注文住宅・家づくりでは、高気密・高断熱にこだわりたい方も多いのではないでしょうか?
優秀な断熱材の採用を検討したり、気密性を高めるための施策を思案されている方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかしながら、実は、高気密・高断熱で最も重要となるのは「窓」です。
どれだけその他にこだわったとしても、窓の性能が低ければ、大きく性能を低下させてしまうことも・・・

そこで今回は、「窓」と高気密・高断熱の関係について解説します。
・「窓」で断熱・気密性能は決まる!それは、なぜなのか?
・サッシの種類、メリット・デメリット
・ガラスの種類、メリット・デメリット
・まとめ・高気密高断熱を考える際の注意点
上記の内容を詳しく解説していきますので、ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。

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「窓」で断熱・気密性能は決まる!その理由。
それでは最初に「「窓」で断熱・気密性能は決まる!その理由」を解説します。
まずは、気密や断熱にこだわりたい方は、次のことを覚えておきましょう。
住まいの中で、最も外気温の影響を受けるのは「窓」。

実は、複層ガラスのアルミサッシの場合、「窓から出入りする熱」の「家全体の熱交換量」に対する割合は、冬で50%、夏で74%と極めて高い数値です。
これに対し、壁は、冬で20%、夏で12%といった数値。
この数値からも分かるように、内と外の熱の出入りは壁からではなく、圧倒的に窓からなのです。

つまり、せっかく高気密・高断熱にするため断熱材などにこだわっても、窓やアルミサッシが熱を伝えてしまえば、性能は大きく低下してしまいます。
逆に、高気密・高断熱の断熱サッシを採用すれば、室内への熱の出入りを大幅に減少することができることが分かりますよね。
それ故に、高気密・高断熱住宅では「窓」は最も重要な部位の一つなのです。
最高の窓のつくり方については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【最高の開口部・窓のつくり方。4つのポイントと手順。住宅の設計デザインが決まる。】

窓の選び方については、こちら↓の記事でも詳しく解説しています。
【失敗しない窓の選び方。開閉方法・形状・位置。窓の種類ごとの特徴・メリット・デメリット。】
断熱や壁の断熱材については、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
【住宅の断熱とは?最高の断熱材は?メリットや種類ごとの特徴、注意点や重要ポイントを解説。】
サッシの種類、メリットデメリット
「窓」を構成するパーツには「サッシ」「ガラス」と2つの部位がありますよね。
ここからは窓をよく知って頂くために「サッシ」の種類と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

1.アルミサッシ
1つ目は、アルミサッシの窓。
アルミサッシの窓は、住宅などの小規模な建物で多く採用されているサッシです。
〈メリット〉
・軽量で加工性に優れている。
・耐火性や耐久性に優れている。
〈デメリット〉
・断熱性が低い。樹脂よりも約1,000倍も熱を伝えやすい。
・結露しやすい

2.樹脂サッシ
2つ目は、樹脂サッシの窓。
樹脂サッシとは、塩化ビニル樹脂(PVC)などの合成樹脂でできたサッシです。
樹脂サッシ窓は、省エネ推進国ドイツが発祥で、北欧・北米など寒さの厳しい環境の国で採用されてきました。
日本でも、北海道では約90%が樹脂サッシ窓を採用しているそうです。
〈メリット〉
・断熱性が高い。熱伝導率がアルミの1/1000程度、熱損失率は1/3。
・結露もが発生しにくい。
・樹脂による防音効果も期待できる。
〈デメリット〉
・アルミサッシに比べて耐久性では劣る。
・価格が比較的高い。

3.木製サッシ
3つ目は、木製サッシの窓。
木製サッシに対して、古い家の窓のイメージをお持ちかもしれませんが、今でも建築家が手掛ける住宅や高級住宅で採用されています。
〈メリット〉
・窓のサイズ、塗装、形を自由自在にデザインすることが可能。
・大開口の窓、インテリアと統一感のある質感にすることもできる。
・結露が発生しにくい。
〈デメリット〉
・価格が高い。
・メンテナンスが必要。

ガラスの種類、メリット・デメリット
続いて、「ガラス」の種類と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
1.単板ガラス
1つ目は、単板ガラスの窓。
サッシの障子が単層・1枚のガラスから構成される障子である場合、単板ガラスといいます。
アルミサッシと共に、20年以上前では、多くの新築住宅の窓に使用されていました。
〈メリット〉
・加工がしやすい。
・価格も安い。
〈デメリット〉
・複層ガラスの4倍を超える熱貫流率で、断熱性が低い。
※熱貫流率とは、材料の厚みに対する熱の伝えやすさ・伝わりやすさを表した値のこと。熱貫流率の値が小さいほど断熱性能が高いことになります。

2.ペアガラス
2つ目は、ペアガラスの窓。
ペアガラスとは、2枚のガラスから構成され、ガラスとガラスの間に空間(中空層)を設け、乾燥空気を封入したガラスです。
ペアガラスは、20年ほど前から、省エネに対する世間の関心が高まるのにつれて、新築住宅に普及しました。
ペアガラスの間の空間(中空層)に空気より熱伝導率の低いアルゴンガスを封入したものや、熱の移動を防ぐため二枚のガラスの間を真空にしたものがあります。
〈メリット〉
・比較的、断熱性能が高い。
・結露を防ぐことができる。
〈デメリット〉
・単板ガラスよりも金額が高い。

3.トリプルガラス
3つ目は、トリプルガラスです。
トリプルガラスとは、3枚のガラスとその間に2つの空気層で構成された複層ガラスです。
ペアガラスにガラスを1枚追加したもので、ペアガラスの4倍の断熱効果があるといわれています。
〈メリット〉
・断熱性能に優れ、室内の温度を快適に保てる。
・結露が発生しにくい。
・ 防音遮音効果が高い。
〈デメリット〉
・重たい。
・ガラスが高価。
・対応できるサッシが少なく、そのサッシも高価。
・日射の取得率が落ちる。
・内部結露のリスクが高まる。
・寿命は10~30年。

まとめ・高気密高断熱を考える際の注意点
今回は、「窓」と高気密・高断熱の関係について解説しました。
・「窓」で断熱・気密性能は決まる!それは、なぜなのか?
・サッシの種類、メリット・デメリット
・ガラスの種類、メリット・デメリット
・まとめ・高気密高断熱を考える際の注意点

高気密・高断熱断にすることは、快適で心地よい住まいを実現するための「手段」です。注目しすぎて、断熱性能が高いことが「ゴール」になってしまわないようにしましょう。
家づくり・注文住宅では、何かに特化してこだわるのではなく、全体を俯瞰し、機能・使い勝手・性能・デザインなど全ての面をバランスよく高めることが大切です。

断熱性能が高いだけでは、住まいの魅力は多く生まれません。住まいの魅力を担保するために断熱性能を考える、このような思考の順序が大切ではないでしょうか?
一般的に言えば、非常に極端なことをしなければ、快適で心地よい住まいを実現できるだけの断熱性能は十分に出せます。あまり執着しすぎると、バランスの悪い住まいづくりになってしまいますので注意しましょう。

少なくとも、私の設計事務所で手掛けてきた住宅には、大きな窓・開口部、大きな吹抜があったり、複雑な構成の家も多いですが、住まい手の皆様は、とても快適に心地よく暮らして頂いております。
緻密な計算・設計、しっかりとした現場監理が伴えば、自由に設計しても、快適に暮らせるだけの断熱性能や気密性能は確保することが出来るのです。

本当に大切になのは、その住まい唯一無二の素晴らしい魅力があること、機能性・性能とデザイン性を両立するように丁寧に設計することです。そのためには、設計力・アイデア・提案力が必要であり、住まい手だけでは難しく、設計士・建築家ならではのものでしょう。
しかしながら、設計事務所に依頼すると、どうしても「費用」も高くなると考える方も多いと思います。けれども、建築家・設計事務所によっては、そのようなことはありません。
実は、「設計力」も「コストパフォーマンス」もどちらも優先し、高いクオリティを実現出来るのが「建築家のいる設計事務所」との家づくりです。ぜひ、一度は相談に行ってみましょう。
こちら↓の記事で詳しく解説していますので、ぜひ、参考にしてみて下さい。
【建築家・設計事務所が最もコストパフォーマンスに優れる!?設計料など費用面を徹底解説!】

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
ぜひ、参考にしてみて下さい!
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