土地探しをしていて、崖上や崖下の土地、いわゆる崖土地が気に入ることもあるかもしれません。
元々、所有している土地・崖土地に、新しく建築を計画したい方もいらっしゃることでしょう。
しかし、がけ土地の場合には、がけ条例という規制があり、建築計画に制限がかかることもあります。
また、崖土地特有のデメリットや注意点もあります。

そこで、今回は、土地探しや新たに建築する際、崖土地・崖のある土地はやめた方が良いのか?
がけ条例などの注意点を詳しく解説!
本記事で崖土地に関する正しく詳しい情報を把握して、理想の家づくり・建築計画にお役立て下さい。

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崖・がけとは?
実は、建築する上で、崖・がけは、どのようなものを指すのか、おおよそ決まっています。
一般的には、次の3点を満たすものです。
・硬岩盤以外の土質でないことこと。
・斜面で、傾斜角が30度を超えていること。
・高低差が2mを超えていること。
これら全てを満たすものが、建築でいうところの崖だと思って頂いて、差し支えないでしょう。

がけ条例とは?
がけ条例は、崖・がけ付近に建築を計画する際、その崖が崩れた際に、建築物に倒壊などの危険・被害が出ないように定められている条例です。
がけ条例の規制がかかる、崖・がけにも条件があります。
前項で解説した崖・がけである他、人為的・人工的に造られた崖である場合に、がけ条例の規制がかかります。
逆に、自然に出来ている崖・昔からある崖は、がけ条例の対象外になり、規制がかからないことが多いです。

土地情報の備考欄に「崖下につき建築制限有」「崖上につき建築制限有」などと記載されている場合は、このがけ条例が該当する土地です。
条例ですから、都道府県ごとに異なる内容の規定が定められています。ご注意ください。
予め、役所の窓口や建築会社に事前に相談し、その崖が人為的な崖なのか、人工的な崖なのか、規制内容なども確認しておきましょう。

がけ条例の規制・建築制限
がけ条例の規制・建築制限がかかる場合、その崖から定められた離隔距離を確保する必要があります。
崖上の土地の場合
→崖の下端から崖の高さの2倍以上の離隔距離が必要。
崖下の土地の場合
崖の上端から崖の高さの2倍以上の離隔距離が必要。

建築する土地に崖がなかったとしても、がけ条例の規制がかかることがあります。
隣地であったり、付近に崖がある場合でも、定められた離隔距離を確保する必要があるので、よく注意しましょう。

がけ条例の緩和を受けられる条件
がけ条例の規制を受ける土地で、建築する際に前項の離隔距離を確保できない場合でも、慌てる必要はありません。
下記の条件を満たせば、規制を緩和できる可能性があります。
緩和条件は3つあります。

がけ条例緩和条件1.擁壁を設置する
定めれた基準を満たす擁壁を設置すれば、規制を緩和することができます。
擁壁とは、地盤が崩れること、がけの崩壊による衝撃を受ける部分を防止するための壁状の工作物です。
がけ条例の規制緩和のための擁壁は、主に鉄筋コンクリート造であることが多いです。
ただし、定めれた基準を満たす擁壁を建設するには高額な費用がかかります。
さらに、建設後も、劣化が進んでいないか定期的な点検が必要です。

がけ条例緩和条件2.建築物の構造体に工夫をほどこす。
建築物の構造体に工夫をほどこすことで、規制を緩和することができます。
例えば、崖上の土地の場合には、基礎の底・底盤を深い位置にする深基礎と呼ばれる構造することで規制を緩和することが出来ます。
基準を満たす深基礎であれば、その崖が崩壊したとしても、強固な構造体を持つその建築自体で倒壊を防ぐことができるためです。
具体的な内容については、事前に建築会社に相談しましょう。

がけ条例緩和条件3.土砂災害の対策をほどこす。
崖下の土地の場合、土砂をせき止めるなどの土砂災害の対策をほどこすことで、崖条例の緩和を受けられます。
具体的には、
崖側の開口部をなくし、屋内に土砂が入り込まないようにする。
建物と崖の間には壁をつくる。
などの方法があります。

がけ土地を購入する際の注意点
ここからは、実際に崖土地を購入する際の注意点を解説します。
デメリットともいうべき注意点がいくつかあります。
ここで内容を把握し、不要なトラブルや後悔する購入を回避しましょう。
特に注意して頂きたいことは3つあります。それぞれ詳しく解説します。

がけ条例によって建築計画が規制される。
崖土地の注意点1つ目、 がけ条例によって建築計画が規制される。
がけ条例の規制によって建築計画が制限される可能性があります。
条件を満たせば、規制を緩和することもできるかもしれませんが、そのための費用がどのくらいのものなのか、あらかじめ、建築会社に相談・確認しておいた方がいいでしょう。
その崖が安全であるかどうかは、結局、設計する建築士に委ねられることも多く、グレーのまま計画せざるを得ない、場合によっては、建築会社から工事や設計の請負を拒否されることもあります。

造成工事に余分な費用負担がかかる。
崖土地の注意点2つ目、 造成工事に余分な費用負担がかかる。
崖土地は、傾斜地であったり、高低差がある土地であるケースも多いです。
その場合には、建築する前に、切土・盛土・擁壁の築造・地盤補強などの造成工事に余分な費用の負担がかかることがあります。
どの程度の費用になるのか、こちらも、あらかじめ、建築会社に相談・確認しておいた方がいいでしょう。

売却時には、買い手が少なく売却しづらい。
崖土地の注意点3つ目、 売却時には、買い手が少なく売却しづらい。
将来、売却する際には、崖土地は買い手が少なく、売却しづらいです。
一般的に土地を購入する人は、良い土地を購入したい、条件が悪くない土地を購入したいと考えています。
しかしながら、崖が近くにあれば、その土地が安全な崖であるとされていても、購入希望者からは安全性に問題がありそうで不安な土地だと捉えられることも多いです。

その他、前述した通り、建築する際には、建物を建てるための造成工事に余分な費用負担も発生しますし、がけ条例の規制によって建築計画が制限される可能性もあります。
当然ながら、崖土地は買い手が少なく、売却しづらいのが実情です。

まとめ
今回は、がけ土地・がけのある土地について、詳しく解説しました。
土地探しや新たに建築する際に、崖土地・崖のある土地はやめた方が良いのか、そうではないのか。実際に、がけ土地を購入する際の注意点などもご理解頂けたかと思います。

がけ土地に関わらず、がけ条例のように、建築計画に厳しく規制がかかる土地は意外と多いです。
失敗しない土地探し・土地購入のためには、土地と建物を同時に計画することが一番の秘訣だと言えます。
早い段階で、建築会社に相談・確認してみましょう。

私たちの設計事務所では、ご相談・間取りなどの提案は無料です。もちろん、土地探しからのご相談も歓迎です。
施工をしない・建築家の家づくりは、工務店・ハウスメーカーなどとは大きく違います。
少しでも家づくりにこだわりたい気持ちがあり、建売などではなく注文住宅を採用されるのであれば、まずは建築家に相談してみること、それから色々と考えるのがおすすめです。
その際、私たちのような、機能・デザイン・コストなど全方位でバランスの良い住まいを目指す建築家であれば、より相談できることは多いことでしょう。
建築家の仕事に距離は関係ありません。私も全国から依頼を承っております。
遠方の方でも距離を気にせずに、建築のことであれば何でもお気軽にお問い合わせ頂けると幸いです。

最後に。
住宅設計は、人生のデザイン。
住まいは、生涯の大半を過ごすであろう空間です。
皆様が妥協・後悔・失敗することなく、豊かな暮らしを送れますように。
夢の実現を全力でサポートする、良きパートナー・建築会社が見つかることを願っています。
名古屋の設計事務所 Tabiでは、家づくりに必要な情報や予備知識をブログにまとめ発信しています。
ぜひ、参考にしてみて下さい!
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