家づくりの間取りで最も大切にするべきことの一つが「家事動線」です。
家事動線の設計によって、料理、洗濯、掃除といった家事の効率は大きく変わります。
良い家事動線は暮らしにゆとりを生み出し、逆に、悪い家事動線はストレスや不満がたまってしまうことでしょう。

そこで今回は、家事動線について詳しく解説。
「家事動線のいい間取り」・「家事が楽な間取り」の条件や事例、メリットや設計のポイントなどを紹介します。
ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。

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家事動線とは?家事動線のよい間取りのメリットとは?
まずは、家事動線の定義について解説します。
「動線」とは、空間や建物などの中で、自然に人がどのような経路を通るのかを表したものです。
それに対して、「家事動線」とは料理、洗濯、掃除などの家事のために通る経路を指します。

例えば、洗濯の場合であれば、服を脱ぐ場所、洗濯機の場所、洗濯物を干す場所、乾いた服を片付けるための移動が必要で、その経路が「洗濯のための家事動線」です。
料理の場合であれば、食材の保管場所、キッチン、冷蔵庫、食器棚、食卓までの移動が必要で、その経路が「料理のための家事動線」となります。

家事動線のよい住まいでの暮らしは、家事の際、無駄な動きが少なく、ストレスが大きく軽減されます。
家事動線次第で、料理、洗濯、掃除といった必要不可欠な家事の効率が大きく変わるのです。
余暇の時間の量に差が生まれるため、時間面・精神面、どちらの面でも余裕が変わってきます。
暮らしは豊かなものになるか否かの命運が分かれてくるところ・分岐点だと言ってもいいかもしれません。

家事動線・設計のポイント。
続いて、家事動線・設計のポイントをご紹介します。
家事動線・設計のポイントは次の5つです。
1.家事を総合的に考える。
2.誰が家事をするのかを考える。
3.水回りを集約する。
4.パントリーを設置する。
5.+αの部屋を検討する。
それぞれ、詳しく解説します。

1.家事を総合的に考える。
一つ目のポイントは、「それぞれの家事を分離して考えるのではなく、総合的に考える」です。
家事動線を設計する際は、暮らしの中での一連の家事の動きを考え、同時に考える必要があります。
「洗濯のための家事動線」「料理のための家事動線」をそれぞれ単独で考えるだけでは配慮不足です。

家事動線を総合的に考える際には、下記の点、全てに配慮が必要です。
・近いだけでなく、無理のない移動距離であるか?
・それぞれの家事を同時に行うことが出来るか?
・住まい手の生活スタイルに合っているか?音の問題など。
・扉の位置などで蛇行した動線になっていないか?
・動線上の適材適所に十分な収納があるか?

2.誰が家事をするのかを考える。
二つ目のポイントは、「誰が家事をするのかを考える」です。
家族の内、どなたか一人が全面的に家事をするのであれば、その人がいかに家事がしやすいかを考えれば良いですよね。けれども、現代では、共働きの方も多いでしょう。少なからず、家族みんなが協力しあって家事をされる家庭が多いのが実際のところです。
家族みんなが協力し合うスタイルならば、それに合わせた家事動線の設計が適しています。

家族全員・協力型なのであれば、例えば、
・家族の誰でも家事を行いやすい動線計画。
・複数人が同時に家事を行っても、スムーズに出来る寸法や経路などの動線計画。
といった計画の方が家事の効率がよくなることは間違いありません。

さらに、最近は、ホームヘルパー・家事代行スタッフなど、家族以外の人に家事を頼む方も多くなりました。
明快な家事動線の上に、適材適所、分かりやすく配置された収納などが設けてあると、外部サービス利用の際も、ストレスが大きく軽減されることでしょう。
外部サービス利用前提であれば、それに応じて、セキュリティ面も強化した間取りも可能です。
収納計画については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【注文住宅の収納計画。失敗・後悔しない7つのポイント。適切な収納量・割合とは?】

3.水回りを集約する。
三つ目のポイントは、「水回りを集約する」です。
キッチン、洗面所、洗濯器、お風呂、トイレなどを水回りのゾーンとして一つにまとめると、必然的に動線が短くなり、機能面が向上します。
ウォークインクローゼット・ファミリークローゼットなどの収納するスペースを近くに設けるのもいいでしょう。

ただし、水回りを集約すると、朝の時間帯などに洗面所などが身支度などで複数人がバッティング・混雑する、といったトラブルの原因にもなりやすいことに注意しましょう。
家族全員が気持ちよく暮らすためには、皆のライフスタイルに想いを巡らせて配慮し、
・十分な寸法、たとえば二人が横に並べる幅の洗面所にする。
・混雑しても、通路を塞がないような通路幅を確保する。
・水回りを回遊できる動線、回遊動線とする。
といった工夫が必要です。

4.パントリーを設置する。
四つ目のポイントは、「パントリーを設置する」です。
パントリーとは、キッチンの隣に設置する収納スペースで、食品や食器などを保管する場所のことです。
パントリーには、下記のようなメリットがあります。
・キッチン関連のものを一か所に集めることで、必要なものを取り出しやすくなる。
・まとめ買いした食品をストックしておけるため、家計の節約につながる。
・在庫の把握、在庫管理が容易で、無駄なものを買わなくなる。
・災害時などのための備蓄品として活用できる。

料理の際の無駄な動きを大幅に減らすことが出来るとともに、キッチンをメインにした機能的な回遊動線をつくりやすくなるため、パントリーは設置することをオススメします。
さらに、冷蔵庫もパントリー内に収納すれば、生活感のないスッキリとしたLDKを演出することにも貢献することでしょう。

5.+αの部屋を検討する。
五つ目のポイントとして、さらに家事をスムーズにするための+αの部屋を検討しましょう。
+αの部屋として、おすすめしたいのは、2つです。
・ランドリールーム
・家事室
それぞれ詳しく解説します。

ランドリールーム
ランドリールームとは、洗濯機、乾燥機、物干し竿などを設置する部屋のことです。洗濯に関する家事をまとめて行うことができ、洗濯の家事動線は集約され、大幅な効率化を図ることができます。
その他にも、忙しい家庭でも天気や時間などを気にせず、好きな時に洗濯や室内干しが出来るというメリットもあります。
設置場所は、ウォークインクローゼット・ファミリークローゼットや、お風呂のそばがおすすめです。

家事室
家事室は洗濯物を畳む、アイロンがけ、家計簿をつけるなどの様々な家事ができるスペースのことです。「ユーティリティルーム」と呼ばれることもあります。
家事室の形態には、次のようなものがあります。
・キッチンに併設するワークスペース。
・洗濯機からの動線に配慮したランドリースペース。
・ミシンや裁縫道具などを設置した趣味のアトリエ。

家事室があれば、家事にまつわる作業をする場所が集約され、大幅な効率化が図れます。
生活機器やストックを集めれば、LDKなどのくつろぐためのスペースはすっきりとした状態で整えたままキープしておくことも可能です。そのためにも、家事室には、十分な量の収納スペースを見込んでおきましょう。

まとめ
今回は、家事動線について詳しく解説し、「家事動線のいい間取り」・「家事が楽な間取り」の条件や事例、メリットや設計のポイントなどを紹介しました。
家事動線が十分に配慮された間取りは、ただ部屋が並べられただけの間取りとは全く違います。無駄がないのに、ゆとりは十分にあり、適切な量の収納が適材適所にある、つまり、間取りの密度が非常に濃いのです。
だからこそ、家事が効率化され、ストレスが大きく軽減されます。そして、時間的にも精神的にも余裕が生まれ、それが生活全体へ影響し、暮らしを豊かなものにすることにつながるのです。

家事動線のいい家をつくるために大切なのは、設計力・アイデア・提案力です。
しかしながら、「設計力」が高くなれば「費用」も高くなると考える方も多いと思います。けれども、そのようなことはありません。
「設計力」も「コストパフォーマンス」もどちらも優先し、高いクオリティを実現出来るのが「建築家のいる設計事務所」との家づくりです。ぜひ、一度は相談に行ってみましょう。
こちら↓の記事で詳しく解説していますので、ぜひ、参考にしてみて下さい。
【建築家・設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れる!?設計料など費用面を徹底解説!】

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
ぜひ、参考にしてみて下さい!
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