用途地域とは?全13種類の特徴と制限|土地探し・土地選びで失敗しないための調べ方

土地情報を見ていると、「用途地域」という言葉を目にすることがあります。

用途地域とは、その土地に「どのような建物を建てられるのか」を定める重要なルールのひとつです。

住宅だけでなく、店舗や事務所、工場など、建築できる建物の種類や規模の制限にも大きく関係します。

周辺に将来どのような建物が建つ可能性があるのかを考えるうえでも、用途地域は大切な判断材料。

土地選びで後悔しないためにも、購入前に必ず確認しておきたいポイントです。

 

 

そこで今回は、「用途地域」についてのチェックポイントを詳しく紹介。

・全部で13種類ある用途地域、それぞれの特徴や制限。
・用途地域を知ることで分かる、その土地に建てられる建物の種類。
・自分の土地だけでなく、周辺に将来どのような建物が建つ可能性があるのか。
・検討している土地が、どの用途地域に該当するのか、その調べ方。
・土地を購入する前に、設計事務所・建築家へ相談するメリット。

上記の内容などを建築家・設計事務所が解説します。

土地探し・土地選びの参考にしてみてください。

 

 

 

都市計画では、そのエリアをどのように整備し、どのような街へ発展させていくのかを誘導するために、各都市・地域ごとに「用途地域」が定められています。

住宅地のすぐ隣に大規模な工場が建ったり、静かな住環境の中に大規模な商業施設が建ち並んだりすると、暮らしやすさや周辺環境にも大きな影響が出てしまいます。

そこで、建築できる建物の用途や規模などを一定のルールによって制限し、住環境の保全や利便性の向上、商業・工業の発展などを計画的に進めているのです。

 

 

用途地域は、大枠として、次の3つに分類されます。

1.住居系
※住宅がメイン。全8種が該当。

2.商業系
※店舗や事務所など、商業施設を中心とした地域。全2種が該当。

3.工業系
※工場などの立地を中心とした地域。全3種が該当。

合計すると、用途地域は全部で13種類あります。

 

 

それぞれの用途地域によって、住宅・店舗・事務所・ホテル・工場など、建築できる建物の種類や用途に違いがあります。

また、用途地域を確認することは、自分が購入を検討している土地に何を建てられるのかを知るだけではありません。

周辺にどのような建物が建つ可能性があるのかを考え、その土地の将来的な住環境を予測するための判断材料にもなります。

たとえば、現在は周囲に低い住宅しか建っていなくても、用途地域によっては将来、大きな店舗やマンションなどが建つ可能性もあるでしょう。

そのため、土地選びでは現在の周辺環境を見るだけでなく、用途地域を確認し、将来どのような街並みになる可能性があるのかまで考えておくことが大切です。

 

 

 

用途地域の分類を、下記の表にまとめました。

用途地域は、「住居系」「商業系」「工業系」の3つに大きく分けられ、さらにそれぞれの目的や建築できる建物の種類によって、全部で13種類に分類されています。

基本的には、住環境を重視する地域ほど建築できる建物の用途や規模に制限が多く、商業・工業系になるにつれて、建築できる建物の種類が広がっていきます。

まずは全体像を確認してみましょう。

 

種別用途地域
住居系第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
第1種中高層専用地域
第2種中高層専用地域
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
田園住居地域
商業系近隣商業地域
商業地域
工業系準工業地域
工業地域
工業専用地域
※基本的には、上から順に規制は緩くなり、建物の種類が混在・密集・高層化していきます。

 

用途地域とは?調べ方と全13種類の特徴や制限、チェックポイントを解説します!

 

 

それでは、ここから住居系に分類される8種類の用途地域について、それぞれの特徴と主な建築制限を詳しく見ていきましょう。

同じ「住居系」であっても、建てられる住宅の高さや規模、店舗・事務所などの建築可否には違いがあります。

土地選びでは、それぞれの特徴を理解したうえで、希望する暮らし方や建築計画に合っているかを確認することが大切です。

 

 

■特徴
第一種低層住居専用地域は、閑静な住環境を目指している地域・都市です。
広い庭があるような宅地を希望する方、車を利用する生活を希望する方におすすめです。

 
■制限
建築可能〉
→高さ10mあるいは12mの低層住宅(マンション・アパートを含む)。
→50平米以下の診療所、理髪店などの小型の店舗。
→小中学校
〈建築不可
→一般的なコンビニなどの商業施設。
※一般的なコンビニは50平米を超えてしまいます。
→不特定多数の人が集まる商業施設。

 

 

 

■特徴
第二種低層住居専用地域は「閑静な住環境」と「小さな店舗があるなどの利便性」の両立を目指したエリアです。

■制限
〈建築可能〉
→高さ10mあるいは12mの低層住宅(マンション・アパートを含む)。
→150平米以下の店舗、コンビニ・飲食店など

 

 

 

■特徴
第一種中高層住居専用地域は、建物の高さ制限が緩くなります。
3階建て以上の住宅も建てられるようになり、分譲マンションの戸数も増えます。
マンション居住を希望し、生活の利便性・落ち着いた住環境を重視したい方におすすめの地域・都市です。

■制限
〈建築可能〉
→中高層の一戸建て・マンション
→500平米以下かつ2階建て以下の中規模の店舗。
→幼稚園・小学校・高校・中学校・大学などの教育施設
→病院
→図書館
→神社・お寺

 

 

 

■特徴
第二種中高層住居専用地域は、中規模の商業施設が建築可能なため、買い物などの面で、より便利になります。
働く場所も充実しており、生活の利便性を求める人におすすめの地域・都市です。

■制限
〈建築可能〉
→中高層の一戸建て・マンション
→2階建、1,500平方メートルまでの店舗・事務所

 

 

 

■特徴
第一種住居地域は、居住環境を保全しつつ、商業地としても発展することを目指している地域です。
商業施設も多く集まり、賑やかなエリアになります。
駅が近い場合も多く、静けさよりも利便性を求める方におすすめで、夜道も明るいので、一人暮らしの女性も安心できると思います。

■制限
〈建築可能〉
→一戸建て・マンション
→3,000平方メートルまでの店舗・事務所・ホテル

 

 

 

■特徴
第二種住居地域は、第一種住居地域よりも規制が緩く、住宅地ではあるものの、商業地・繁華街としての印象が強くなります。娯楽施設も多くなり、若い、独身や二人暮らしの方が多く住むエリアです。

■制限
〈建築可能〉
→一戸建て・マンション
→10,000平方メートル以下までの店舗・事務所・ホテル・ボーリング場・スケート場・カラオケ店・パチンコ店。

 

 

 

■特徴
住宅地・商業地・小規模な工業地、3つの側面を兼ね備えています。
そのため、多くの用途の建物が混在します。
また、国道、県道、高速道路などが近く、車での交通の利便性が高いケースが多い地域です。

■制限
〈建築可能〉

→一戸建て・マンション
→10,000平方メートル以下までの店舗・事務所・ホテル・ボーリング場・スケート場・カラオケ店・パチンコ店。
→車庫・倉庫
→150平米以下の整備場付きの自動車修理工場
→客席部分200m2未満の劇場や映画館

 

 

 

■特徴
田園住居地域は、農地と住宅地の共存を目指している地域です。
市街地ではなく、長閑な田園に住みたいという人におすすめの地域です。
また、農業を営みたい、楽しみたいという人にも向いています。

■制限
〈建築可能〉

→住宅
→幼稚園・小学校・中学校・高校などの教育施設
→2階建て以下の農家レストラン・農産物直売所
→図書館
→病院
→神社・寺院

 

用途地域とは?調べ方と全13種類の特徴や制限、チェックポイントを解説します!

 

 

商業系の用途地域には、「近隣商業地域」と「商業地域」の2種類があります。

どちらも、店舗や事務所などの商業施設だけでなく、住宅やマンションを建築することが可能です。

そのため、駅周辺や市街地など、生活利便性の高いエリアに指定されていることも少なくありません。

また、住居系の用途地域と比べると、一般的に建ぺい率や容積率が高く設定される傾向があり、大規模な店舗やオフィスビル、高層マンションなどが建つこともあります。

一方で、交通量や人通りが多くなりやすく、騒音や周辺環境の変化についても確認しておきたいところです。

それでは、それぞれの特徴と主な建築制限を見ていきましょう。

 

 

■特徴
近隣商業地域は、準住居地域の制限をより緩和した地域です。工業系色も強く、働く場所も豊富です。
生活に必要な商業施設には困りません。
高層マンションも多いので、タワーマンションでの居住を希望する方や、このエリアに勤める人におすすめの地域です。
ただし、人口密度は高く、交通量も多いため、騒々しくなります。
生活の利便性を優先し、昼間は自宅には不在にすることが多い方におすすめです。

■制限
〈建築可能〉

→店舗や事務所、映画館などの商業施設。床面積に制限なし。
→150平米以下の安全性が認められる工場
→300平米以下の修理工場がある自動車整備工場

 

 

 

■特徴
商業地域は、近隣商業地域よりもさらに規制が緩くなります。
そのため、大規模なビル、娯楽施設、百貨店などが集中し、人口密度が非常に高い繁華街の形成を目指した用途地域です。
超高層マンションなども建ち、居住地としても人気が高いエリアです。

■制限
〈建築可能〉

→超高層マンション
→店舗や事務所、映画館などの商業施設。床面積に制限なし。
→高層オフィスビル
→150平米以下の安全性が認められる工場
→300平米以下の修理工場がある自動車整備工場
→風俗施設

 

用途地域とは?調べ方と全13種類の特徴や制限、チェックポイントを解説します!

 

 

工業系の用途地域には、「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」の3種類があります。

工場や倉庫などの立地を想定した地域ですが、種類によって建築できる建物の用途や、住宅を建てられるかどうかが異なります。

特に「工業専用地域」では住宅を建築できないため、土地を購入する際には注意が必要です。

また、住宅を建てられる地域であっても、周辺に工場や物流施設などが立地する可能性があります。

騒音や振動、交通量、周辺環境なども含めて確認しながら、その土地が自分たちの暮らし方に合っているかを判断することが大切でしょう。

それでは、それぞれの特徴と主な建築制限を見ていきます。

 

 

■特徴
準工業地域は、軽工業の工場やサービス施設などを誘導するためのエリアです。
規制が緩く、住居・商業・工業、あらゆるジャンルの建物が混在します。
これらは、工場で働く人を期待した店舗や教育施設です。
工場が騒がしいケースもありますが、工場に勤めている方以外も居住することは出来ます。

■制限
〈建築可能〉

→下記を除く全ての用途の建物
〈建築不可〉
→危険物・多量の火薬や石油を取り扱う工場

 

 

 

■特徴
工業地域は、工業の発展を誘導する地域です。

■制限
〈建築可能〉

→危険物・多量の火薬や石油を取り扱う工場
〈建築不可〉
→ホテル
→映画館
→小学校・中学校などの教育施設

 

 

■特徴
工業専用地域は、工業の発展を第一優先とする地域です。
住宅は建てられません。

■制限
〈建築可能〉

→大規模工場施設
→港湾施設
〈建築不可〉
→住宅

 

用途地域とは?調べ方と全13種類の特徴や制限、チェックポイントを解説します!

 

 

用途地域は、土地を購入する前に必ず確認しておきたい重要な情報です。

同じように見える土地でも、用途地域が違えば、建てられる建物の種類や規模、周辺に将来建つ可能性のある建物も変わってきます。

また、土地の広告や販売資料に用途地域が記載されていることもありますが、それだけで判断するのではなく、自分でも確認しておくと安心です。

特に、用途地域の境界付近にある土地では、敷地の一部に異なる用途地域がかかっているケースもあります。

土地選びで後悔しないためにも、「何となく住宅地だから大丈夫」と考えず、正確な情報を確認しておきましょう。

 

用途地域の主な調べ方は、次の4つです。

1.自治体のホームページ・都市計画情報で調べる。
まず確認したいのが、各自治体が公開している都市計画情報です。

自治体によっては、「都市計画情報」「都市計画図」「都市計画GIS」などの名称で、用途地域をインターネット上から確認できます。

住所や地図から土地を探せる場合も多く、用途地域だけでなく、建ぺい率・容積率、防火地域・準防火地域などを確認できることもあります。

 

2.自治体の窓口で確認する。
より確実に確認したい場合は、市区町村の都市計画課や建築指導課などの窓口へ問い合わせましょう。

特に土地の購入や具体的な建築計画を進める場合は、インターネット上の情報だけで判断せず、最新の都市計画情報を確認しておくと安心です。

 

3.国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で調べる。
国土交通省が公開している「不動産情報ライブラリ」でも、全国の用途地域を地図上で確認できます。

用途地域だけでなく、防火・準防火地域、地区計画、都市計画道路などの情報も確認できるため、土地選びの初期段階で周辺条件を把握する際にも便利です。

 

4.不動産会社や設計事務所・建築家に確認する。
土地探しを依頼している不動産会社や、住宅の相談をしている設計事務所・建築家に確認する方法もあります。

 

ただし、土地選びで本当に重要なのは、「用途地域が何か」を知ることだけではありません。

その用途地域に対して、建ぺい率・容積率、高さ制限、道路条件、地区計画などを踏まえ、希望する住宅が実際にどの程度建てられるのかまで判断することが大切です。

そのため、購入を具体的に検討している土地については、建築の専門家にも確認してもらうことをおすすめします。

 

 

 

用途地域は、土地選びで必ず確認しておきたい重要な条件です。

しかし、用途地域が分かれば、その土地に希望する住宅が建てられるかどうかまで判断できるわけではありません。

実際の建築計画では、建ぺい率・容積率、高さ制限、斜線制限、防火地域・準防火地域、道路条件、地区計画など、さまざまな条件を合わせて確認する必要があります。

さらに、敷地の形状や高低差、方位、周囲の建物、接道状況などによっても、実現できる間取りや建物の大きさは大きく変わります。

そのため、土地を購入する前に、設計事務所・建築家へ相談しておくことには大きなメリットがあります。

建築家であれば、その土地の法的な条件を確認するだけでなく、

「希望する広さの家が建てられるか」
「駐車場や庭を確保できるか」
「日当たりや眺望をどのように取り込めるか」
「周辺に将来大きな建物が建つ可能性はあるか」
「造成や擁壁などで想定外の費用が発生しないか」

といったところまで、実際の建築計画を想定しながら土地を見ることができます。

土地そのものの条件が少し難しくても、設計の工夫によって魅力を引き出せるケースも少なくありません。

反対に、一見すると条件の良い土地でも、希望する住宅を計画すると想像以上に制約が大きかったり、追加工事によって総予算が膨らんだりすることもあります。

土地は、購入してから簡単に変更できるものではありません。

だからこそ、「土地を買ってから家を考える」のではなく、どのような家を建てたいのかまで含めて、土地を選ぶことが大切です。

気になる土地が見つかった段階で、設計事務所・建築家へ相談しておけば、土地と建物を一体で考えながら、より納得できる判断がしやすくなるでしょう。

 

 

 

用途地域は、その土地にどのような建物を建てられるのか、そして周辺に将来どのような建物が建つ可能性があるのかを知るための重要な情報です。

全部で13種類あり、それぞれ建築できる建物の用途や規模、街の性格が異なります。

土地選びでは、現在の周辺環境だけを見るのではなく、用途地域を確認し、そのエリアが今後どのように変化する可能性があるのかまで考えておくことが大切でしょう。

ただし、用途地域だけで「希望する家が建てられるか」を判断することはできません。

実際には、建ぺい率・容積率、高さ制限、防火地域・準防火地域、道路条件、地区計画、敷地形状や高低差など、さまざまな条件が建築計画に影響します。

だからこそ、気になる土地が見つかったら、購入を決める前に設計事務所・建築家へ相談するのがおすすめです。

その土地に何が建てられるのかだけでなく、希望する暮らしや予算まで含めて検討することで、土地選びの失敗や購入後の後悔を防ぎやすくなります。

用途地域を正しく理解し、土地と建物を一体で考えながら、自分たちに合った土地を選んでいきましょう。

 

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