度合いを調整するのは、断然、楽でしょう。
引き戸にも網戸を設置できますので、自由に風の通りを調整し、家全体の換気もスムーズにできることは、引き戸の大きなメリットです。

・閉める時に静かで安全。
引き戸は、基本的に、開き戸よりも静かで安全に閉めることが出来ます。
さらに、「ソフトクローズ」というシステムを採用すれば、勢いよく閉めても、自動でゆっくりと閉まるようになり、防音性が高まります。
手をはさんでケガをするリスクも激減することにつながり、安全性も高まりますね。

引き戸のデメリット
続いて、引き戸のデメリットを詳しく解説します。
引き戸のデメリットは次の4つです。
・隙間風の発生。
・防音性が低い。
・壁面を利用できるスペースが減る。
・引き込み戸は掃除の手間が増える。

・隙間風の発生。
引き戸は、開き戸に比べて隙間が多いため、隙間風が発生し、問題になることがあります。
また、隙間から暖房や冷房で調整した空気が逃げやすくなります。
気密性を重視したい時には、基本的には、あまり向いていません。

・防音性が低い。
前述したとおり、隙間が大きくなりやすいため、部屋の音を通しやすく防音性が低い、というデメリットもあります。防音性を重視した静かな住まいとしたい場合には、注意が必要です。

・壁面を利用できるスペースが減る。
引き戸を採用すると、壁面を利用できるスペースが減ります。
引き戸がスライドする可動域に何か別の物があると、開閉ができません。
特に、コンセントやスイッチなどは注意が必要で、開き戸であれば設置できる壁であっても、引き戸では設置できない場合があります。

・引き込み戸は掃除の手間が増える。
引き戸を採用すると、その溝やレールにホコリや汚れが溜りやすいように感じるでしょう。
特に、引き込み戸の引込部分、溜まったホコリや汚れの掃除が面倒です。

引き戸の注意点
続いて、引き戸を取り入れる際の注意点を解説します。
次の3点に注意しましょう。
1.オーダー建具を採用する。
2.防犯性能を高める。
3.必要に応じて、補助鍵の採用を検討する。
それぞれ詳しく解説します。

1.オーダー建具を採用する。
引き戸を採用する際の注意点の1つ目は、「オーダー建具を採用する」です。
オーダー建具とは、メーカーが工場などで大量生産するような既製品ではなく、職人さんにフルオーダーで製作してもらう建具(戸や扉のこと)のことです。
既製品の引き戸だけでは、デザイン・見た目に関してだけでなく、寸法やギミックに関しても限界があります。
けれども、オーダー建具には、既製品のような強い制限はありません。

オーダー建具を取り入れるだけで、既製品だけの家では出来なかった間取りが可能になり、できる間取りが増えます。
それほどオーダー建具は、家づくりの自由度・可能性を広げるのです。
オーダー建具を採用・不採用の選択は、デザイン性といった細かな問題だけでなく、家づくりの快適性を強烈に左右します。

しかしながら、オーダー建具を採用するには、多額の費用がかかると考えている方も多いのではないでしょうか?
ハウスメーカー・工務店など多くの建築会社で多額の追加料金がかかりますが、設計事務所であれば、それほど増額にはなりません。既製品を無理に利用する方が、オーダー建具を採用するよりも高額になるケースもあり得ます。
メニュー表の中から選ぶような限定的な注文住宅ではなく、自由なフルオーダーであれば、設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れると思います。
オーダー建具については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【オーダー建具・造作建具とは?既製品との違い、メリット・デメリット、注意点、施工事例。】

2.補助鍵の採用を検討する。
2つ目の引き戸を採用する際の注意点は、「補助鍵の採用を検討する」です。
引き戸は、操作性が優れていますが、それ故に、赤ちゃんであっても、簡単に開け閉めが出来てしまいます。
赤ちゃんの安全確保を考慮するのであれば、補助鍵の採用がおすすめです。
補助鍵を赤ちゃんの手に届かない位置に設置すれば、目を離した隙に引き戸を開けてしまうリスクを抑えることができます。

3.防犯性能を高める。
引き戸を採用する際の注意点の3つ目は、「防犯性能を高める」です。
家の出入口として、引き戸を設ける場合には、防犯性能を高めるような工夫をしておいた方が無難です。
防犯性能を高める方法は2つあります。
1.ディンプル錠
2.脱着サムターン
それぞれ詳しく解説します。

1.ディンプル錠
ピッキング対策として、シリンダーには、ディンプル錠を採用しましょう。
ディンプル錠であれば、複製は難しく、ピッキングにも時間がかかるため、防犯性に優れています。
逆に、シリンダーキーやディスク型キーは、ピッキング被害に遭いやすいため、採用は控えましょう。

2.脱着サムターン
サムターンとは、ドアの室内側にある金具で、錠の開け閉めを行うために使用します。
脱着サムターンは、そのサムターンが取り外し式になっているもののことを指します。
不法侵入するための道具がひっかかる取手がなければ、空き巣や部外者が外からサムターンを回すことができず、侵入することが出来ません。

引き戸と開き戸はどちらが良いのか?
ここまで、引戸の種類、メリット・デメリットなどの特徴、採用する際の注意点などを解説しました。開き戸との違いも整理できたのではないでしょうか?
では、引き戸と開き戸、どちらが良いのでしょうか?
引き戸にも、開き戸にも、メリット・デメリットがあり、機能性や特徴が異なります。
大切なのは、住まい手の暮らし・ライフスタイルに合った建具を採用することです。

「引き戸or開き戸?」「既製品orオーダー建具?」といった判断基準だけでなく、
・どのような暮らしが理想的なのか?
・住まいにどのようなことを求めるのか?
・建具には、どのような役割を持たせたいか?
住まい手側の言葉にできない要望まで丁寧に汲み取り、住まい手の暮らしにピッタリの建具を適材適所で提案してくれるような優秀な建築会社や設計士と家づくりをすることが大切です。

まとめ
今回は、次の5つのポイントを解説しました。
1.引き戸とは?開き戸との違いは?
2.引き戸の種類
3.引き戸のメリット・デメリット
4.引き戸の注意点
5.引き戸と開き戸はどちらが良いのか?
引き戸の特徴や魅力、使いどころなどが理解できたのではないでしょうか?引き戸に関わらず、機能性やデザイン性、使い心地などの要件を満たす魅力的な建具は、快適で心地よい住まいを実現するためには必須のものです。

けれども、そのために本当に大切になるのは、設計力・アイデア・提案力です。
住まい手だけでは難しく、設計士・建築家ならではのものでしょう。
しかしながら、設計事務所に依頼すると、どうしても「費用」も高くなると考える方も多いと思います。けれども、建築家・設計事務所によっては、そのようなことはありません。
実は、「設計力」も「コストパフォーマンス」もどちらも優先し、高いクオリティを実現出来るのが「建築家のいる設計事務所」との家づくりです。ぜひ、一度は相談に行ってみましょう。
こちら↓の記事で詳しく解説していますので、ぜひ、参考にしてみて下さい。
【建築家・設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れる!?設計料など費用面を徹底解説!】

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
ぜひ、参考にしてみて下さい!
名古屋の設計事務所 Tabiのブログは、こちら↓