注文住宅では「平屋」に人気があり、幅広い世代の方から選ばれています。
しかしながら、平屋には、あまり知られていないメリットがある他、大きなデメリットもあることをご存知ない方が多いようです。

そこで今回は、平屋での注文住宅が人気の理由、メリット・デメリットを解説します。二階建てとの違いを比較し、施工事例も紹介していきます。
平屋が少しでも気になっている方は、ぜひ、最後まで読んで、家づくりの参考にしてください。

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平屋とは?
「平屋」とは、1階建ての住宅のことです。
階段や地下室、2階もなく、住宅の全ての部屋・機能が1階に集約され、配置された住宅を「平屋」といいます。
日本では古くから平屋が主流でしたが、人口増加・土地価格の高騰に伴い、マンションの他、一戸建てであっても2階建て以上の住宅も増えてきました。
ただ、現在でも、地方や都心近郊では、いまだに平屋の人気は高く、平屋を求める方は、相当数いらっしゃいます。

なぜ、それほど人気があるのでしょうか?次項からは、平屋の魅力と注意点を詳しく解説します。
二階建てについては、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【二階建てのメリット・デメリット!総二階?平屋との比較や施工事例の紹介も。】

平屋のメリット
平屋のメリットは、とっても簡単に言ってしまうと、次の2つです。
1.暮らしていて、楽(ラク)。
2.暮らしていて、楽しい(たのしい)。
つまり、
楽で、楽しい。
それが、平屋のメリットです。
次項から、それぞれ詳しく説明します。

1.楽(ラク) バリアフリー・動線
平屋のメリット1つ目、暮らしていて「楽(ラク)」について解説します。
「階段」がないために、平屋での暮らしは、2階建てに比べ、非常に「楽(ラク)」です。
2階建てでの、階段の上り下りは大変なことで、精神的・肉体的に一定のストレスが生じることは否めません。
若く、身体が元気な内は問題がなくとも、身体にトラブルを抱えると、大きな問題になることもあります。
さらに、階段での事故は家庭内でよく起こる事故のひとつです。
階段がないだけでも、小さな子供や高齢者に優しいバリアフリーな住まいといえます。

階段がないことは、「動線をコンパクト」にすることにもつながります。
上下の移動がなく、一階部分のみで動線が完結し、平面移動のみで全てのことが足ります。
たとえば、1階の水回りで洗濯、2階のベランダで干し、また1階のクローゼットに収納する、といったような暮らしにくい家になることはありません。
部屋間の距離や水回りの位置を工夫すれば、非常に暮らしやすい効率的な間取りを計画できます。
上記のようなことから、平屋は、2階建てに比べ「楽(ラク)」な住まいを計画しやすいと言えます。
動線については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【家事動線とは?家事が楽な間取りの事例やメリット、設計のポイントを解説。】

2.暮らしが楽しい。
続いて、平屋のメリット2つ目、暮らしていて「楽しい(たのしい)」について解説します。
平屋は、暮らすための空間が、全て1階にあります。
家族全員が1階にいることになるので、自然と気配を感じながら生活をすることになり、コミュニケーションをとりやすい住まいになりやすいのです。

また、費用面を抑えた計画とするために、平屋の場合は「家の中に廊下が無い間取り」が採用されることも多いです。そのような間取りでは、LDKが主の動線・廊下の代わりを兼ね、家族が自然と顔を合わせる機会が増えます。
家族間のコミュニケーションがとりやすい間取りだといえるでしょう。

さらに、暮らすための空間が全て1階にあると、どの部屋にいても、すぐに外に出て、リフレッシュできるような気持のいい間取りを計画することが出来ます。つまり、外部・庭も身近なものとなります。
近年では、共働きで、庭の手入れまでは・・・と考える方もいらっしゃいますよね。
けれども、計画次第では、大変な手入れは必要なく、素敵な庭を演出することができます。
上記のようなことから、平屋は、2階建てに比べ「楽しい(たのしい)」住まいを計画しやすいと言えます。
外を身近に感じるデザインについては、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【一体的な「内と外」を実現するポイントとデザイン手法。中間領域とバッファー。】

平屋のデメリット
さて、平屋が魅力的な面を解説してきましたが、デメリットもあります。
平屋の代表的なデメリットは、「魅力的な平屋とするためには、必要なものが2つ」あることです。
必要なものとは次の2つ。
・「大きな土地」
・「設計力」
この2つです。詳しく解説します。

「大きな土地」と「設計力」が必要
平屋のデメリット、「魅力的な平屋とするためには、「大きな土地」と「設計力」が必要となる」その理由を解説します。
平屋は、周辺の影響を受けやすい傾向があります。
例えば、周囲に二階建てが多く、ある程度、密集している場所地では、日当たりや風通しが悪くなりやすいです。
また、隣家から上から覗かれるような恰好になり、道路などからも全てが見えやすい状況となる可能性があります
総じて、平屋は、周辺環境に配慮しなければ、住環境やプライバシーが守れない、住みにくいと感じる家になりやすいのです。

全ての部屋が一階部分にあるので、外部から侵入されやすく防犯面も注意が必要です。
夏の夜などに、窓を開けて寝たいのであれば、窓の形式や位置などに配慮が必要でしょう。
このように「平屋」は、その形式だけで、魅力的なように思えますが、デメリットも多いです。
だからこそ、「大きな土地」と「設計力」が必要なのです。

「平屋」を要望し、土地にコストをかけたとしても、「大きな土地」と「設計力」がなければ、残念な結果になるというのは、あらかじめ覚悟しておいた方がいいかもしれません。
細かな配慮が行き届いた設計をされていない「平屋」を建ててしまっていては、覗かれやすく、防犯面に弱く、日当たりや風通しが悪く、総じて、暮らしにくい家となってしまうからです。
【土地探し情報 まとめ】は、こちら↓

その他のデメリット
平屋のその他のデメリットは次の通りです。
固定資産税が高くなる。
ただし、土地が広さに応じて、固定資産税は高くなり、基礎部分の大きい平屋は「資産価値が高い」とみなされる傾向があります。
床上浸水のリスクが高くなる。
住宅の全てが1階にあるため、家全体が水浸しになるリスクは二階建てに比べて高くなります。
また、2階に逃げるなどの「垂直避難」ができず、もしもの時の逃げ場所が確保できません。
豪雨や河川の氾濫による、水害が起こる可能性のあるエリアでの建築は避けるか、何かしら対処・工夫する必要があります。

よくある質問
「平屋」で、よくある質問は、次の2つです。
・建築費用が高くなりやすいの?
・構造的に強くなるの?
この2点について、詳しく解説します。

建築費用が高くなりやすい?
まず、平屋は「建築費用が高くなりやすい?」について解説します。
部屋数・各部屋の大きさ・機能・要望・収納量などが同じ条件であった場合に限りますが、、、
坪単価は「平屋」の方が高くなる。
しかしながら、
平屋・2階建て、建築費用は変わらないと考えていい。
と考えていいでしょう。
坪単価については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【坪単価に騙される人、もうさすがにいない?相場・平均・比較に意味あるの?】

坪単価は「平屋」の方が高くなるのに、「平屋」・「二階建て」で総費用は変わらないと考えていい理由を説明します。
理由は、「平屋」の方が面積がコンパクトになるからです。
「平屋」の場合は、階段が無く、廊下のない間取りも十分可能です。
しかし、「2階建て」の場合、階段は必ず必要で、廊下も必要になることが多いです。
廊下を極端に少なくしようとすると、階段の配置の制限が強く、自由な間取りは難しくなるからです。
廊下については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【廊下のない家?そのメリット・デメリット、後悔しないための間取り、設計のポイントを解説。】

構造的に強いのか?
続いて、平屋の方が「構造的に強い?」について解説します。
結論としては、
2階建ても構造的に強くできる。気にしなくていい。
たしかに、2階建ての方が構造的に負荷がかかりやすく、構造の面では有利ではあります。
ただし、気にする程度のものではありません。

極端な要望や間取りでない限り、2階建て程度であれば、設計の工夫次第で、構造的に強くすることは難しいことではありません。
また、そこにかかる費用も全体で見れば、気にするような金額でもないでしょう。
「平屋」「2階建て」、どちらでも問題はありません。
木造の構造・耐震性については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【木造で地震に強く耐震性の高い家をつくる7つのポイント、間取り・形状の注意点。】

平屋の施工事例
最後に、私の設計事務所の平屋の施工事例を2つ紹介します。
【HOME-YM1】




【HOME-YM1】
和モダンの住まい。
お施主様のご要望で採用した「瓦屋根」を際立たたせる「切妻屋根」。大きな庇が特徴的な外観。
内部は、大きな開口と土間・庇・天井の連続間によって、内と外が繋がり、のどかで豊かな田園風景を存分に取り込みます。
【HOME-YM1】のその他の写真は、【こちら】からどうぞ。
【HOME-YM2】




【HOME-YM2】
モダンでスタイリッシュな住まい。
お施主様のご要望の「グレー」と「ブラック」の外壁を際立たたせるように構成した建物のボリュームが特徴的な外観。
内部は、大きな開口・吹抜・木の天井、部屋の連なりが特徴的。LDKに面した外部には、広いウッドデッキの「アウトドアリビング」も兼ね備え、庇で守られている。
【HOME-YM2】のその他の写真は、【こちら】からどうぞ。
その他の施工事例は、こちら↓からご覧頂けます。

まとめ
今回は、平屋での注文住宅が人気の理由、メリット・デメリットを解説、二階建てとの違いを比較し、施工事例も紹介しました。
本論で解説したように、平屋は魅力がありますが、それを活かすには優れた「設計力」が必要です。
平屋に魅力があるのではなく、「上手く設計された平屋」に魅力を感じる方が多いのかもしれません。

「設計力」が高くなれば「費用」も高くなると考える方も多いと思います。しかしながら、そのようなことはありません。
「設計力」も「コストパフォーマンス」もどちらも優先し、高いクオリティを実現出来るのが「建築家のいる設計事務所」との家づくりです。ぜひ、一度は相談に行ってみましょう。
こちら↓の記事で詳しく解説していますので、ぜひ、参考にしてみて下さい。
【建築家・設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れる!?設計料など費用面を徹底解説!】

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
ぜひ、参考にしてみて下さい!
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