はじめに|家づくりの出発点を再考する。
家づくりを考え始めた時、
どんなことから考えていますか?
多くの人は
「間取り」「デザイン」「性能」「価格」といった、
目に見える要素から検討を始めてしまいます。
それ自体は自然なことです。
しかし、本来、それらは、
すべて結果であり、出発点ではありません。

そんな中、設計事務所や建築家が本当に大切にしているのは、
実は、流行のデザインや奇抜な間取りではありません。
これから長い時間、営まれるであろう、
暮らしそのものです。
そして、暮らしにどう向き合うか、
それを決定づけるのが「設計思想」です。

なぜ今、「設計思想」が問われているのか?
近年、住宅を取り巻く情報は爆発的に増えました。
SNSを開けば、
洗練された住宅の写真や動画が、
無数に流れてきます。
住宅性能も数値で比較され、
断熱等級や耐震等級が、
まるで優劣の指標のように扱われる場面も珍しくありません。

一方で、
「自分たちにとって本当に心地よい住まいとは何か?」
本質的な課題を見落としてしまう方も増えています。
正解が多すぎることで、
判断軸を失ってしまっているのです。
だからこそ今、
設計の根底にある思想が問われている。
設計思想とは、
流行や他人の評価に左右されず、
「この家は、誰のために、どんな暮らしを支えるのか」
この問いに対する、一貫した答えです。

設計事務所・建築家が向き合うのは「デザイン」ではなく「暮らし」
「建築家=デザインが得意な人」
そうしたイメージを持たれることは少なくありません。
しかし、実際の設計プロセスは、
それほど単純ではありません。
多くの設計事務所が最初に考えるのは、
外観の形でも、内装のテイストでもなく、
家族の日常です。

朝起きてから夜眠るまで、
どんな動線で動き、
どこで立ち止まり、
どんな時間を過ごすのか。
平日と休日で、
暮らしはどう変わるのか。
今だけでなく、
数年後、十数年後には、
どう変化していくのか。
そうした生活の積み重ねを想像し、
整理し、
空間へと落とし込んでいきます。
本来、デザインは、その結果として現れるものです。

良い設計思想は、暮らしのストレスを静かに消していく
住まいの不満の多くは、
決定的な欠陥ではありません。
動線が少し遠い。
収納が少し足りない。
視線が少し気になる。
そうした小さな違和感の積み重ねです。
良い設計思想は、
それらを事前にすくい上げ、
静かに取り除いていきます。

本当に暮らしやすい家には、
派手さはありません。
しかし、住むほどに、
「なんとなく楽」
「理由は分からないけれど落ち着く」
そう感じられる住まいになります。
人生に寄り添うために、
建築ではなく、暮らしが主役となるのです。

「正解の間取り」「流行のデザイン」に頼らない理由
住宅雑誌やインターネットには、
「人気の間取り」
「失敗しない間取り」
といった情報があふれています。
しかし、それらはあくまで平均解です。
しかし、実際には、
家族構成も、価値観も、
生活リズムも、敷地条件も、
一つとして同じものはありません。
他人の正解を、無理に、
そのまま自分たちの正解にしなくとも良いのです。
設計事務所や建築家が
完全自由設計にこだわる理由は、
奇抜なことをしたいからではありません。
一つひとつの条件に向き合うためです。

設計思想は、図面や言葉よりも「住み心地」に表れる
設計思想は、
完成した瞬間に評価されるものではありません。
住み始めてから、
さらに時間が経ってから、
その真価が現れます。
無意識に、快適で心地よく、
家にいる時間が自然と増えていく。
説明できないけれど、
「なんだか、とてもいい」と言われる。
そこに、設計思想が空間として成立している証があります。

デザインと暮らしの境界線に、建築家の役割がある
デザインに寄りすぎれば、暮らしが犠牲に。
暮らしに寄りすぎれば、空間の質が犠牲に。
その両者の間にある、
微妙な境界線を見極め、調整すること。
それが、建築家の役割です。
設計思想とは、
そのバランス感覚の集積です。

まとめ|家づくりの本質は暮らしを考えること
家づくりで本当に大切なのは、
「どんな間取りにするか」ではありません。
「どんな暮らしを送りたいか」
その問いに、
設計者がどこまで本気で向き合っているか。
そこに、
設計事務所・建築家を選ぶ本質的な基準があります。

私たちの設計について
住まいの設計の本質は、
形を決めることではありません。
その場所で、どんな暮らしを営んでいくか。
時間の経過とともに、無理が生まれないか。
それを一つひとつ確かめながら、
空間として成立させていく行為が、
私たちの考える「住宅設計」です。

土地の条件。
周囲の環境。
家族構成と生活のリズム。
それらを整理し、
暮らしが心地よく成り立つ輪郭を、
私たちは描いていきます。
デザインと暮らしの境界線で、
どちらにも寄りすぎないこと。
それが、住み続ける家に必要なバランスだと考えています。

設計の考え方や、
これまでの取り組みについては、
以下のページでご紹介しています。
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住まいづくりを検討されている方は、
どうぞお気軽にご相談ください。