家づくりが進んでいく中・完成後に
「こんなはずじゃなかった」
と感じる人は、想像以上に多く存在します。
予算が大きく膨らんだ、住みにくい、
もっとこうすれば良かった、など。
あるいは、明確な欠陥があるわけではないのに、
どこか納得できない。
こうした声は、決して珍しいものではありません。
家づくりで後悔する人は多く、
アンケート調査によって差はありますが、
約7割~8割以上の人が何かしらの後悔や心残りを感じています。

そして、後悔の原因は、
・お金が足りなかった
・もっと勉強すべきだった
・慎重に検討すればよかった
・タイミングが悪かった
と説明され、ユーザーは無理やり納得して片付けるしかない。
それが今の住宅業界の実態のようです。

しかし、本当は、
「YESマンの建築会社」を選んでしまったこと。
それが家づくりが失敗する最大の原因ではないでしょうか?

「YESマンの建築会社」とは何か?
YESマンの建築会社とは、施主の要望に対して
「できます」
「問題ありません」
「大丈夫ですよ」
と、ほぼ無条件に肯定する姿勢を取り続ける会社を指します。
要望を否定しない。
夢を壊さない。
話が早い。
一見すると、とても親切で、施主思いのように見えるかもしれません。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。

YESマンの建築会社では、
要望を設計に翻訳せず、そのまま通しているだけ。
そのようなケースがほとんどです。
しかし、本来、「設計」とは、
要望をそのまま形にする行為ではありません。
・要望の背景を読み取り、
・条件や制約と照らし合わせ、
・何が成立し、何が成立しないのかを判断し、
・取捨選択したうえで、
・再構築する行為 です。
YESマンは、この最も重要な工程を放棄します。

YESマンは、
要望を翻訳せず、編集せず、そのまま通す。
その結果、
問題はすべて後工程に先送りされていきます。
YESマンは、その責任を負いません。
つまり、
YESマンは、十分な仕事をしていない。
誠実に仕事をしているフリをしているだけです。
家づくりが上手くいかないのも当然ではないでしょうか?

YESマンが家づくりを壊す3つのリスク
YESマン建築のリスクは、大きく3つあります。
1.構造・性能が後追いになる
YESマン建築で最も多いのが、
構造や性能が「後追い」になるケースです。
吹き抜け、大開口、複雑な間取り。
どれも魅力的な要素ですが、
「できるかどうか」と「無理なく成立するかどうか」は別問題です。
本来であれば、設計段階で
・構造的に無理がないか
・補強が過剰にならないか
・性能が犠牲にならないか
を検証し、必要であれば計画を修正する必要があります。
言い換えれば、
設計=合理性の追求です。
しかし、YESマンは、合理性を放棄します。

YESマンは何でもかんでも、
「できます」「いいですね」と言い、形を優先します。
結果として、完成直前や工事中に無理な補強が追加され、
コストが跳ね上がったり、性能が犠牲になったりするのです。

2.予算が必ず破綻する
YESマン建築では、予算管理も破綻するリスクが高い。
なぜなら、要望を整理せず、優先順位もつけないまま、
「全部やりましょう」という前提で進むからです。
多額の工事契約が済んでから、
「それは別途です」
「想定外でした」
という言葉が増えていきます。
最終的に、
・誰が止めるべきだったのか
・なぜ最初に説明されなかったのか
が曖昧なまま、工事費だけが膨らみ続けていく。
これは施主の責任ではありません。
・止める立場の人間が、止めなかったこと
・説明責任のある人間が、説明しなかったこと
つまり、担当者に原因があるのです。

3.暮らしの質が設計されていない
YESマン建築は、
完成写真だけを見ると整って見えることがあるかもしれません。
しかし、住み始めてから違和感が噴き出します。
・動線が悪い
・収納が足りない
・掃除やメンテナンスが大変
・生活感を隠せない
すべて「暮らしの設計」が不足しているサインです。
YESマンは、要望を積み重ねるだけで、
その空間でどう暮らすかを深く考えません。
結果として、
「要望は叶っているが、快適ではない家」
になります。
要望を叶えるだけでは、
家は単なる欲望の塊になってしまうのです。

なぜYESマンは選ばれてしまうのか?
YESマンが選ばれる理由は、非常に単純です。
否定されないから、楽に感じるのです。
家づくりは不安の連続です。
その中で「大丈夫ですよ」と言われると、安心したくなる。
しかし、行き過ぎた安心感は、
問題を先送りしているだけに過ぎません。
建築は、完成してしまえば簡単にやり直せない。
だからこそ、設計段階で、
問題を引き受ける厳しさが必要になります。
それが、「責任」そのものです。

設計事務所・建築家の責任とは何か?
設計事務所や建築家の役割は、
要望をすべて叶えることではありません。
・成立しない計画にNO(待った)を言う。
・危険な選択肢を排除する。
・将来の後悔を未然に防ぐ。
これが、本来の設計士の責任です。
NOを言うことは、簡単ではありません。
嫌われるかもしれない。
契約に至らないかもしれない。
それでもNOを言うのは、
完成後の暮らしに責任を持つためです。
YESマンにならないこと。
それは、設計者としての「覚悟」です。

まとめ|失敗しない家づくりのために
家づくりの失敗は、設計内容以前に、
「誰を選ぶか」で決まります。
YESマンは一見親切ですが、責任を負いません。
仕事も不十分です。
本当に信頼すべきなのは、
正当な理由をもってNOを言える設計者。
寄り添い、そっと導くパートナーです。
家づくりは、
要望を通す作業ではなく、
一緒に考え、削り、整えていくプロセス。
その覚悟を共有できる相手を選ぶことが、
後悔しない家づくりへの最短ルートです。

私たちの設計について
私たちは、時として、
要望にすぐ「YES」と答えないかもしれません。
土地の条件や周囲の環境、
その場所でどんな暮らしが無理なく成り立つのか、
丁寧に整理するからです。
要望をそのまま形にすることは簡単です。
しかし、それでは
構造や性能、予算、暮らしの質が、
どこかで必ず噛み合わなくなります。

私たちが大切にしているのは、
「できますか?」に答えることではなく、
「それは本当に成立するか?」を一緒に考えること。
その過程で、
「それは勧められません」
「別の方法があります」
とお伝えすることもあります。
時として、NOを言うのは、
要望を否定するためではありません。
完成後の暮らしに責任を持つためです。

土地と家族の状況に向き合いながら、
その場所、その方のための住まいを一から考える。
簡単にYESと言わないこと。
それは、私たちの設計士としての「覚悟」です。

初回の相談・提案は無料です。
ぜひ、お気軽にご相談下さい。
設計の考え方やこれまでの取り組みは、
以下のページでご紹介しています。