建築には、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などいろいろな構造があります。
さらに、木造の「木造軸組構造」「ツーバイフォー工法」、鉄筋コンクリート造の「ラーメン構造」「壁式構造」など、工法も様々です。
それぞれの特徴・違い、メリット・デメリットが分からない方は多いのではないでしょうか?

そこで今回は、数ある中でも日本で最も代表的な「木造軸組工法」を紹介。
そのメリット・デメリットの他、棟木・梁・筋交など各部の名称など、家の構造・木造軸組工法の基本・基礎知識を詳しく解説します。
ぜひ、最後まで読んで参考にして下さい。

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木造軸組工法とは?
木造軸組工法は、主に「柱」垂直に立つ構造材と「梁」水平にはしる構造材を組み合わせた「軸組」によって構成される工法です。
在来工法・伝統工法とも呼ばれることもあります。
古くからお寺、神社、民家などでも採用されてきた歴史ある工法、日本の風土に合った工法で、現在、日本で最も多く採用されてきました。

木造軸組工法の他に、木造には「2×4(ツーバイフォー)工法」と呼ばれる工法もあります。
2×4工法は、北米から伝わった木造枠組壁工法とも呼ばれる工法で、2×4インチの木材の「枠」と合板の「壁」によって構成される工法です。
部材・施工方法がシステム化できるので、コストや工期が抑えやすいという特徴があります。

木造軸組工法のメリット
木造軸組工法のメリットは次の3点です。
木造軸組工法のメリット1.建築計画の自由度が高い
木造軸組工法は、木材の長さ・組み合わせ方を柔軟に設計することができ、間取り・平面の自由度が高いです。
収納を増やしたり、少しだけ部屋を大きくするなど、細かな要望に応じることが出来るのが特徴です。
また、間取りを直角にこだわる必要もなく、狭小地や変形地などの敷地に適応した間取りとし、土地を有効活用することも可能です。
平面だけでなく空間としても、計画の自由度は高く、吹抜をつくるなど開放的な大空間や、大きな窓をつくることもできます。
一方、部材が規格化されている2×4工法では、このようなことは難しいでしょう。

木造軸組工法のメリット2.建築費用がお値打ち
木材の方がコンクリートや鉄よりも一般的には安価なため、その他の構造・工法に比べれば、「木造軸組工法」は建築費用がお値打ちになることが多いです。
トータルでかかるコストは、一般的には、「鉄骨の住宅であれば、木造軸組工法の1.5倍」「鉄筋コンクリート造であれば、木造軸組工法の2倍」といったところでしょう。

木造軸組工法のメリット3.リノベーションが容易
リノベーションする際にも、2×4工法と比べると、間取りの自由度が高いです。
そのため、、部屋数を増やす、二世帯住宅にするなど、間取りの変更や増築にも柔軟に対応することができます。

木造軸組工法のデメリット
実は、木造軸組工法のデメリットは特にありません。
耐震性については、適切な構造設計であれば、木造軸組工法でも十分に耐震性に優れた建築となります。
耐久性やシロアリ被害について、不安に思っている方もいらっしゃいますが、こちらも特にデメリットではないです。

理由は、以前は、床下の木材に湿気が伝わりやすい「布基礎」が主流でしたが、現在では、地面一面が厚いコンクリートで覆う「ベタ基礎」が主流となったからです。
シロアリは湿気があるところに集まりますので、「ベタ基礎」が主流となったことで、シロアリ被害は減少しました。
日本にある数多くの歴史的な建造物が証明しているように、適切なメンテナンスをすれば、耐久性にも問題はありません。
吹付断熱を採用すれば、外部の騒音などの対策にもなります。

デメリットは無いけれど、RC造・鉄骨造の方が有利な点があるのも事実です。
ただし、特殊な条件や要望でない限り、2階建の住宅程度では、オーバースペックとも言えるかもしれません。
「限られた予算で、どこまで求めるか」が重要です。予算が青天井の方は別として、構造だけに特化するのではなく、全ての面でバランスのよい良質な住まいの方が満足度は高いのではないでしょうか?
RC造・鉄骨造と比較した際の木構造のメリット・デメリットについては、こちら↓の記事でも解説しています。
【RC造・鉄骨造と比較した際の木構造のメリット・デメリット】

各部の名称
「梁」や「棟木」といった単語が専門用語で分からない、という方もいらっしゃると思います。
ここからは、木造軸組工法における各部の名称と機能を解説します。

柱(はしら)
垂直方向に支える木材。一般的には、105mm角・120㎜角の木材が採用されます。
柱に似た材として「間柱」というものがあります。こちらは、一般的には、45mm×105mmの材です。よく勘違いされますが「間柱」は建物を支える構造とは関係なく、仕上げのための下地材です。
「柱」は構造材、「間柱」は下地材と覚えておきましょう。
梁(はり)
水平方向にはしる木材。柱が垂直方向の力に負担するのに対して、梁は垂直方向の力の他、水平方向の力を負担・伝達します。
一般的には、幅105mm・120㎜×高さ105~450mm程度の木材までが採用されます。
筋交(すじかい)
柱・梁の間に、斜めに交差させて取り付けられる木材のこと。
構造用の合板が使われることもあります。
水平の力に対して、面・壁で負担・対抗します。耐震性を高めるのには、必要不可欠な構造材です。
垂木(たるき)
屋根勾配にしたがって、棟木から母屋・軒桁に向けて架け渡し、野地板を受ける角材。通常、450mm間隔で設置します。
火打ち(ひうち)
土台や梁の変形を防ぐ為に、直角に交わる角の部分(隅角部)、T字に接合する部分に斜めに取付ける補強材。通常は角材を用いますが、板類を用いることもあります。
大引(おおびき)
床下で水平方向にはしる木材。床の土台となります。
棟木(むなぎ)
屋根の一番高い位置で、母屋や軒桁と平行方向に取り付けられる部材で、棟木が取り付けられる瞬間を「上棟(じょうとう)」あるいは「棟上げ(むねあげ)」と呼びます。
母屋(もや)
屋根の最も高い部材である棟木(むなぎ)と屋根の一番下に位置する軒桁(のきげた)の間に平行に配置された水平部材のことを指します。
束(つか)
2階の梁の上や、1階の床下などに立てる短い柱のこと。2階の梁の上に設ける束を「小屋束(こやつか)」といい、1階床下に設ける束を「床束(ゆかつか)」といいます。

まとめ
今回は、そこで今回は、数ある中でも日本で最も代表的な「木造軸組工法」を紹介。
そのメリット・デメリットの他、棟木・梁・筋交など各部の名称など、家の構造・木造軸組工法の基本・基礎知識を詳しく解説しました。

こちら↓に構造に関する記事をまとめましたので、ぜひ、参考にして下さい。
その他に、構造について分からないことがあれば、お気軽に建築会社に相談してみましょう。

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
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