「地盤改良工事」とは、どのような工事かご存知でしょうか?
地盤調査の結果、建築地の地盤が弱かった場合に必要となる工事ですが、100万円以上の費用がかかることもあるほど、大きな費用が発生することもあります。
しかしながら、工事の内容が詳しくは分からずに、多額の請求をされていては、不安になってしまうこともあるでしょう。

そこで今回は、「地盤改良工事」について、表層改良・柱状改良・鋼管杭など、代表的な工法の種類を紹介。
それぞれの特徴、メリット・デメリット、費用などについても、詳しく解説します。
ぜひ、最後まで読んで参考にして下さい。

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地盤改良工事とは?
「地盤改良工事」とは、軟弱な地盤を補強する工事のことです。
SWS試験やボーリング調査といった、地盤調査の結果、建築地の地盤が弱いと判定されたとします。
そこで、地盤が弱いと、時間の経過によって地盤沈下や不当沈下が起こり、建物に倒壊や損害が出るリスクがあると考えましょう。
軟弱地盤から発生するリスクを防ぐためには、建築の土台となる地盤を補強し、問題ない状態にする「地盤改良工事」が必要です。
地盤調査についての詳しい内容は、こちら↓の記事で解説しています。
【地盤調査は必要?スウェーデン式とは?調査方法、費用、注意点などの基礎知識を解説。】

具体的に必要なケースを解説。
一般的に、地盤改良工事の必要性は、その地盤の「地耐力」が十分かどうかで判断されます。
「地耐力」とは、「地面が建物を支える強さのこと」で、この値が20~30KN/m2以上の支持層(硬い地盤)が深いところにある、あるいは、ない場合には軟弱地盤とされ、地盤改良工事が必要です。

その他に、総合的な周辺情報をもとに、地盤改良工事が必要だと判断される場合もあります。
例えば、
・その建築地が自然にできた土地ではなく、盛土や埋め立てなどの造成によって人為的に造られた土地である場合。
・その建築地では、過去に陥没があったり、今後、不同沈下や液状化の可能性がある場合。
などが挙げられます。

地盤調査をする前や、地盤に関する情報を全く入手することなく、土地や物件を購入する方がいらっしゃいますが、調査不足はトラブルの元です。
必ず、土地を購入する前に、事前に地盤に関する情報を必ず得てから、土地購入の契約を結ぶようにしましょう。
地盤に関する情報を得る方法が分からない方は、土地を購入する前に、まずは、注文住宅を依頼しようと考えている建築会社にも相談することをおすすめします。建築会社であれば、周辺の地盤情報などから予測を立てることは可能です。

土地を購入する際は、不動産会社ではなく、まずは、建築会社にも事前に相談するのが失敗しない家づくりのセオリーです。
こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【土地と建築会社、どちらを先に決めるのが正解?失敗しない注文住宅・土地探しの秘訣を解説!】

地盤改良工事の種類
地盤改良工事にも種類がいくつかあります。
ここからは、その中でも代表的な3つの工法を紹介し、それぞれの特徴、メリット・デメリット、費用面を解説します。

表層改良工法
表層改良工法
表層改良工法は、セメントを使用し、地表のまわりを固める地盤改良工事の工法です。
地盤の軟弱な部分が地表から2mまでの浅い場合に用いられます。
表層部の軟弱地盤部分を掘削し、セメント系固化材を土に混ぜて十分に締固めて強度を高めます。
費用と工期
一戸建てレベルの規模で採用されることが多く、1~2日の工期で済むのが一般的です。
費用の目安は、一般的な戸建住宅・一棟あたり、30~50万円程度だと言われています。
メリット
表層改良工法のメリットは、比較的リーズナブルで、小型の重機で施工ができるところです。
地中にコンクリートや石などが混入していても問題無く施工できるところも利点の一つです。
デメリット
表層改良工法のメリットは、勾配の急な土地では施工ができないケースもあるところです。
また、支持層よりも地下水位が高い場合は対応できません。

柱状改良工法
柱状改良工法
柱状改良工法は、専用の機械・重機で、現地の土とセメント材を撹拌しながら埋め込んでいき、地中に柱状のセメント杭をつくることで、地盤を補強する地盤改良工事の工法です。
柱状のセメント杭は、直径50~60cmほどで、表層部から支持層まで到達するように施工します。
柱状改良工法は、支持層(硬い地盤)までの深さが地中2~8mの場合に採用される工法です。
軟弱地盤であったり、不等沈下の可能性がある場合に用いられます。
費用と工期
一戸建てレベルの規模で採用されることが多く、2~3日の工期で済むのが一般的です。
費用の目安は、一般的な戸建住宅・一棟あたり、数十万円~100万円程度だと言われています。
メリット
柱状改良工法のメリットは、表層改良工法ではカバーできない範囲以上を補強できますが、比較的リーズナブルなところです。
住宅の地盤改良工法として多く採用されています。
また、支持層がなくても、柱状体の摩擦によって、建築を支えることも可能です。
デメリット
柱状改良工法のデメリットは、狭小地や高低差のある土地では、施工するための重機が搬入出来ないところです。
また、有機質土など、特定の土質では、セメントの固化不良といったトラブルが発生することがあります。
さらに、柱状体の撤去には大きな費用がかかるため、原状復帰が難しいと言えます。
柱状体の撤去せず残ったままでは、土地の売却時には土地価格は低下しますし、新たに建築を建て直す際に問題になります。

小口径鋼管杭工法
小口径鋼管杭工法
小口径鋼管杭工法は、鋼管で地中から建物を支える地盤改良工事のことです。
地中深くにある固い地盤に鋼管の杭を打って、建物を安定させます。
地中30mまでの地盤補強が可能です。
費用と工期
一戸建てレベルの規模で採用されることが多く、1~2日の工期で済むのが一般的です。
費用の目安は、一般的な戸建住宅・一棟あたり、100万円程度~200万円程度だと言われています。
メリット
小口径鋼管杭工法のメリットは、工事に掛かる日数が1~2日程度のため、短い期間で工事を終わらせることができるところです。
また、狭小地など、重機を搬入しにくい場所での工事にも適しています。
施工後の地盤強度は、他に比べて高く、3階建てなどの重量のある建物にも対応できます。
デメリット
小口径鋼管杭工法のデメリットは、支持層がなかったり、新しい盛土などの造成地など、地盤の状況次第では施工できないところです。
また、場合によっては工事中の騒音や振動が大きく、工事前の近隣への配慮が必要です。
比較的、高額になりやすい点も欠点の一つでしょう。

地盤改良工事を依頼する際の注意点
地盤改良工事を施工会社に依頼する際の注意点を解説します。
注意点は、次の4点です。
1.工事内容の確認
2.報告書の保管と内容のチェック
3.保証
4.残土処分
それぞれ詳しく解説します。

1.工事内容の確認
工事内容を詳しく確認しましょう。
2.報告書の保管と内容のチェック
工事完了後は、地盤改良業者から地盤改良工事報告書を発行してもらい、大切に保管しましょう。
地盤改良工事業者に決して任せきりにせず、地盤改良工事報告書の内容をチェックすることも大切です。
けれども、専門的な知識がなければ難解な内容です。
建築家の設計事務所との家づくりであれば、建築家が厳密にチェックしますので安心です。
3.保証
地盤改良工事には、地盤の地盤沈下・不等沈下などに対する保険会社による保証を付けることができます。
保証についても事前に確認しておきましょう。
4.残土処分
また、地盤改良工事では、残土も大量に出ます。
残土処理に大きな費用がかかることにも注意が必要です。

まとめ
今回は、「地盤改良工事」について、表層改良・柱状改良・鋼管杭など、代表的な工法の種類を紹介。
それぞれの特徴、メリット・デメリット、費用などについても、詳しく解説しました。
地盤改良工事の内容は専門知識になりますので、難解なところや、気になるところがあるかもしれません。気になった建築会社があれば、ぜひ気軽に聞いてみましょう。

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
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