新築のマイホーム・家づくりを計画する際、計画している土地に傾斜や高低差がある場合や、元々が田・畑などの場合には、土地を整備する工事必要になりますよね。そのような工事を「宅地造成工事」といいます。
実は、宅地造成工事はエリアや工事の内容により規制がかかり、申請や許可が必要なことがあります。

そこで今回は、宅地造成工事や規制区域内の許可・申請、注意点などを詳しく解説!
「宅地造成工事」とは、どのような工事なのか?
規制する法律である「宅地造成等規制法」とは、どのような規制なのか?
宅地造成に関係する基礎知識や費用を抑えるコツ、注意点などを紹介します。
不要なトラブルをさけるためにも、事前に本記事で整理していきましょう。

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宅地造成工事とは?
宅地造成工事とは、傾斜や高低差がある土地や、元々が田・畑であった土地に建物を建築できるように、土地を整備するための工事のことをいいます。
盛土や切土によって、単純に平坦にするなどして整えるだけでなく、地震などの災害時でも問題が起きないように、地盤を整え、強化することも造成工事に含まれます。

代表的な造成工事の内容には、次のものがあります。
整地
建物解体後の異物(がれき・木くず・石など)を取り除き、転圧(固めて)して、平坦にする工事。
盛土・切土
地面に土砂を加え地上げする工事を「盛土」といい、地面を削り低くする工事を「切土」という。
残土処理
その他の造成工事などで出た不要な土砂を処理・処分する工事。一般廃棄物としては処分できず、処分先や処分方法は規制されている。
擁壁
高低差のある土地で土砂崩れを防ぐために、土圧や水圧を受け止め、斜面の土が崩れるのを防止する壁状の構造物を設置する工事。
伐採・抜根
建築工事の妨げになる木を取り除く工事。
地盤改良
地盤沈下などの事故を防ぐため、地盤の強度を補強する工事。

宅地造成工事が必要な土地とは?
宅地とは、建物のために使われる土地のことを指します。
傾斜地や高低差のある土地、山や田・畑などの宅地以外の用途で使われていた土地を宅地に変更する場合には、基本的には、宅地造成工事が必要です。

宅地造成工事が必要となる土地は、3パターンあります。
1.特殊な形状の土地
特殊な形状の土地の場合は宅地造成工事が必要です。
土地があまりにもいびつな形をしている場合は、使いやすい形になるよう、正方形や長方形などの整形な四角形に整備する造成工事を行う方が基本的には効率がよく、有効活用できます。
2.高低差や傾斜がある土地
高低差や傾斜がある土地の場合は、土地を平坦にするなどして整備する造成工事が必要になります。
土地を平坦にするために、盛土・切土をした後、必要であれば、地盤改良をすることで、建物を建てられる地盤をつくります。
3.地盤が弱い土地
田や畑など地面がふわふわしていて、地盤が弱い土地を宅地とする場合には、地盤を補強する地盤改良が必要です。これも宅地造成工事の一種。
地盤を補強することで、地盤沈下のような大きなトラブルを未然に防ぎます。

宅地造成工事規制区域・宅地造成等規制法
宅地造成工事には、役所の許可が必要となるエリアがあります。
このエリアを「宅地造成工事規制区域」といいます。
自治体による調査によって、自然災害の危険性が高かったり、土砂崩れやがけ崩れなどの災害が起こりやすいエリアが「宅地造成工事規制区域」として選定されています。

「宅地造成工事規制区域」内の宅地造成工事には、人命や家屋などの財産を保護するための「宅地造成等規制法」という規制がかかります。
具体的な規制内容は割愛しますが、事前に地盤改良や擁壁の工事計画が「宅地造成等規制法」の規制や技術基準に適合していることを示した図面や書類等を役所へ提出し、許可を受けなければなりません。
工事完了後にも、規制や基準に適合しているか、完了検査を受ける必要があります。
その上で、適合であれば、検査済証が交付されます。不適合であれば工事のやり直しを要求されます。
建築を計画している土地が「宅地造成工事規制区域」に該当するかは役所の窓口で確認することが出来ます。

許可が必要となる造成工事
宅地造成工事規制区域内では、下記の造成工事は申請・許可が必要です。
1.高さ2m以上の切土
2.高さ1m以上の盛土
3.盛土が1m以内だが、切土と合わせると高さ2m以上
4.500平米を超える宅地造成工事

宅地造成工事規制区域内の土地を購入する際の注意点
宅地造成工事規制区域に該当していても、資産価値に大きく影響することは少なく、必ず危険性が高いわけでもありません。けれども、宅地造成に関して申請・許可が必要で、規制がかかるエリアです。購入時に注意しておきたいこともあります。
ここからは、宅地造成工事規制区域内の土地を購入する際の注意点を解説します。

既存建物でも改善命令を受けることもある。
宅地造成工事規制区域では、規制が新築時だけでなく、すでに建築済みの既存建物にもかかるケースがあり、場合によっては、改善命令を受けることがあります。
さらに、土地を購入した後は、土砂崩れなどを未然に防ぐため、日常的に点検する必要があります。
建築済みの既存建物であっても、経年劣化などで危険性が高まっている可能性が高い場合には、改善の義務があったり、改善命令を受けます。

特に注意が必要なのは、擁壁です。現行の基準に達していない古い擁壁は改善命令の対象となり得ます。
改善命令が出れば、擁壁の改修、除却・再築造には、非常に高額な費用がかかることでしょう。
購入前には、必ず、擁壁が基準に適合しているか、劣化していないかなど、改善命令が出る可能性が無いかをよく確認しておきましょう。

「検査済証」を確認しよう。
宅地造成工事規制区域内での宅地造成工事が基準に合格している場合には「検査済証」が交付されます。
宅地造成等規制区域内の宅地を購入する際には「検査済証」を必ず確認しましょう。
古い土地の場合には、検査済証が確認できないこともあります。その場合には、役所の開発登録簿でも確認することができます。

必ず現地確認しよう。
既存の擁壁の劣化状況の確認の他、現地確認が最も様々な情報を得られます。
宅地造成工事規制区域内の宅地を購入する際には、事前調査として現地確認を必ず行いましょう。

宅地造成工事規制区域内の土地のデメリット
宅地造成工事規制区域内の土地のデメリットは、通常の土地と比べて建築費が高くつくことがあることです。
というのも、申請・許可が必要な造成工事が必要な場合には、厳密な規制がかかる上に、許可を受けた後に工事を行い、工事完了後には検査済証を交付してもらう必要があるからです。工期が長くなり、かかる費用も増えることになります。
また、宅地造成工事規制区域内の既設の擁壁などの工作物が許可や検査を受けていない場合には、改修、除却・再築造などの改善命令を受けるリスクもあります。当然ながら、資産価値に影響します。

まとめ
今回は、宅地造成工事や規制区域内の許可・申請、注意点などを詳しく解説しました。
「宅地造成工事」とは、どのような工事なのか?規制する法律である「宅地造成等規制法」とは、どのような規制なのか?宅地造成に関係する基礎知識や費用を抑えるコツ、注意点などを把握して頂くことが出来たのではないでしょうか?土地探しの際は、不動産会社だけでなく、建築会社にも相談することで、土地購入後の建物や造成にかかる費用もあらかじめ把握しておくと、失敗しない土地探しにつながることでしょう。

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
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