はじめに|設計事務所・建築家は「間取り」から考えない。
家づくりの相談では、まず最初の要望として、
「間取り」が話題に上がることが多いです。
たとえば、
・部屋はいくつ必要?
・収納はどこに置く?
・LDKの大きさは何畳?など
このような要望は、とても分かりやすく、具体的で、
家づくりを進めている実感が持てるテーマでもあります。
しかし、設計事務所の建築家が家づくりを考えるとき、
実は「間取り」から考え始めることは、ほとんどありません。
そこには、家を長く心地よく使い続けるための、明確な理由があります。

なぜ多くの人が「間取り」から家づくりを始めてしまうのか?
間取りは、家づくりの中で最もイメージしやすい要素です。
住宅展示場、SNS、住宅雑誌などでも、必ず平面図が掲載されています。
結果として、
「家=間取り」という考え方が、
知らず知らずのうちに刷り込まれてしまう。
ユーザーが家づくりのスタート地点に
「間取り」を選んでしまうことは自然なことです。
数字や部屋の配置は、比較もしやすく、説明もしやすい。
ただ、この“分かりやすさ”こそが、
家づくりを難しくする原因となることも。

既存の間取りに「最適解」はない。
住宅展示場や雑誌、インターネットで目にする間取りは、
どれもよく考えられ、完成度の高いものです。
ただし、それらは
「誰かの暮らし」に向けてつくられた答え。
あなたの暮らしや、あなたの土地のためにつくられたものではありません。
敷地の条件も違えば、
光の入り方や周囲の環境、家族の生活リズムも異なります。
それにもかかわらず、
間取りだけを基準にすると、土地や暮らしとのズレが生じやすくなります。

間取りを先に選ぶという行為は、
用意された選択肢の中から「合いそうなもの」を探すことでもあります。
決して間違いではありませんが、
本質的には、既製品を選ぶ行為と大きく変わりません。
多くの方が、
「自分の暮らし」と「土地の個性」への配慮を忘れてしまうからです。
本当に必要なのは、
誰かのゴールをなぞることではなく、
自分たちの暮らしにとってのゴールを、土地とともに描くことではないでしょうか?

設計事務所・建築家の設計思想とファーストイメージ
設計事務所や建築家が家づくりを考えるとき、
最初に向き合っているのは「間取り」ではありません。
まず考えるのは、
その土地で、どんな暮らしが成り立つのかということです。
敷地の形や大きさ、周囲の建物との距離、
光や風の入り方、視線の抜け方。
そして、そこに住む家族が、どんな時間を大切にしたいのか。
これらを一つずつ読み取りながら、
その場所にふさわしい暮らしのあり方を探っていきます。
間取りは、その後です。
暮らしの前提が整理されてはじめて、
部屋の役割や配置が意味を持ち始めます。

「間取り」は結果であり、手段にすぎない。
暮らしのイメージと設計の軸が定まると、
間取りは無理なく整っていきます。
部屋数を先に決めなくても、
必要な場所は自然と見えてくる。
動線も、説明しなくても納得できる形になります。
こうして出来上がった間取りは、
「なぜこの配置なのか」と考えさせません。
住み始めてからも違和感が少なく、
時間とともに暮らしに馴染んでいく間取りとなります。

間取りはとても大切です。
ただし、それは最初に決めるものではなく、
設計を重ねた先に現れる答え。
その答えを、土地と暮らしにとって、
本当に意味のあるものにしたいからこそ、
設計事務所・建築家が間取りを急ぎません。
本来「間取り」は目的ではなく、
結果であり、手段なのです。

まとめ|間取りの前に、考えておきたいこと
家づくりにおいて、間取りはとても重要な要素です。
ただし、それは「最初に決めるもの」ではありません。
土地の条件や、そこで営まれる暮らしを丁寧に読み取り、
何を大切にしたいのかを整理した先に、
間取りは自然と形を持ちはじめます。
間取りに悩んだときこそ、
少し立ち止まって考えてみてください。
その間取りは、
本当に自分たちの暮らしと土地に合ったものなのか。
それとも、誰かの答えを借りてきているだけなのか。
家づくりは、選ぶことではなく、
描いていくことから始まります。

私たちの設計について
私たちは、間取りを描く前に、
対話を重ねることを大切にしています。
土地の条件や周囲の環境。
そこでどんな暮らしが成り立ち、
どんな時間を重ねていきたいのか。
そうした前提を共有しないまま、
間取りだけを考えても、
住まいはどこか噛み合わなくなると考えているからです。
既存の間取りを当てはめるのではなく、
土地と家族の状況に向き合いながら、
その場所・その方のための住まいを一から考える。
それが、私たちの設計です。

初回の相談・提案は無料です。
ぜひ、お気軽にご相談下さい。
設計の考え方やこれまでの取り組みは、
以下のページでご紹介しています。