土地探しをしていると、「定期借地権」というワードを目にすることがあるかもしれません。
初めて土地を探す方であれば、「定期借地権」がどういうものか分からない、という方も多いことでしょう。
定期借地権付きの土地はやめたほうがいいのでしょうか?
よく分からず、不安な方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、「定期借地権」について、詳しく解説!
いくつかある借地権の種類を紹介し、それぞれのメリット・デメリットをご説明します。
さらには、どのような人におすすめか?やめておいた方が良い人は、どのような人か?
そのようなことも解説しますので、ぜひ、この記事を読んで、土地の借地権に関する基礎知識を身に付けましょう。

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定期借地権とは?特徴は?
「定期借地権」とは、期間限定の借地権のこと。期限付きで土地を借りることが出来る権利です。
借り物の土地にはなるもの、「定期借地権」付きの土地の上には、借主が所有権を持つ建物を建築することもできます。

定期借地権の種類
定期借地権には3種類があります。
・一般定期借地権
・事業用借地権
・建物譲渡特約付借地権
ここからは、それぞれの特徴を説明していきます。

一般定期借地権とは?
定期借地権の一つ、「一般定期借地権」について解説します。
「一般定期借地権」とは、長期間、土地を利用できる借地権です。
「一般定期借地権」の契約は書面によって行わなれます。存続期間は50年以上とし、期限の上限は定められていません。
また、契約期間の延長・更新はありませんが、期間満了の際には、改めて一般定期借地権を契約しなおすことはできます。
契約期間終了後には、地主へ土地を返還する際は、更地に戻さなければなりません。

このように「一般定期借地権」では、契約期間が50年以上と長いため、一般的な居住地利用として借りることが出来る他、利用目的の制限がないため、事業用などにも利用することができます。

建物譲渡特約付借地権とは?
続いて、「建物譲渡特約付借地権」について解説します。
建物譲渡特約付借地権とは、契約終了時にその土地に建築した建物を貸主に売却できる特約を付けた借地権です。
存続期間は30年以上とし、期限の上限は定められていません。
契約の満了時、建物を売却することで、土地の借主の借地権はなくなり、建物の所有権は地主となります。
ただし、土地の借主が契約の終了後も建物の使用を請求した場合には、地主と定期借家契約を締結するなどして、建物の賃借人として使用権は保護され、引き続き、その建物を利用できます。
「建物の状態が悪い」など、地主が買取を拒否する場合もありますが、それでも、存続期間満了時には借地権が消滅します。その場合には、更地にして返還しなければなりません。

建物譲渡特約付借地権の土地は、一般的な居住地利用として借りることが出来る他、利用目的の制限がないため、事業用などにも利用することができます。
建物譲渡特約付借地権の契約は、口頭のみでも可能です。
ただし、建物の譲渡が行われるのは30年以上後ですので、トラブルの火種になりやすいといえるでしょう。
後々のリスクを考慮すると、建物譲渡特約にもとづく所有者移転を仮登記しておくなど、書面を作成しておいたほうが無難です。

事業用定期借地権
事業用定期借地権とは、事業のために土地を利用し、建物を所有するための借地権です。
一通りの事業目的での土地利用は認められていますが、居住は認められていません。
存続期間は10年以上50年未満ですが、存続期間の長さによって契約内容が変わります。

10年以上30年未満の場合
契約の更新、存続期間の延長、建物買取請求権の行使ができないこと、などを特約で定めること。
30年以上50年未満の場合
契約の更新、存続期間の延長、建物買取請求権の行使ができないこと、などの特約を定めるか否かは任意。
借主・売主の間で交渉するなどして、契約の延長や、建物買取を請求することが可能。
契約の終了時には、原則として、更地にして、貸主へ返還することになります。
契約には、公正証書が必要です。

その他の借地権。定期借地権以外の各借地権の概要。
旧借地権
「旧借地権」は、「借地借家法」が施行された平成4年8月より前の借地権です。
期間満了後も借地権が更新され、半永久的に借りることが出来るケースもあります。
普通借地権
「普通借地権」は、平成4年8月に施行された「借地借家法」が定める借地権です。
旧借地権では、どちらかというと、借主側が有利でしたが、新法による「普通借地権」では、貸す側の都合で解約できる規定が設けられました。

定期借地権のメリット・デメリット
ここからは、「定期借地権」が付いたメリット・デメリットを解説します。
期限の決められている借地だからこその大きなメリットがあり、それとともに、大きなデメリットがあります。しっかりと整理していきましょう。

定期借地権のメリット
土地代をお値打ちに済ますことができる。
最も大きなメリットは、所有権付きの土地よりも、土地にかかる費用を抑えられることです。
保証金・権利金などの一時金がかかりますが、それでも、土地と建物をセットで計画する際には、イニシャルコストを大幅に削減することが出来ます。
特に、都市部・駅の近くなどの利便性の高い土地は、坪単価が高く、土地の取得にかかる費用は非常に大きなものです。
借地権付き土地であれば、所有権付きの土地と比べ、土地にかかる費用を6~8割程度に抑えられます。

土地の税金を負担しなくて良い。
定期借地権付きの土地の場合、不動産を購入する際にかかる不動産取得税がかかりません。
また、固定資産税・都市計画税もかかりません。
ただし、毎月、地主へ地代の支払いが必要です。
利用目的の制限がない
一般定期借地権・建物譲渡特約付借地権の場合、利用目的の制限がありません。
居住目的、事業目的、関係なく、土地を自由に利用することができます。

定期借地権のデメリット
毎月、地代を支払う必要がある。
前述したように、毎月、地主へ地代の支払いが必要です。
増改築の際は地主の許可が必要。
大きな増築や改築の際には、地主の許可が必要です。
借地条件次第に反するような増改築はできず、工事内容次第では地主から別途請求される可能性があります。

更地にして地主に返さなければならない。
契約期間終了後は、基本的には、建物を解体して、更地にして、地主に返さなくてはなりません。
土地の返却時には、建物の解体工事費用が発生することを忘れてはいけません。
銀行の融資を受けにくいケースがある。
定期借地権のついた土地の場合、地主が所有する土地の上に、買主が所有する建物を建てます。
そのため、建物の融資を受ける際に、担保評価が低くなることが多く、融資自体を受けにくい傾向もあります。
ただし、近年では、定期借地権付き住宅ローンも増えています。

「定期借地権付きの土地」は、どのような人にオススメか?やめておいた方が良い人は?
定期借地権付きの土地は、土地を資産として所有することを重視する方には向きません。
割り切って、ただ利用することだけを重視する人には、コストパフォーマンスが高く、おすすめです。
例えば、
・どなたかへの相続は考えていない。
・いずれは親からの相続を得られるなど将来的には十分な資金力があるが、今は家を建てる費用を抑えたい。
・単純に30~50年間、土地を利用できれば十分。
といった方には、おすすめです。

まとめ
今回は「定期借地権」について、詳しく解説しました。
いくつかある借地権、それぞれの特徴を知ることができたかと思います。
「定期借地権」には、大きなメリットもありますが、大きなデメリットもありますよね。
本記事で整理することで、両面を踏まえ、十分に検討し、理想の家づくりにお役立て下さい。

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
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一般定期借地権