はじめに|モデルハウスのような空間に共通する「あるルール」
注文住宅では、自分たちの理想を叶える自由設計に憧れる方も多いのではないでしょうか?しかし、“自由”が思わぬ落とし穴となり、完成後に「なんかバラバラに見える…」「SNSの家みたいに洗練されない」と後悔する方も少なくありません。
実際にSNSで人気の家やモデルハウスを見てみると、“ある共通点”が存在します。それが「統一感」です。色も素材も配置も、しっかりと揃えられているからこそ、空間に落ち着きと高級感が漂います。

本記事では、注文住宅のインテリアで統一感を出すための「5つのルール」を、一級建築士の視点から具体的に解説。これを知っているかどうかで、家づくりの完成度は大きく変わりますので、ぜひ最後まで読み参考にしてみてください。
こちらの記事↓もおすすめです。
【最高のインテリアとは?より上質な内装をデザインする7つのポイント。施工事例】

なぜ注文住宅で「統一感」が重要なのか?
まずは、注文住宅において「統一感」が重要である理由を解説します。
主な理由は、次の2つです。
・統一感がないと「雑然」と感じる。
・高級感・心地よさ・暮らしやすさを支える。
それぞれ、詳しく解説します。

統一感がないと「雑然」と感じる
統一感のない家は、例えるなら“寄せ集めの服を着たファッション”のようなものです。たとえ一つひとつはおしゃれでも、全体としてまとまりがないと「なんとなく落ち着かない」空間になってしまいます。
注文住宅は自由度が高い分、「好きなものを詰め込むだけ」では必ず破綻します。色や素材、設備の配置などに「軸」がなければ、“豪華なのに落ち着かない”“整っているのに安っぽく見える”といった矛盾が生じてしまうのです。

高級感・心地よさ・暮らしやすさを支えるのは「統一感」
高級ホテルやデザイン住宅に共通するのは、全体を貫く“統一された世界観”です。床材・建具・家具・照明・配線に至るまで、すべてが一本のコンセプトに沿って設計されています。
つまり、「統一感」とは、偶然の産物ではなく“設計の方向性”によって生まれるもの。さらにその方向性が的確であれば、“センスのある空間”として自然に伝わるのです。

インテリアで統一感を出すための「5つのルール」とは?
統一感のある空間は、偶然では生まれません。
色・素材・配置に共通のルールが通っているからこそ、美しく、心地よく、住まいとしての完成度が高まるのです。
ここからは、「インテリアで統一感を生むための5つの基本ルール」を紹介します。

【統一感を生む5つのルール】
1.ベースカラーを決める
床・壁・天井の配色は3色以内に。空間に落ち着きと広がりを与える基本設計。
2.素材の質感を揃える
“マット×自然素材”で整えると、光の反射が抑えられ、空間に静けさが生まれる。
3.建具・家具・収納も統一する
本物の素材と設計思想で空間に「線」と「面」の一体感を持たせる。
4.照明・スイッチ・配線まで意識する
細部に宿る設計の意図が、空間全体の質を決定づける。
5.空間ごとのテーマを統一する
“住まい全体で一つの物語をつくる”ことが、調和と高級感を生む鍵。
それぞれのルールについて、実例と具体的な設計ノウハウを交えながら詳しく解説していきます。

ルール①|ベースカラーを決める:床・壁・天井は3色以内に
空間デザインの出発点は「床・壁・天井」の配色設計から
インテリアに統一感を持たせる第一歩として、床・壁・天井の「ベースカラー」を3色以内に抑えることからはじめましょう。この3面は空間を支える「背景」であり、その印象が家全体の雰囲気を左右します。

設計の基本構成は以下の通りにまとめると失敗することはありません。
・床(主役):空間の基礎となる色。ナラやオークなど、明るめの木目が自然で落ち着いた印象をつくります。
・壁(調整):光を受けて空間の明るさを決定づけるエレメント。白など明るめの無彩色がおすすめです。
・天井(軽さ・広がり):視線が抜ける上部にくる要素。白〜淡いグレーを選ぶと空間が広く、軽やかに見えます。
「床 → 壁 → 天井」へ向かって、徐々に明るく・軽くする“色のグラデーション”を意識すると、自然な調和が生まれます。

天井を木にすると失敗する?
注文住宅でよくあるのが、「天井も木にしたい」というご要望。しかし、実際に採用する際には注意が必要です。木目天井は空間に温かみを与える反面、圧迫感を生みやすく、空間を重たく感じさせることがあります。特に天井高が標準的な住宅では、この効果が顕著に出てしまうのです。

木の天井|美しく見せるための3つの工夫
- 一部だけに木目を使う(勾配天井・梁見せなど)
→ 天井全面ではなく、アクセントとして取り入れると、空間の印象を和らげ、重たくならないように演出できます。 - 天井高を確保する設計にする
→広範囲で 天井に木を使う場合は、通常より高めの天井設定にしましょう。2,500mm以上を目安として下さい。 - 照明で“抜け”をつくる
→ 間接照明やダウンライトを適切に配置することで、天井面に視覚的な広がりを持たせる方法も有効です。

まとめ:ベースカラーを決める=「空間の骨格を整える」こと
床・壁・天井の色は、空間デザインにおける“骨格”です。
この骨格が揃っていなければ、どれだけ高級な家具や照明を入れても空間にまとまりは生まれません。
まずはベースを整える。それが統一感あるインテリアの出発点です。
内装の色の組み合わせ方については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【内装で失敗しない!床・壁・天井の色の組み合わせ方|注文住宅で後悔しないための基本ルール】

ルール②|素材の質感は“マット×自然素材”で揃える
空間の印象を決めるのは、色だけではありません。
「どんな素材を、どんな質感で使うか」が、住まいの“空気感”をつくります。
特に、注文住宅の床・壁・天井・建具などの面積が大きい部分の「素材感・質感」は空間全体の完成度を左右します。
ここでは、統一感を壊す質感の落とし穴と、空間を整えるために選ぶべき素材の方向性について、具体的に見ていきましょう。

統一感を壊す“ツヤ”と“人工感”
ツヤのあるフローリングや光沢のある壁紙は、一見高級に見えますが、実は生活感が出やすく、統一感を壊す要因になってしまう傾向があります。空間に落ち着きと深みを出すには、「マットな自然素材」を選ぶことが鉄則です。
その中でも、おすすめの自然素材はこちら↓です。
・無垢材・挽板フローリング(ナラ・オークなど)
・漆喰・塗り壁・珪藻土
・天井材にシナ・ラワン合板(自然塗装)
・布クロスやリネンカーテン

子育て世代にも「本物素材」が合う理由
「本物の天然素材」は子育て世代にも人気。「傷がついても味になる」「経年変化を楽しめる」「有害物質を含まない」など、幼いお子様がいる家庭でも安心して採用できるからです。挽板フローリングであれば、無垢の風合いを保ちながら、合板のような反り・傷の心配も抑えられます。
こちら↓の記事も合わせて参考にしてください。
【子育て世代に選ばれる注文住宅の間取りとは?|後悔しない5つのポイント】

ルール③|建具・家具・造作収納も“本物の素材×設計コンセプト”で統一する
床・壁・天井、そして素材の質感。
こうした空間の「土台」が整ったら、次に意識すべきは、建具や家具、収納といった“視線に触れる要素”です。
これらは単なる機能部品ではありません。
空間に“静かなアクセント”を加え、全体を整えるエレメントです。
だからこそ、色や素材、納まりまでを丁寧に設計し、空間全体に一貫性と奥行きを与えていきましょう。

建具は「動く壁」。だからこそ素材と納まりにこだわる
ドアや引き戸などの建具は、開閉する“パーツ”であると同時に、空間を構成する“壁”でもあります。
つまり、床や壁と同じように空間のトーンや質感を決定づける重要な要素です。
にもかかわらず、無垢フローリングを採用しているのに、市販の建具にありがちなツヤのあるプリント材や浮いた色味のドアを採用していては、それだけで空間全体の世界観を壊してしまいます。
統一感ある住まいを目指すなら、建具こそ空間と連動させて設計する必要があるのです。

▼おすすめの設計例
・ナラやオークの突板仕上げ建具(自然塗装)
→ 床材と統一感が生まれ、空間になじみます。
・枠を見せない“隠し框”納まり
→ 壁と一体化することで、建具が目立たず、空間になじみます。
建具は目立たせるものではなく、静かに空間の質を引き上げる背景装置。丁寧にデザインし、空間の質を高めるためにも、ぜひ、造作建具・オーダー建具を採用しましょう。

本物素材がつくる“空気の質”
ナラやタモの無垢材、真鍮、黒皮鉄、左官壁などの自然素材には、視覚・触覚だけでなく空間の空気そのものを変える力があります。
人工素材や印刷面ではどうしても「嘘っぽさ」「軽さ」が残りますが、
本物素材には、置かれているだけで“違和感がない”という安心感と重みがあるのです。
天然の本物素材で丁寧に設計されたエレメントは、視線を奪うような強い主張をするのではなく、空間に「ちゃんと設計されている」という説得力を与えてくれます。

まとめ|建具・家具・収納までが“空間の一部”になるとき、住まいは完成する
統一感とは、色を揃えることでも、素材をそろえることでもありません。
設計の意図が、すべての要素に行き渡っていること。
建具・家具・収納は、空間に“静かなアクセント”を加えると同時に、住まい全体の完成度を決定づける最後の仕上げです。

素材を選び、色を整え、収まりを考える。
それらすべてが設計のうち。
そう考えれば、あなたの住まいは、ただの箱ではなく“空間”として美しく仕上がります。
オーダー建具・家具については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【オーダー建具・造作建具とは?既製品との違い、メリット・デメリット、施工事例。】
【造作家具・オーダー家具とは?特注の費用は?メリット・デメリット、施工事例。】

ルール④|照明・スイッチ・配線まで含めて「統一感」を設計する
建具や家具、収納まで整えても、最後に“違和感”として残るのが、照明・スイッチ・配線といった細部の設計です。
多くの人がこれらを「最後に決めればいい」と考えますが、この考え方も、空間の統一感を壊す落とし穴になってしまいます。
空間の完成度は、“見せたいもの”ではなく“見せたくないもの”をどこまで設計に含めたかで決まる。
照明器具の形状・光の色味・スイッチの位置・配線の存在感──
そのすべてが空間の質を決定づけます。

統一感を生む照明計画は「設計段階」で決まる
照明は“後から選ぶ”のではなく、設計と同時に決めるべき設計要素のひとつです。
例えば、ダウンライト・ペンダント・間接照明など、器具ごとに見た目も光の広がりも異なります。
これらが空間ごとにバラバラだと、室内に統一感は生まれません。

▼おすすめの照明統一の基本ルール
・全体照明は「2700K〜3000K」の色温度で統一
→ あたたかみのある光で、素材の質感をきれいに見せましょう。
・照明器具の色も揃える(白・黒・グレーの中で選定)
→ 空間に溶け込ませるなら白/締めたいなら黒/中和にはグレー
・ペンダントやブラケットは「空間の軸」に沿って配置
→ 見た目だけで吊るすと、統一感を壊す原因になります。

スイッチ・コンセント・配線は「見せない設計」が基本
空間に生活感が出てしまう原因の多くは、「意図されていない設備の露出」です。
スイッチやコンセントは、“使いやすさ”と“視界のノイズにならないこと”の両立が必要だと考えましょう。

▼よくあるNG例と改善ポイント
・白壁にアイボリーのスイッチ
→微妙な色ズレが目立ちます。シンプルでマットな質感のスイッチがおすすめです。
・目立つ場所にスイッチやコンセントがある
→間取りだけでなく、現場でも確認し、目立たなくて使いやすい位置に配置しましょう。
・キッチンやベッド脇で「必要な場所」には家具コンセントも
→どうしても目立つ場所にコンセントやスイッチが必要となる場合には、家具用のものを採用するとスッキリします。

ルール⑤|空間ごとに“テーマ”を設けて、家全体で物語をつくる
建具や収納、照明やスイッチまで統一しても、「なぜか整って見えない家」があります。
その最大の原因は、空間ごとに、別々の世界観が存在しているから。
リビングは北欧風、寝室は和モダン、子ども部屋はカラフルなポップテイスト。
どれも悪くはありません。けれども、それぞれが独立していて、家全体がひとつの“物語”としてつながっていないと、どうしてもチグハグ感は否めません。
空間の完成度をもう一段引き上げるには、全体を貫く「テーマ」を持たせることが必要です。

テーマとは、デザインの“軸”であり“フィルター”
注文住宅では、色・素材・照明・家具…あらゆるものを自由に選べます。
だからこそ、「何を選ばないか」を決める軸が必要です。
それが「テーマ」です。

▼テーマの例
・北欧×和モダン
→素材は自然/色は中間色/直線と柔らかさの共存
・ナチュラル×シンプル
→色数を絞り、凹凸をなくし、余白で魅せる
・ミニマルデザイン
→素材を抑え、線を整え、光で空間をつくる
テーマは決して派手である必要はありません。
むしろ、控えめであればあるほど、選択が研ぎ澄まされていきます。

統一感のあるインテリアを実現するための「チェックリスト」
住まいに統一感を持たせるためには、「なんとなくの感覚」ではなく、ひとつひとつ丁寧に確認していくことが大切です。小さな違和感が、空間全体の印象を左右することもあります。
だからこそ、設計前から内装を決める際、以下のチェックリストを活用してみてください。
きっと、理想の住まいづくりに役立つはずです。
▼統一感のあるインテリアを実現するための「チェックリスト」
チェック項目 | 内容のポイント |
---|---|
① 色数の制限 | 床・壁・天井のベースカラーは3色以内に絞る |
② ツヤ素材の排除 | 鏡面・プリント化粧板など光沢のある素材は混在させない |
③ 家具・建具の統一 | 素材・色味・高さ・ラインを揃えて空間と一体化させる |
④ 収納の見た目統一 | 扉・取っ手・開き方などがばらつかないように設計する |
⑤ 照明の器具色統一 | 白/黒/グレーなどで器具の色を統一し、空間になじませる |
⑥ 照明の色温度統一 | 2700〜3000Kなど、全体で色温度のブレがないように設定 |
⑦ スイッチ・コンセントの色 | 壁と色を合わせ、浮かない色(白壁×白など)を選定する |
⑧ 配線の目立たせない設計 | スイッチ・コンセント・配線を目立たない場所に設計 |
⑨ 窓まわりの整合性 | カーテン・ロールスクリーン・ブラインドの色と素材を統一 |
⑩ 空間ごとのテーマ設定 | 各部屋でなく、家全体で一貫したデザインテーマを決める |
⑪ “買い足し家具”の予測 | 購入予定の家具・家電もテイストを揃える前提で選定 |
⑫ 家具の脚デザインの通り | 高さ・脚の形状・太さを揃えて、空間にリズムをつくる |
⑬ 造作収納の一体感 | 壁・床と一体になるように設計し、“後付け感”を消す |
⑭ 家電の存在感を抑える | テレビ・エアコン・冷蔵庫を目立たせずに設置する設計 |
⑮ 空間の奥行きの演出 | 壁面・照明・視線誘導で、奥行きのある空間設計を行う |
⑯ 建具の枠と納まり | 枠の色・厚み・面材に違和感がないように揃える |
⑰ ディテールの反復 | 窓の形・照明の形・ラインなどに“反復性”をもたせる |
⑱ 家具と照明の関係性 | 照明と家具の距離感・高さ・配置バランスを意識する |
⑲ 床材と建具の相性 | 異素材の接続部分で色・質感の破綻が起きないよう設計 |
⑳ シルエットの美しさ | 横から見たとき・座ったときの“輪郭”が美しく見えるよう配慮 |
このチェックリストは、設計前・仕様決定時・インテリア選定時のすべてのフェーズで確認可能なものです。
「整った設計をする」ためのガイドとしてご活用ください。

よくある失敗例とその対策・5選|インテリアの統一感
注文住宅は、すべてを自由に選べるからこそ、ほんの小さな選択ミスが全体の印象を大きく左右します。
「なぜかチグハグに見える」「完成してから違和感に気づいた」という声も、実は“ほんの一部の要素”が原因になっていることがほとんどです。
ここでは、実際の設計現場でよくある5つの失敗パターンと、その対策をわかりやすくご紹介します。

【失敗①】天井を木目にして圧迫感が出た
▼原因
天井高とのバランスを無視して全面を木目にしてしまうと、空間に圧迫感が生まれてしまいます。
▼対策
木目天井は魅力的な素材ですが、空間を囲むように使うと“重さ”が出やすくなります。
2.4〜2.5mの天井では基本的に白系の明るい仕上げを選び、「木目は一部だけ」「折り上げ天井や勾配との組み合わせ」で取り入れるのがベスト。視線の抜けをつくることで、天井の“存在感”を調整しましょう。

【失敗②】キッチンパネルだけテカテカして浮く
▼原因
壁・天井・床はマットな仕上がりなのに、キッチンの一部だけ鏡面を採用すると、光を反射して浮いてしまいます。
▼対策
キッチンも空間の一部。視線が集まりやすい場所だからこそ、素材選びは慎重に。
マットなタイル、シンプルなパネルなどで統一感を保ちましょう。
「目立たせる」のではなく、「空間に溶け込ませる」意識が重要です。

【失敗③】建具だけ既製品で安っぽい印象に
▼原因
床や壁は自然素材で整えていても、ドアだけ既製品のプリント材で“違和感のある質感”になってしまいます。
▼対策
建具は「機能」ではなく「空間構成の一部」として考えることが大切です。
突板仕上げに自然塗装を施す、ドアの枠や取っ手の納まりにこだわる、天井までのハイドアで“壁のように見せる”など、家具のような精度で設計することで、空間全体の完成度を高めましょう。

【失敗④】スイッチやコンセントの色が浮いている
▼原因
白い壁にアイボリーのスイッチ、グレーの壁に黒など、目立つように配置されてしまい、浮いてしまった。
▼対策
スイッチやコンセントは“目立たせない”ことが基本です。
壁と同系色にする、見えにくい位置に配置する、プレートの形状にもこだわる──こうした小さな配慮が、空間全体の印象を格上げしてくれます。特にデザイン性の高い空間では、設備機器こそ“最後の詰め”が重要だと考えましょう。

【失敗⑤】空間ごとにテーマがバラバラ
▼原因
各部屋でテイストを変えてしまうと、「全体の物語」が崩れてしまい家全体の印象がチグハグになってしまいます。
▼対策
住まい全体に一本通ったテーマを設けましょう。たとえば「北欧×和モダン」「ナチュラルミニマル」「静けさと余白」など。
このような“軸”があるだけで、素材や色、家具、照明の選定がぶれなくなります。
個性は大切ですが、“統一された個性”こそ、美しい住まいの本質です。

よくある質問(FAQ)|インテリアの統一感
注文住宅では「自由に選べること」が魅力である一方で、
「何を基準に決めればいいのか分からない」という不安もつきものです。
ここでは、実際に多くの方からいただくご質問の中から、
インテリアの統一感に関するものを中心に、よくある7つの疑問とその答えをご紹介します。
どれも、設計段階で知っておくことで“後悔を未然に防げる”大切な視点です。
これから住まいづくりを進める方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q1:アクセントクロスは使ってもいいですか?
A:慎重に使えば可能ですが、基本は「控えめに」が鉄則です。
アクセントクロスは「視線を集める」素材です。そのため、空間のバランスを崩しやすい側面があります。
もし取り入れるなら「1ヶ所だけ」「色温度・質感を他と揃える」「素材感を統一する」が基本ルール。
壁紙ではなく、塗装やタイル・左官など他の仕上げと“質感の相性”を見て選ぶことが、空間に調和をもたらします。

Q2:天井を木目にしたいのですが?
A:もちろん可能ですが、“分量と構成”がとても重要です。
木目は温かみがある一方で、面積が広すぎると圧迫感が出ます。特に2.4〜2.5mの天井高では要注意です。
おすすめは「勾配天井」「折り上げ天井」など、高低差と組み合わせる方法。
照明の位置やK値(色温度)にも配慮し、“重くならない木目使い”を意識することで、空間全体に自然なグラデーションが生まれます。

Q3:空間に個性を出しながらも統一感を保つには?
A:“ベースは整え、ディテールで遊ぶ”が成功のコツです。
床・壁・天井・建具・収納など、大面積を占めるパーツは静かに揃えることが第一歩です。
その上で、アート・ファブリック・ペンダント照明・一脚だけ違うチェアなど、小さな“遊び心”を加えると、統一感の中に個性が映えます。
個性は「足し算」でなく、「引き算の中に光らせる」ことで、空間を洗練させていきましょう。

Q4:家具はすべて揃える必要がありますか?
A:メーカーを統一する必要はありません。大切なのは“設計軸”です。
異なるブランドの家具であっても、色・素材・サイズ・脚の高さや太さなどが揃っていれば、自然に統一感は生まれます。
逆に、同じシリーズの家具でも、サイズ感や色味がチグハグだと違和感が出てしまいます。
住まい全体の「空間設計」とのバランスを見ながら、“家具選びも設計の延長”として考えましょう。

Q5:照明はいつ決めるべきですか?
A:必ず“内装と同時進行”で設計しましょう。
照明計画は後回しにされがちですが、それが空間の統一感を壊す最大の原因になります。
器具の色(白・黒・グレー)・形・K値(色温度)・配置など、すべてを空間デザインと連動させましょう。
内装の素材・家具の配置・コンセント位置ともセットで考えると、自然で美しい光環境がつくれます。

Q6:カーテンやブラインドの選び方は?
A:「閉じた時」にどう見えるかがカギです。
意外と見落とされがちなのが、“閉じた状態の見た目”。
たとえば、白い壁にオフホワイトのロールスクリーンを合わせる、グレーの壁と同系色の布を選ぶなど、背景との一体感を意識しましょう。
また、建具や家具とトーンを揃えたり、窓の見せ方と連動させたりすることで、空間が静かに整います。
“目立たせる”のではなく、“溶け込ませる”のが洗練された設計のポイントです。

Q7:造作収納って本当に必要ですか?
A:統一感を求めるなら、造作収納はほぼ必須です。
既製品の家具はコスト面では魅力的ですが、素材・寸法・見せ方に限界があります。
それに対して、造作収納は「建築の一部として収納を設計できる」ため、壁や建具との一体感をつくれます。
また、素材や塗装も空間と合わせやすく、生活感を隠す収納設計も自由自在。
“家具としての収納”ではなく、“建築としての収納”を考えることで、空間全体の完成度を一段階上に洗練させることができるのです。

まとめ|統一感のあるインテリアは「設計」で決まる
注文住宅で後悔しないインテリアをつくるには、
色・素材・照明・家具・建具──あらゆる要素を“整える”ことが必要です。
それは「おしゃれにしたい」ではなく、「美しく調和した住まいをつくりたい」という本質的な願いから始まります。

今回ご紹介した以下のポイントを解説しました。
・床・壁・天井の色や質感の整え方
・建具・家具によるアクセントと統一のバランス
・照明・スイッチ・配線まで含めたトータル設計
・空間ごとにテーマを設定してつくる“物語のある住まい”
・よくある失敗とその対策、チェックリストやFAQによる実践的アドバイス

住まい全体に“統一感”をもたせるためには、
素材の選び方や照明の配置、収納や家具とのバランスまで─
すべてを一貫した設計の中で整えていくことが大切です。
この記事を通じて、暮らしの動線や光の入り方、素材の質感や空間の重なりまでを含めた、建築的な視点と経験が欠かせないと感じていただけたのではないでしょうか。

私たちは、単に見た目の美しさを整えるのではなく、暮らしそのものをかたちにする“住まい全体の設計”をご提案しています。
もし「長く愛せる家をつくりたい」とお考えでしたら、ぜひ家づくりの初期段階から、建築家とインテリアを一緒に考えてみてください。
その積み重ねが、完成後の満足度と、住み続けたときの心地よさにつながります。

住まいのインテリア、建築家と一緒に“整えて”みませんか?
床・壁・天井の色、素材の質感、照明の当たり方─
インテリアの“統一感”は、見た目だけの話ではなく、
暮らしの心地よさや居場所の質に深く関わる、建築的な設計の一部です。
私たちの設計事務所では、住まい手の感性やライフスタイルに寄り添いながら、
空間全体が美しく整う“インテリア設計”をご提案しています。

「統一感のある上質な内装にしたい」
「好みを活かしつつ、落ち着きのある空間をつくりたい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
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