はじめに|なぜ今、“完全自由設計”が選ばれているのか?
注文住宅を検討する際、
「完全自由設計」
という言葉をよく目にすることでしょう。
ハウスメーカーや工務店も掲げており、
特別ではないように感じる方も多いようです。
一方で、本当に「完全自由設計」を求めると、
意外とハードルも色々とあったりなど、
諦める方も多いかもしれません。

しかし、設計事務所や建築家の視点で見ると、
完全自由設計が選ばれるのには、明確な理由があります。
それは、
“自分達だけのオリジナルの家をつくりたい”
という単なる願望ではなく、
完全自由設計こそ、家づくりの本質だからです。

そこで本記事では、
「ととのえるために、自由である」
という建築家・設計事務所の視点から、
“完全自由設計の本質”について解説します。
具体的には、
・生活の粒度の設計
・要望の分解と再構成
・敷地条件と時間軸の統合
といった論点を整理していきます。

結論からいえば、
完全自由設計とは、
“土地と人の暮らしに合わせて設計できる家づくり”です。
本記事が、
「本当に心地よく、暮らしやすい家が欲しい」
という方にとっての判断材料となれば幸いです。
愛知県・名古屋市の設計事務所・建築家としての
考え方や取り組みは、こちらにまとめています。
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■“選べる自由”ではなく、“設計できる自由”
世の中には“自由設計”という言葉が溢れています。
・色や素材を選べる
・キッチンのメーカーを選べる
・間取りを少し調整できる など
このような調整やコーディネートも、
確かに“自由”なのかもしれません。
しかし、建築設計の世界では、これは、
“自由”というより、“選択”に過ぎない。

選択肢を増やすことではなく、
建築家にとっての自由とは、
“暮らしを設計すること”です。
一見似ているようでありながら、
この違いは家づくりの結果に大きな差を生みます。

■“選択”は後工程。“設計”は起点。
注文住宅では、多くの場合、
「どれにしますか?」という
“選択”が先に提示され、求められます。
それは仕様書、カタログ、メーカー推奨などに表れています。
一方、
建築家の場合は、設計が先立ち、
選択肢は“後工程”に配置されます。
先に定義するのは
“どう暮らすか?”
“どう使うか?”
“どんな雰囲気が生活に合っているか?”
“何がストレスになるか?”
“何が機能を損なうか?”
といった生活の粒度や要求です。

建築家の自由は、
「暮らしの定義と整合性」の上に成り立つ。
暮らしを定義し、
敷地を読み、
要望を整理し、
構造と性能に落とし込み、
最後に素材と設えを整える。
完全自由設計のプロセスは、
モノを選ぶことではなく、
意味を設計することに本質があるのです。

■生活は“選択の積分”でできている
暮らしは一つの要望では成立しません。
料理動線は洗濯動線と絡み、
収納は常に子どもの成長と時間軸を持ち、
採光は土地条件とプライバシーと街と関係します。

例えば、
“朝が強い家族”と
“夜に活動する家族”は、
同じ間取りでは機能しません。
同じように、
洗濯を“夜に屋内干しする家族”と
“朝に外干しする家族”も違います。
・子どもの年齢差
・夫婦の働き方
・趣味
・生活のテンポ
・食事の仕方
・収納の習慣
・片付けられる/片付けられない など
これら全てが生活の粒度であり、
本来は住まいの前提となり得るもの。

完全自由設計では、
この暮らしの粒度を、
設計のプロセスの中ですくいとり、
丁寧に整えていく。
言い換えれば、
これこそが、住宅設計。
生活の粒度を住まいのデザインに落とし込めた時、
家ははじめて機能するのです。

■敷地という“唯一無二の条件”を扱う
どの土地にも個性があります。
東西南北、方角ごとの環境(隣家・道路)
高低差・隣家の窓の位置・街並み
騒音、・風通り・視線の抜け・日照
どれも既製品では扱いきれない条件です。
完全自由設計が支持される背景には、
このような土地条件に対しての、
“個別的な回答を設計できる”という点があります。

特に都市部では、
面積・法規などの条件が厳しいことが多いもの。
それらの制約に対する、
“特殊解を設計すること”は
完全自由設計の強みでしょう。
制約は必ずしもマイナスではなく、
設計素材に変換できる可能性があります。

■暮らしと土地と性能を統合する
多くの家づくりでは、
「意匠(デザイン)」と「性能(断熱・耐震)」
が分断されています。
しかし、本来、
意匠と性能と構造は、
建築設計で“一体化”させて取り扱うべき課題です。
なぜなら、その方が合理的だから。

建築家の完全自由設計では、
生活×敷地×意匠×構造×性能
が一本に束ねられ、
クリエイティブな解答として提示されます。
“選択肢を増やす自由”ではなく、
暮らしと土地に対し、“ととのえる自由”。
これが完全自由設計の本質であり、
建築家・設計事務所が選ばれる理由でもあります。

■“自由設計”と“規格化住宅”の違いは、どこにあるのか?
住宅会社のカタログやウェブサイトを見ると、
“自由設計”
“セミオーダー”
“フルオーダー”
“規格住宅”
といった言葉が並びます。
しかし、これらの言葉は
生活者にとって分かりやすいように設計された分類であり、
建築設計の世界ではもう少し違った見え方をします。

■規格は“解の提示” | 自由設計は“問いの設定”
規格住宅は、
ある種の“最適解”の提示です。
敷地条件や生活パターンのばらつきをある程度想定し、
汎用性が高く、失敗の少ない寸法と動線で組まれます。
ある意味では非常に合理的な側面も持ち、
そして、なにより分かりやすい。

一方、
完全自由設計は、“問い”を起点に組み立てます。
・この土地は何を求めているか
・この家族はどう暮らすか
・どの動線が心地よいか
・どのタイミングで光が必要か
・プライバシーはどこまで求めるか
・どの生活が美しいか
・どの習慣がストレスになるか
完全自由設計とは、
生活と敷地の“問い”を設計に変換する作業です。
だからこそ、
ヒアリング(聴く力)・観察(観る力)が最も求められる。

ここで重要なのは、
自由設計は“優れている”のではなく、
規格とは“役割が異なる”ということ。
規格は、“外に答えを求める”
自由設計は、“内なる声を聴く”
この視点が抜けると、
自由設計がただの“選択肢の多い家づくり”に矮小化されてしまいます。

■自由設計には“時間軸”が含まれる
自由設計が選ばれる背景には、
“時間”という条件もあります。
暮らしは、不変的なものではありません。
子どもは成長し、働き方は変わり、
趣味は増え、家族構成も変わります。
規格住宅は、
ある時点のある人達の“平均値”を扱う。
それに対し、
完全自由設計は“変化”も扱います。

例えば、
・子どもが5歳差の兄弟
・夫婦で生活の時間帯がずれている
・洗濯を夜に屋内干し
・在宅ワーク週3
・休日はアウトドア
こういった生活は、“平均値”に当てはまりません。
平均から外れると、
規格より自由設計の方が相性が良いのですが、
実際のところは、
平均にバッチリ該当する人の方が少ないものです。
“平均”こそが、“個別”の総体で構成されるからです。
その個別性を扱えるのが、完全自由設計です。

■自由設計は“暮らしに合わせて整理する”設計
自由設計というと、
「要望を全部叶えてくれる」
と思われることが多いのですが、実は違います。
自由設計とは、
要望をそのまま形にするのではなく、
“どうすれば生活がしやすくなるか”に合わせて
内容を整理していく設計のことです。

例えば
「明るい家がいい」という要望でも、
明るさの感じ方は人によって違います。
・朝の日差しがほしいのか
・日中を明るくしたいのか
・夜の照明を重視するのか
・外からの視線を避けたいのか
など、意味がたくさんあります。
整理してみると、
同じ“明るい”でも設計は変わります。
完全自由設計とは、
わがままを全部通すという意味ではなく、
要望を整理して、暮らしに合う形に直すことです。

■完全自由設計=“土地と暮らしの翻訳”
ここまで整理すると、
完全自由設計とは
要望・習慣・土地
時間・性能・意匠
これらの“翻訳”だと分かります。
要望を間取りに変換し、
敷地を空間に変換し、
性能を快適さに変換し、
時間を暮らしに変換する。
建築家・設計事務所にとって、
家はただの箱ではなく、暮らしを支える器なのです。

■まとめ|なぜ完全自由設計が選ばれるのか?
完全自由設計が求められるのは、
個性的な家をつくるためではありません。
暮らしは、個別の習慣と時間の変化で構成され、
土地には唯一無二の条件があり、
家はその両方の上に成立します。

規格住宅が、“外に答えを求める”仕組みだとすれば、
完全自由設計は、“内なる声から出発する”仕組みです。
生活の粒度を読み取り、土地を翻訳し、
性能と意匠を統合しながら矛盾を解く。
選択肢の多さではなく、
自由とは、暮らしを整える力です。
平均という虚像に当てはめるのではなく、
一人ひとり実在する住まい手に寄り添う家づくり。
完全自由設計が選ばれる理由は、
この実体的体験にこそあるのです。

土地選びや家づくりの判断軸に、
“自分たちらしさ”を優先したい方へ。
Tabiは、要望を丁寧にヒアリングし、
暮らしに合う形に整理しながら設計します。
自由とは、暮らしをととのえる力。
それが私たち、Tabiの家づくりです。

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住まいづくりを検討されている方は、
どうぞお気軽にご相談ください。
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