良い家の条件は「深い庇」軒の役割、メリット・デメリットや設計デザインのポイント

良い家に共通する条件を1つ挙げて下さい。と聞かれたら「深い庇」だと答える建築の専門家のではないでしょうか?私の設計事務所でも「深い庇」にこだわって、設計デザインしています。

けれども、一般の方々には、まだまだ庇・軒の重要性は、あまり理解されていないようです。
また、大きく深い庇をつくったとしても、有効活用できていなかったりデザイン性に優れていなければ残念ですよね。

 

 

そこで今回は、庇・軒の役割をメリット・デメリットを紹介。
良い家の条件である「深い庇」を設計デザインする際のポイントを詳しく解説します。

ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。

 

 

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屋根(やね)・軒(のき)・庇(ひさし)の違いは、ご存知でしょうか?

まずは、今回のテーマであるワードを整理していきましょう。

どれも役割は同じで、雨や日差しから建物や室内を守る重要な役割をしています。

 

 

屋根(屋根)
屋根は、建物の上部に設ける覆いのことです。

軒(のき)
軒は、屋根の一部で、外壁より突き出ている部分のことです。

庇(ひさし)
庇は、屋根の一部ではなく、独立して窓や扉の上部に取り付けられている部分のことです。 

このようにそれぞれ役割は同じですが、取り付けられる場所によって呼び方が異なります。

 

 

 

次に、軒・庇の役割・メリットについて解説します。

軒・庇には、主に次の4つの役割やメリットがあります。

1.雨から守る。
2.日差しを調整する。
3.耐久性を向上させる。
4.バッファーをつくる。

それぞれ詳しく解説します。

 

 

 

1つ目の庇・軒の役割・メリットは、「雨から守る」ことです。
例えば、庇・軒があれば、雨天時に雨が部屋の中へ直接入ることをグッと防ぐことができます。強い雨でないなら、室内がじめじめしていれば、窓を開けて換気や通風をとり湿気や熱気を逃がすことが出来ますよね。
庇・軒が雨から守ってくれることは、雨の多い日本では、住まいの快適性にダイレクトに影響します。

 

 

 

2つ目の庇・軒の役割・メリットは、「日差しを調整する」ことです。
庇・軒は、真夏の暑い日のように太陽高度が高い場合は、太陽の光をカットして、窓ガラスや外壁に直射日光が当たり室温が上昇するのを防ぎます。
けれども、冬の寒い日のように太陽高度が低い場合には、太陽の光・熱を家の中や外壁に取り込み、室温が上昇させることが出来るのです。
特に、窓・開口部の周りに十分な深さの庇・軒を設けることは、住まいの快適性にとても大きく影響します。

 

 

 

2つ目の庇・軒の役割・メリットは、「家の耐久性を向上させる」ことです。
住宅の外壁は、太陽の紫外線や雨風などで経年劣化してしまいます。けれども、庇・軒があれば、その多くがカットされ、長持ちするようになるのです。雨が降った際の雨だれなど、外壁の汚れ対策にもなります。
また、外壁だけでなく、扉やサッシなど、窓や開口部の汚れや劣化にも有効だといえます。

 

 

 

2つ目の庇・軒の役割・メリットは、「バッファーをつくる」ことです。
バッファーは「緩衝材」という意味で、内と外の心理的な距離感を緩和して近づける空間のことを指します。

例えば、縁側、テラス・土間などの空間のことです。

 

 

庇・軒は、設計次第では、内部空間から外部空間へ至るまでの「緩衝材」としての役割を担い、内と外がつながるような高い連続感を演出します。
庇・軒のような雨や日差しから守ってくれるような「内部的な外部空間」「中間領域」があると、内と外の心理的な距離感は近づき、内と外を一体的に設計することができ、開放感を演出することにもつながるのです。

 

 

内と外を一体的にデザインする設計手法については、こちら↓の記事でも詳しく解説しています。
【一体的な「内と外」を実現する3つのポイントと4つのデザイン手法。中間領域とバッファー。】

 

開放感を演出する設計手法については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【開放感のある家をつくる7つのポイント。間取りやインテリアの設計手法・デザイン。】

 

 

 

庇・軒の役割やメリットを理解して頂きましたね。
次は、庇・軒のデメリットを整理しましょう。

庇・軒のデメリットは次の2つです。

1.コストアップになる。
2.居住面積が狭くなる。

それぞれ詳しく解説します。

 

 

1.コストアップになる。
庇・軒を設けるのにも少なからずコストがかかります。
深ければ、それだけ材料費や工事費、人件費などがアップすることになります。

2.居住面積が狭くなる。
軒や庇を設置するにはスペースが必要です。
そのため、境界線から余裕を持って住宅を設計する必要があり、狭小地などでは室内の面積が狭くなる可能性もあります。

 

 

 

庇・軒の役割・メリット・デメリットなどの特徴を整理しました。

ここで一度、そもそも本当に軒・庇が必要なのかどうか考えてみましょう。

実際、家には軒・庇が必要なのでしょうか?

 

 

昨今では、外壁材が改良され、例えば、特殊なサイディングやガルバリウム鋼板といった耐久性の高い素材も登場しました。このような外壁材は直射日光による紫外線、雨や風にさらされても、長い年数、メンテナンスが必要ありません。
また、紫外線をカットするガラスやペアガラス、雨風に強く、断熱性能の高いアルミサッシも主流となりました。
換気設備の機能性も向上し、窓を開ける習慣がない方も多く、軒や庇が必要ないと考えている家庭も多いかもしれません。

 

 

それでも、

深い庇・軒はあった方が断然良い。

それほどまでに、庇・軒は、心地よさ・快適性を向上してくれるものなのです。

家族全員、家で過ごす時間が極端に短い方は別として、住まいで豊かに暮らしたい方には、深い庇がある住宅が断然おすすめです。

できることであれば、庇・軒は家全体に欲しいところですが、その中でも深い庇・軒をポイントで採用してみてはいかがでしょうか?

 

  

 

実は、庇・軒の設計デザインは簡単ではありません。

設計力がなければ見苦しくなってしまい、実際、庇・軒をうまくデザインできていない家の方が多いのではないでしょうか?

そこで最後に、庇・軒の設計デザインのポイントを解説します。

 

 

庇・軒を設計デザインする際には、次の3つのポイントを大切にしましょう。

1.深さ
2.軽やかさ
3.連続性

この3点を意識して整えれば、デザイン性に優れた庇・軒を実現できることでしょう。

それぞれ詳しく解説します。

 

 

1.深さ
庇・軒を設計デザインする際には、奥行を意識しましょう。適度に深い方が魅力ある庇・軒になります。

 

 

2.軽やかさ
庇・軒を設計デザインする際には、軽やかさを意識しましょう。
奥行が深いと構造的な負荷が大きくなり、一般的には厚みのある庇・軒になってしまいます。
厚みのある庇・軒は、重たい印象を受けたり、圧迫感を感じやすく、上手く設計しなければ見苦しくなってしまうことさえあります。
魅力ある庇・軒にするためには、設計の工夫によって庇・軒を薄く見せ、軽やかにデザインしましょう。

 

 

3.連続性
庇・軒を設計デザインする際には、内と外の連続感を意識しましょう。
深く軽やかな庇・軒を内部の天井と連続するようにデザインすると魅力ある庇・軒になります。
そのためには、大きな窓でつなぎ、構造や素材などの要素・デザインを内部空間・外部空間で統一させましょう。
建物のデザインコンセプトを内外で統一することで、調和・一体感を生み出し、連続性が生まれます。

 

 

1.深さ
2.軽やかさ
3.連続性

この3つのポイントを大切に設計デザインをすることで、外観の見た目が向上するとともに、内部と外部が一体的な建築となり、心地よく快適な内部空間を実現することができます。

 

 

 

今回は、庇・軒の役割をメリット・デメリットを紹介。
良い家の条件である「深い庇」を設計デザインする際のポイントを詳しく解説しました。

庇・軒は心地よさ・快適性を向上させ、豊かな暮らしを実現するには必要不可欠ですが、実際、魅力的にデザインするためには、構造・施工などの多数の専門的知識・経験が必要です。

住まい手だけでは難しく、設計士・建築家ならではのものでしょう。

 

 

しかしながら、設計事務所に依頼すると、どうしても「費用」も高くなると考える方も多いと思います。けれども、建築家・設計事務所によっては、そのようなことはありません。

実は、「設計力」も「コストパフォーマンス」もどちらも優先し、高いクオリティを実現出来るのが「建築家のいる設計事務所」との家づくりです。ぜひ、一度は相談に行ってみましょう。

こちら↓の記事で詳しく解説していますので、ぜひ、参考にしてみて下さい。
【建築家・設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れる!?設計料など費用面を徹底解説!】

 

 

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。

施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。

その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。

建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

 

 

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。

 

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